自責思考から抜け出すヒント
~精神疾患との共生:家族とのコミュニケーション術~
家族が精神疾患になると、相手が家族と言えどコミュニケーションスキルが求められます。しかも結構高度なスキルが必要になります。
そのうちの一つ、「相手が不機嫌になったとき」。
相手が病気であることを踏まえたうえで、どのように対処すれば良いでしょうか。
1.相手の不機嫌に影響を受けやすい人の特徴
一緒にいる人、特に一緒に生活している人の機嫌やペースは、どうしたって影響を受けるでしょう。それが「家族」で「同居人」です。
自分の気分を外へ放出するかしないか、は、個人差があります。
外に出さない人は、どうしても出す人に合わせがちです。
合わせるだけではなく、時に『私のせいで機嫌が悪いのだ』とか、『私が宥めてあげなければいけない』と考えてしまいます。
そうすると、機嫌の悪い人と一緒にいるストレスだけでなく、要らぬ責任感や使命感を抱えてしまいます。
相手の不機嫌と自分を紐づけるのを止めることから始める必要があります。
2.相手の不機嫌に振り回されない3つのステップ
①自分と切り離す
<1>でも触れましたが、相手の不機嫌の影響を強く受けてしまう人は、自分と相手の境界線があいまいです。
仲がいいから、家族だから、相手を大事に思っているから、という理由かもしれないし、過去に『私の気分が悪いのはあなたのせい』のような理不尽な言葉を投げかけられて、そのせいで自己評価が下がってしまった経験がある人もいるかもしれません。
ですが、本来自分の機嫌は自分でどうにかするものです。
相手は何かしらの理由があって不機嫌になっているのでしょう。
一緒にいれば無言でも伝わってきますし、居心地の悪さから何とか機嫌を直してほしいとも思います。
ですが、相手の機嫌は相手のものです。
こちらには変えなければいけない責任はありません。
「相手は相手、自分は自分」なのです。
②自分に集中する
不機嫌な人と一緒にいると、自分自身には特に問題がないのに、不安になったり落ち着かない気分になったりイライラしてしまいます。
そして本来自分がするべきことやしたいことに集中出来なくなります。
非常にもったいないですね。
勿体ない時間を過ごすと、後になって『あの時あの人があんな状態でなければ』のように、見当違いな恨みも感じかねません。
一緒にいる相手の不機嫌を感じたら、意識を自分に集中させましょう。
マインドフルネス的な瞑想が出来ると一番ですが、自分自身に集中すればいいので、マインドフル(今この瞬間との一体化)に限定しなくてもいいと思います。
今やろうとしていたこと、それはどうしてやろうとしていたのか?目的を思い出せば集中を取り戻せます。
そしてすべきこと・やりたいことに集中しているうちに、相手の不機嫌に巻き込まれない時間を過ごすことが出来ているでしょう。
③不機嫌に振り回されない自分を褒める、慰める
一緒にいる相手の不機嫌に影響を受けるのは、当然でもあります。
『感情伝染』または『社会的感染』と呼ばれる現象で、他者の感情が感染することが分かっています。
例えば、他者が喜んでいると、その喜びが観察者にも広がりやすくなります。
同様に、他者が悲しんでいると、その悲しみが観察者にも影響を与える可能性があります。人は互いに影響し合う存在なのですから、当たり前ですよね。
良い感情なら問題ありませんが、ネガティブな感情だとこちらも一緒にネガティブになる。かといって家族であれば『一緒にいたくない』と切り捨てるわけにもいきません。
相手を思いやるからこそ、不機嫌オーラにも耐えて一緒にいるのです。
その選択をして今まさに努力している自分を、たくさん褒めて労わりましょう。
『相手が喜ぶことを何もしてあげられていないのに』
と、自分を褒めることを拒んでしまうかもしれません。
ですが、一緒にいること自体が、心の病を得ている人にとっては助けなのです。
その行為ですでに役割を果たしています。
『お疲れ様、自分』
と、褒めて労わりましょう。
3.まとめ
≪相手の不機嫌に振り回されない3ステップ≫
1.自分と相手を切り離す
2.自分に意識を集中させる
3.役割を果たしている自分を褒めて労わる
相手の不機嫌をどうにかしてあげなきゃ、と考えるのは、自分が相手を変えることが出来ると思っているから、ではないでしょうか?
だとすれば、それは諦めましょう。
余程の奥の手でもない限り、他人は変えられません。それは家族であっても同様です。
相手を変えるのではなく、自分に集中しましょう。
それは相手への無関心ではありません。自分を守ることであり、ひいては家族みんなを守る基盤を作ることです。
相手の不機嫌を『相手の問題だ』と区別することが出来れば、自分の意見や感情も表出しやすくなります。
コミュニケーション改善は、常に円環関係なのです。
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