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コラム
加齢により太るのは遺伝子のせい?
2014年6月11日
肥満に関連するFTOと呼ばれる遺伝子の多様体が、衝動制御や食品の選択に影響を及ぼしている可能性がある。米国立加齢研究所(NIA)の研究者によると、一部の人で高齢になるにつれて体重維持が難しくなる理由を説明できるという。「高齢期の肥満リスクと、肥満に関連する行動の根底には共通の生物学的因子があると考えられる」と同氏は述べている。
米マウント・サイナイ医科大学の研究者によると、ある種の遺伝子多様体と慢性肥満の関連が多くの研究で示されてきたが、その機序は解明されていなかった。米国では65歳以上の成人の3人に1人が肥満とされている。米国の白人集団を追跡した今回の研究では、参加者の約45%がこの遺伝子の多様体を少なくとも1コピー保有しており、約16%が2コピー保有していた。
今回の研究は、北米で最も長く継続されている加齢に関する長期研究の1つだ。研究の結果、FTO遺伝子多様体を1~2コピー保有する人は体格指数(BMI)が高いことが確認された。また、PETスキャンの比較により、FTO多様体をもつ人は、衝動および食物の味や質感に対する反応の制御に重要であるとされる内側前頭前皮質の機能が低いことが判明した。また、被験者の性格と食事に関するデータをレビューした結果、FTO多様体をもつ群は、衝動性が高く、加齢とともに脂肪の多い食品の摂取量が増える傾向がみられた。この影響は遺伝子のコピー数が多いと強まることもわかった。
米ニューヨーク大学の研究者は、「この知見により、賢明で意欲のある人でも減量に苦労する理由の一部を説明できる。ただし、遺伝的に肥満になりやすくても、健康的な生活習慣を送ることによって遺伝に打ち勝つことは可能。必ず肥満になるというわけではない」と指摘している。別の研究者もこれに同意し、定期的な運動によってFTO遺伝子による肥満リスクを克服できることが研究で示されていると述べている。
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