5月は「孤独・孤立対策強化月間」その根底にある価値観と社会構造
産業カウンセラーの鎌田千穂です。
チホズスタジオは福岡市に拠点を置き、オンラインや訪問をあわせた産業カウンセリングを実施。
他にも実施していることは
- 産業カウンセリング及びコンサルティング。
- 人材育成の仕組みづくりのための自発的行動を促す教育研修。
- 「業務改善・組織変革」の企画提案実施。
- チホズ文字分析による人材分析及び提案。
働く現場では、日々多くの従業員が顧客対応に追われています。
ですが、「お客様は神様」という価値観が行き過ぎると、カスタマーハラスメント(カスハラ)という深刻な問題が生まれることをご存知でしょうか?
今週月曜日に、今国会で法案が成立する予定を含め、一般社団法人日本産業カウンセラー協会の緊急勉強会が開催。
カスハラ問題に焦点を当て、従業員の権利を守るための法的枠組みや実践的な対応策が共有されました。
このブログでは、勉強会で共有された知識を基に、カスハラの現状、関わる主要な法律、そして産業カウンセラーや経営層が取るべき具体的なアクションについてお伝えします。
「どうしたら職場が安心して働ける場所になるのか?」その問いに答える一歩を共に探っていきましょう。
カスタマーハラスメントの深刻な現状
一般社団法人 産業カウンセラー協会の緊急勉強会で、全国の産業カウンセラー100名弱が参加する中で、カスタマーハラスメントが従業員や職場全体に与える影響について深く議論されました。
長時間のクレーム対応、個人攻撃、さらには身体的・心理的な被害が深刻化しており、この問題を放置することはもはや不可能です。
以前からカスタマーハラスメントの事例から事業が成り立たなくなったことや動画の公開から誹謗中傷など、被害が後を絶ちません。
福岡では、警察職員にまで及んでいるようで、1万人のうち「カスハラに苦慮」が8割。
増え続ける「カスハラ」は、強大な権力を持って治安を維持する行政機関「警察」でも、大きな問題となっています。
緊急勉強会での重要な議論
法律の力で職場を守る 勉強会で中心となったテーマは以下の主要な法律でした。
労働契約法・労働安全衛生法
企業がカスハラ防止の適切な措置を講じない場合、安全配慮義務違反に問われる可能性があります。
労働施策総合推進法
厚生労働省の指針の中で、カスタマーハラスメントに対しても企業に措置を求めています。
労働者災害補償保険法
2023年9月改定の精神障害の認定基準に基づき、従業員が顧客から受けた精神的・身体的被害が労災認定されることがあります。
刑法
脅迫罪、侮辱罪、強要罪、暴行罪などに該当する場合、加害者は刑罰の対象となります。
民法
企業や従業員が被害を受けた場合、加害者に損害賠償を請求することができます。
また、東京都で初めて制定された「カスタマーハラスメント防止条例」についても触れられ、自治体レベルでの取り組みの広がりが話題となりました。
産業カウンセラーの役割
緊急勉強会から得た洞察 産業カウンセラー協会の議論では、以下の役割を再度共有。
ストレスケア:従業員の心理的な負担を軽減するサポート。
職場環境改善:企業と連携し、問題の本質を見極めた提案を行う。
法的知識の活用:従業員に安心感を与える支援を提供。
経営層と人事に向けた具体的なアクション
カスタマーハラスメント問題に対する組織的な対応策として、緊急勉強会で提案された5つの行動
1.従業員への教育プログラムの導入。
2.カスハラ防止ポリシーの明文化と社内外への発信。
3.相談窓口の設置と積極的な利用促進。
4.産業カウンセラーとの連携体制の構築。
5.顧客に対する啓発活動の強化。
これらを実行することは急務。
職員のモチベーションや心身ともに影響してくること。
職場全体の安全と安心を確保することにもつながる。
とはいえ、中小企業が大企業のように、予算を組んでしっかりと取り組めるかといえばそうも言ってられず。
全般にどうするのか悩ましいかもしれません。
業務ワークフローの確立やエスカレーションポイントの明示。
そして、ストレスケアの仕組み作りには、専門家の力を借りることが早道です。
カスタマーハラスメントを受けたら
声を上げる勇気が大きな変化を生む。
職場で苦しむ従業員を守るために、まずは従業員の声を聞くことから始めないと先に進めません。
人事や経営層の皆様には、組織全体の取り組みをリードする力を発揮することが求められていて、そのこと含めて休職者を減らすことや離職防止につながるかもしれません。
まとめ
共に安心できる未来を築くために 法律の力と人の力を合わせることで、カスタマーハラスメントに立ち向かい、従業員が安心して働ける職場を作ることができます。
その未来を守るための取り組みを、ことが大きくなる前に今から始める時期に来ているようです。