暑い時の水分補給には何が良いのか?
健常者の便を腸疾患患者の腸管に投与する「便移植」をご存じでしょうか?
健常者の腸管内は、偏性嫌気性菌から好気性菌まで10の12乗個に及ぶ様々な細菌が存在し、バランスの取れた腸内細菌叢を形成している。偽膜性腸炎やクローン病などの腸疾患患者では、この細菌叢のバランスが崩れている。便移植は、健常者の正常な腸管細菌叢をそのまま患者の腸管内に導入することで、細菌叢のバランスを正常に戻そうという治療法だ。
便移植が再び注目されるようになったのは、治療が難しい偽膜性腸炎で便移植が高い奏効率を示すことが明らかになったからだ。便移植の有効性は、偽膜性腸炎だけでなく潰瘍性大腸炎やクローン病、過敏性腸症候群、慢性便秘などでも確認されている。さらに便移植が、肥満に効果があるとする結果が2012年に報告された。
10年以上抗菌薬を使用していないなど、厳しい基準を満たしたドナーの便から非病原性の細菌群を抽出して培養し、内服しやすい剤型に加工して臨床応用する試みも始まっている。安全で簡便な方法が確立すれば、便移植のハードルは確実に低下するはずだ。全人類に腸内細菌叢の平和が訪れる日は近いかも?
〒960-8163 福島市方木田字中屋敷1−1 さとうクリニック内科・消化器科 佐藤浩明
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