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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

糖尿病予備群へ食事・運動介入でリスク低下!

2014年4月21日

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: ダイエット 食事

血糖値が高く、2型糖尿病の発症リスクが高い人では、減量と運動による生活習慣の改善が心疾患やその他の原因による総死亡リスクの低下に有効との長期追跡研究結果が中国から報告された。

 糖代謝異常のみられる中国人を対象に糖尿病発症予防を目的とした食事・運動プログラムによる介入を6年間実施し、その後23年間の長期にわたって追跡したところ、観察期間を通じて、介入群では冠動脈疾患や脳卒中といった心血管疾患、およびその他の原因による総死亡リスクが有意に低下していることがわかった。同研究者によると、死亡率の低下は、生活習慣介入によって糖尿病の発症が遅延されたことに原因の一部があると考えられたとしている。

 研究では、食事および運動プログラム群(介入群)と従来の生活習慣を維持する群(非介入群)に無作為に割り付けた。介入群の食事プログラムは、肥満者あるいは過体重者向けには減量を促すよう、正常体重者向けには炭水化物やアルコールの摂取量を減らすように構成された。運動プログラムは、余暇時間に身体運動を増加させることを重視した。

 介入終了後に20年以上の追跡を行った結果、介入群の心血管疾患による死亡率は12%と、非介入群の約20%より低いことがわかった。すべての原因による全死亡率についても、介入群では28 %だったが、非介入群では38%超だった。この結果について、同氏は、「糖尿病前症患者に生活習慣介入を実施すること、そして糖尿病患者の長期予後を臨床および公衆衛生的にコントロールすることにさらなる正当性が提示された」と述べている。

 米イエール大学の他の研究者は、「この研究では第一に、糖尿病予防に特化した生活習慣介入が人生全体の利益となることを明らかにした。予防可能な慢性疾患の原因と保護因子が相互に関係することを鑑みれば驚くべきことではない。糖尿病予防に向けた食事と身体運動が心血管疾患予防にも機能するということだ」とコメント。さらに、「本研究では第二に、確かな生活習慣介入を十分な期間行うことが介入終了後も長期にわたる恩恵を与えるギフトになることを明らかにしている。これは驚くべき点で、このような介入の費用対効果に関して重要な展望を示したといえるだろう」と述べている。

 この報告はある意味、当然と言えば当然の結果を示しただけかも?知れません...ただ、やはり糖尿病予備群であってもそこへの介入で将来の心血管死などのリスク軽減が可能である事を示したことは特筆すべきかも?知れません!

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佐藤浩明

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