うつ病夫婦の共倒れ防止策
フィードバックとは、簡単に言うと「反応」です。
そして反応も色々です。前向き・同調的だったり、ネガティブだったり、反対意見だったり、無反応という「反応」もあるでしょう。
家族関係も、ポジティブなフィードバックの割合が多いことが関係良化には効果があります。
ポジティブなフィードバックの効果、そしてすぐ取り入れられるやり方について考察します。
1.ポジティブなフィードバックとは?
①ポジティブなフィードバックとは
相手が行った行動・態度・発言などに対して前向きな反応をすることです。
具体的には
◆感謝
◆賞賛
◆承認
などです。
例えば「今日のご飯美味しかったよ」「遅くまでお仕事頑張ったね」などですね。
そしてポイントは
◆具体的:何が、どう良かったのか
◆即時性:すぐその場で返す反応がポジティブであること
◆相手への尊重を欠かさない
ことです。
②ネガティブなフィードバックとの違い
ではポジティブ(前向き・肯定的)ではないフィードバックとはどんなものでしょうか。
◆相手の行動を修正しようとする内容
◆相手の問題点を指摘する内容
◆相手が身構えたり、落ち込んだりするようなフィードバック
◆相手の努力を認めず更に上を要求する内容
などが該当するでしょう。
これらが「してはいけないフィードバック」と言うことではありません。
ただ、伝えるタイミングや量が難しいです。
③心理的安全性を生む力がある
心理的安全性とは「この場・環境では自分の意見や感情を自由に表現して大丈夫なんだ」と信じられる状態です。
心理的安全性は職場で求められる要素として議論されることが多いですが、家庭にこそ必要です。
ポジティブなフィードバックにより、家庭内の心理的安全性を高めることが出来ます。
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2.家族内でポジティブなフィードバックが効果的な理由
まず理由の一つ目として「信頼関係の強化」が挙げられます。
家族は常に、そして長年一緒にいます。
一緒にいる理由は?と聞かれたら「家族だから」と答えるでしょう。その更に根本にある信頼関係には目が行きにくいです。
そしてもしもそれが揺らいでいるとしても気づきにくい。揺らぎに気づいた時は結構問題が大きくなっている時です。
ポジティブフィードバックを意識することで
◆あなたをちゃんと見ています
◆あなたの毎日の努力を評価しています
と言う気持ちを伝えることが出来、安心感を与えられます。
二つ目は感情が安定する、という効果が期待できます。
職場、地域、移動途中など色んな場面で受けたストレスを持ち帰る場が家庭です。
家族間のポジティブなフィードバックを習慣化することで、そうしたストレスを和らげることが出来ます。
そして身近な人から常にポジティブなフィードバックを受け続けられると、気持ちが前向きになりやすくなります。
三つ目は自己評価が向上することです。
毎日一緒にいる家族からポジティブなフィードバックを受けることは、
◆自分は必要な存在なのだ
◆自分のやっていること・いることに意味があるのだ
と信じることが出来ます。
これは自己評価の改善と安定に直結します。
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3.実践ステップ:家族にポジティブなフィードバックを伝える方法
家族間でポジティブなフィードバックを効果的に伝えるには、日常の中で意識して実践することが重要です。
以下のステップを取り入れてみましょう。
①ステップ1:観察する - 良い点や努力を見つける習慣をつける
まずは相手の良い行動や努力に気づくための「観察」を行いましょう。
◆日中の行動
◆結果よりやっている過程をよく見る
◆違いに気づく
②ステップ2:具体的に伝える - 「よかった」「すごい」だけでは足りない!
すごいね!だけでは相手の心に残りませんし、①の観察を活かせません。
具体性がめちゃくちゃ大事です。
◆なぜ良いと思ったのか?
◆相手が何をしたのか
◆自分の言葉で肯定的な感情を伝える
③ステップ3:タイミングを意識する - フィードバックを伝える最適なタイミングとは?
