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フィンランドのヘルシンキ大学の研究者らは,かつて同国の代表選手として国際試合で活躍した経験を持つ元アスリートの男性約400人を対象とした観察研究を行い,「元アスリート群では一般の健康な対照群と比べて晩年の2型糖尿病発症リスクが28%有意に低かった」とする結果を発表しました。同研究者らは,青年期に身体活動レベルが高かったアスリートでは,晩年に糖代謝異常を起こすリスクが低いとの仮説を立て,今回の観察研究を実施した。
その結果,元アスリート群では対照群に比べて2型糖尿病発症リスクが28%有意に低かった。中でも,持久力を要する競技のアスリート群で最大の減少率が示され,61%低かった。また,元アスリート群では耐糖能異常(IGT)となるリスクも42%有意に低かった。
さらに,2型糖尿病発症リスクは余暇時間の身体活動の増加に伴い減少した。なお,余暇時間の身体活動と空腹時高血糖あるいはIGTとの間に有意な関連性は認められなかったが,これらと2型糖尿病を合わせて解析したところ,余暇時間の身体活動の増加とともに有意に低下していた。
同氏らは「以前報告された同じコホートの研究で,現在の余暇時間の身体活動が2型糖尿病リスクの低下と関連しており,元アスリート群では対照群に比べて高齢となっても身体活動を維持するライフスタイルを送る傾向が示された。今回の結果は以前の研究結果を支持するものとなった」としている。
また,自己申告による質問票調査であることや食事内容を加味していないなど今回の研究の限界を挙げた上で,「元アスリートでは,晩年の2型糖尿病とIGTリスクが低いことが分かった。さらに,最近の身体活動がこれらのリスク低下で重要な役割を果たす可能性が示された」と結論付けている。