【第12回】AI時代に必要なのは“速さ”ではなく「立ち止まる力」かもしれない

佐々木康仁

佐々木康仁

テーマ:生成AI


生成AIを使うようになって、私の仕事は間違いなく速くなりました。

文章を書く。
アイデアを考える。
分からないことを調べる。
資料の構成を考える。

以前なら30分、1時間とかかっていたことが、生成AIを使えば数分で形になることもあります。

本当に便利な時代になりました。

でも最近、私は逆のことも考えるようになりました。

「何でも速くできることが、本当に良いことなのだろうか?」

今回はそんなお話です。

AIはとにかく速い

人間とAIの大きな違いの一つは、やはりスピードです。

例えば、

「このテーマでアイデアを10個出して」

とお願いすれば、AIはあっという間に答えてくれます。

私が一人で考えていたら、10個出すだけでもかなり時間がかかるでしょう。

文章についても同じです。

構成を考え、文章を書き、読み直して修正する。

AIを活用すれば、その時間を大幅に短縮できます。

だから私自身、生成AIを積極的に仕事へ取り入れています。

しかし――

ここに少し落とし穴があるような気がするのです。

「速い=良い」になっていないか

仕事ではよく、

「効率化」
「生産性向上」
「時短」

という言葉が使われます。

もちろん大切なことです。

私も効率化は大好きです(笑)。

しかし、すべてを速くすることが正解なのでしょうか。

例えばAIが作った文章。

一見すると、とてもきれいです。
誤字も少ない。
構成もしっかりしています。

でも読んでみると、

「何か違うな……」

と感じることがあります。

そんなとき私は、少し立ち止まります。

「これは本当に自分が言いたかったことなのか?」

と。

AIの答えをそのまま使わない

生成AIを使い始めた頃は、

AIから良い文章が出てくると、

「おお、すごい!」

と思っていました。

今でも思います(笑)。

でも、使い続けるうちに分かってきました。

AIが出した答えは、

「完成品」ではなく「材料」

なのです。

その材料を見ながら、

これは違う。
ここは使える。
もう少し自分の経験を入れよう。
この表現は自分らしくない。

そうやって考える。

この時間がとても大切なのです。

立ち止まることで見えるもの


これはAIだけの話ではないと思います。

仕事でもそうです。

「早く結果を出さなければ」
「早く答えを出さなければ」

と思っていると、

目の前の大切なものを見落としてしまうことがあります。

販売の現場でも、

早く商品説明をして、

早く購入してもらおうとすると、

お客様が本当に困っていることを聞き逃してしまうかもしれません。

まず話を聞く。
考える。
そして提案する。

遠回りに見えても、

その方が結果的に良い仕事につながることがあります。

AIが速いから、人間まで速くなる必要はない

私はここが大切だと思っています。

AIは速い。

だったら、

速い仕事はAIに任せればいい。

そして人間は、

考える。
判断する。
感じる。
悩む。
決める。

そういう時間を大切にすればいいのではないでしょうか。

AIとスピード競争をする必要はありません。

そもそも勝てません(笑)。

65歳になって分かったこと

若い頃の私は、

「早く結果を出したい」

と思っていました。

仕事でもそうでした。

早く昇進したい。
早く成果を出したい。
早く認められたい。

でも65歳になった今、

少し考え方が変わりました。

人生には、

すぐに答えを出さなくてもいいことがあります。

悩んでもいい。
迷ってもいい。
遠回りしてもいい。

むしろ、

その時間の中で見つかるものもあります。

AIが数秒で答えを出してくれる時代だからこそ、

そんな時間が以前より大切になるのかもしれません。

Today's English Phrase

"Slow down and think."
(少し立ち止まって考えよう。)

AI時代には、少し不思議な言葉かもしれません。

何でも速くなる時代。

だからこそ、

あえて立ち止まる。

AIの答えを見て、

「本当にそうなのか?」

と考えてみる。

その数分が、人間にとって大切な時間になるのではないでしょうか。

最後に

生成AIは、

私たちに「速さ」を与えてくれました。

私はこれからも、その力をどんどん活用していきたいと思っています。

でも、

AIによって生まれた時間まで、また別の仕事で埋めてしまったらどうでしょう。

せっかくAIが作ってくれた時間です。

少しくらい、

考えることに使ってもいい。

人と話すことに使ってもいい。

新しいことを学ぶ時間にしてもいい。

そして時には、

何もしない時間があってもいいのかもしれません。

AIに速さを任せ、人間は立ち止まって考える。

そんな役割分担も、

AIと人間の「ちょうどいい距離感」の一つではないでしょうか。

次回は、

【第13回】AIに「正解」を求めすぎてはいけない理由

について考えてみたいと思います。

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佐々木康仁
専門家

佐々木康仁(ITコンサルタント)

株式会社CNCコンサルティング

対面と非対面を組み合わせた独自のマーケティング手法、ChatGPTを活用するための基礎的な講習、小学校などでのICT教育支援を事業の柱とする。数々の職業を経験し“現場感覚”でサポートできるのが強み。

佐々木康仁プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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