伝えるタイミングも大事です。
叱るのと同様、褒めるのもその場ですぐが効果的です。
あとで伝えるとダメなわけではないですが即時バージョンより効果は薄いですし、相手の心境によっては「裏があるのでは」なんて思われかねません。
◆行動の直後に伝える ⇒ 何が良かったのか、を理解しやすくなります
◆相手がネガティブな時は様子を見る
◆目の前にいなくて言葉をかけられない時は、メモや小さな贈り物で表現する
4.ポジティブなフィードバックの実例
うつ病などの心の病を持つ家族へのポジティブフィードバックは、本人視点での努力や、いてくれることそのものを肯定することが重要です。
具体例をいくつかご提案します。
①日常生活での小さな成功を認める
うつ病になると、ごく当たり前の小さな行動すら非常に億劫になります。本人は「その程度のことも出来ない」と自己嫌悪に陥り続けています。
だからこそ、出来ていることは全て「頑張った結果」なのです。
◆ベッドから起きてきた→「起きられたんだね、頑張ったね」
◆一緒に食事を食べた→「一緒にご飯食べられるの、嬉しいよ」
◆家の外に出られた→「大変だったよね、勇気出してくれてありがとう」
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②感情や思いを共有してくれたとき
同様に自分の気持ちを言葉にするのもとても勇気が要ります。自分の感情や意見には価値が無い、言ってはいけないものだ、と思い込んでいるからです。
少しでも表現してくれたら、それは大きな一歩だと理解しましょう。
◆短い言葉でも気持ちを話してくれた→「考えていることを教えてくれて嬉しい。私にはとても価値があることだよ」
◆ネガティブな感情を伝えたとき→「辛い気持ちを話してくれてありがとう。私に言うのも勇気が要ったよね」
③努力やチャレンジを称える
うつ本人にとって、こちらが当たり前と思うようなことの全てが「努力」で「チャレンジ」です。
ただやってる本人が一番その価値を評価しません。家族が率先してポジティブフィードバックをして、自信に育てていきましょう
◆服を着替えられた→「その服やっぱり似合うね、気分も変わったんじゃない?」
◆何か新しいことに手を出した時→「色々考えていたんだね、行動出来たのはすごいことだよ!
④相手の存在自体を肯定する
うつ病と切っても切れない希死念慮は、自分の存在を否定する究極の形です。
だけど家族にとってはその逆で、居てくれなくては困ります。しかし言葉にして伝えなければ本人は「自分はいなくていいんだ」と言う気持ちばかりを強めていきます。
◆一緒に過ごせたとき→「今日は一緒にいられて本当に嬉しい。あなたといると安心するよ」
◆「自分は何も出来ない…」と本人が言ったら→「何もしていなくても、あなたがここにいるだけで私は幸せだよ。」
⑤感謝を具体的に伝える
家族間では感謝していてもあえて伝えることって少ないですよね。
でもうつ病などで自己評価が落ちまくってるとき、毎日小さくても「ありがとう」を伝えてもらえると効果絶大です。
◆家事を手伝ってくれたとき→「お皿を片付けてくれてありがとう。そんな気持ちになってくれたことがとても嬉しいよ。」
ポジティブにポジティブに…と考えると、逆にネガティブな感情への拒否感が高まってしまうこともあります。
ネガティブな感情は否定せず「そうなんだね」と肯定することとで、逆にネガティブさが弱まっていきます。
5.よくある課題とその解決策
①言うのが照れ臭いとき
普段していないと、良い反応であっても照れくささは禁じえません。
やる側がストレスを感じないのも、必要な条件です。
例えばLINEでやり取りするときに、感謝や承認の言葉を大目に伝えるところから練習してみるのは如何でしょう。
またはユーモアを使ってみる。ただしユーモアは双方が笑いと解釈できるものでなければ逆効果です。
単純に何かしてもらったら必ず「ありがと」と付け加えるだけでも慣れていくことが出来るでしょう。
②相手が受け入れない時
極度に自己評価が下がっていると、良いフィードバックも受け入れることが出来ません。
些細なことを褒められることで逆に自尊心が傷つけられたと感じる人もいるでしょう。
ポジティブなフィードバックの原則
◆具体的
◆すぐ・その場で
の2つに加えて
◆本人の得意分野
を活用しましょう。
得意なこと・好きでやっていることへの賞賛は、「なんで?」とは思いにくいです。
そして1回や2回ではなく、何度も繰り返して伝えましょう。
6.まとめ:今日から始める、家族との新しいコミュニケーション
ポジティブなフィードバックは、家族間の信頼関係を強化し、感情の安定を促進し、自己評価を向上させる効果があります。
具体的には、感謝や賞賛、承認などの前向きな反応を迅速かつ具体的に伝えることが重要です。
特に、うつ病を抱える家族に対しては、日常生活の小さな成功や努力を認めることで、本人の自己評価が改善し、心理的安全性も高まります。
実践的なステップとしては、相手の良い行動に気づき、具体的にフィードバックを伝えることが大切です。
ポジティブなフィードバックを積極的に取り入れることで、家族内の関係性がより強固で安心感のあるものになるでしょう。
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