自分事として捉える
悩みや問題があってメンタルが後ろ向きになっているときに「どうなりたい?」「目標は?」と聞かれても考えづらいですよね。
それでも理想像があるかないかで、今後は大きく変わってきます。
1.どうして理想像が描けないのか
「~になったらいいのに」は、心のどこかで考えているでしょう。
けれど思い浮かんだとしても諦めてしまいます。
諦める理由は色々あると思います。
・だけど××が解決しなければ無理だよね
・きっと叶うことはない
と考えてしまったり、
・思い浮かんだ理想像がリアルじゃない、抽象的
であるために何から手を付けていいか分からなかったり、
・面倒くさい
・今はそれどころじゃない
と後回しにしてしまったりするからではないでしょうか。
どれも全部普通のことだと思います。
しかし、理想像があったほうがいいな、と思うなら、それを思い浮かべられるような方法で挑戦してみては如何でしょうか。
ポイントは、
- 具体性
- スモールステップ
- 行動化
です。
2.SFAの「ミラクル・クエスチョン」でやってみよう
SFA(ソリューション・フォーカスト・アプローチ、解決志向)の技法のひとつが『ミラクル・クエスチョン』です。
ミラクル・クエスチョンとは、『もし問題が解決されているとしたら、どのようになっていますか?』を想像することで、理想的な状態や望ましい未来の状態を具体的に思い浮かべる方法です。
ステップは以下の通りです。
①ポジティブな前提を確認する
②未来の理想的な状態を描く
③具体的な詳細を想像する
④その時の感情や経験を想像する
⑤過去の類似の成功体験や前向きな側面を探す
⑥今に視点を戻し、具体的な行動や手順を考える
では実際に、事例で見ていきましょう。
3.【事例】夫がうつ病の32歳女性のミラクル・クエスチョン
①ポジティブな前提を確認する
「もし何かが変わっていると仮定した場合、それはどのような変化ですか?」
↓
夫のうつ病が回復している
②未来の理想的な状態を描く
「もし問題が解決されていると仮定したら、どのようになっていますか?」
↓
朝、夫も一緒に目が覚めて、二人で出社の準備をして朝食を食べる。
③具体的な詳細を想像する
「どんな具体的な変化がありますか?」
↓
家に誰もいない状態になるから、戸締りを確認する。
仕事帰りに買い物に寄るから、買っておいて欲しいものがあるか聞いておく
丁度出てきたお向かいさんに二人で挨拶をする
④その時の感情や経験を想像する
「その状態にいると、どんな気持ちがするでしょうか?」
↓
自分がいない間に夫が一人で寂しくなったりひどく落ち込んだりしないか、という不安が無くなる
将来どうなるだろう、という不安から解放される
不安が無くなるから、もっと頑張ろうという意欲がわいてくる
⑤過去の類似の成功体験や前向きな側面を探す
「以前に同様の状況で成功した経験がありますか?」
↓
全く同じケースでの成功体験は無いが、一度行くのを止めた通院を再開したことがあり、それは今も続けられている。
⑥今に視点を戻し、具体的な行動や手順を考える
「それに至るための具体的なステップや行動は何でしょうか?」
↓
昼間は家にいる夫のことを必要以上に考えない
夫が出社しなくても、駅まで一緒に歩いてみる
私が出社した後寝てもいいから、朝ごはんだけ一緒に食べるよう習慣づける
こんな感じでしょうか。
意外と今のまま(問題は解決していない状態)でも⑥で出来ることは多いはずです。
4.理想像を描くことのメリット
①自分の中にあるポジティブ目線に気づける
辛い状態が一定期間続くと、「辛い生活」が「日常」になっていきます。そうするとポジティブな思考や行動が「異質」なものになってしまい、時々感じることが出来ても自分で否定してしまうようになります。
その繰り返しで、どんどんポジティブから遠ざかってしまうのです。
ですがミラクル・クエスチョンに取り組むことで、普段は無意識に否定してしまっているポジティブな思考や生活の要素を思い出すことが出来ます。
②モチベーションが上がる
特に『⑥今に視点を戻し、具体的な行動や手順を考える』に取り組むことで体験できます。
具体的に行動したり取り組むことで理想や目的に確実に近づいて行っている、という手ごたえを感じられます。
そして1つ行動すると、それによって自分の思考と感情が変化します。更に周囲も変化し始めます。そうした二次的な変化がまた行動を促進していきます。
モチベーション維持の好循環が回り始めます。
③続けることで自信を取り戻せる
家族がうつ病など精神疾患になると、「ずっとこの状態が続くかもしれない」という不安や、「自分には何も出来ない」という無力感が継続します。
それは「病気が治る」という一点だけが生活改善の要素だと思い込んでいるからではないでしょうか。
しかし理想像を描いてそのための行動をとり続けることで、
・まだ自分にもできることがある
・病気の状態が続いていてもポジティブな面はある
・「頑張ろう」と思える自分、えらい!
と自信を取り戻すことが出来るのです。
5.まとめ
①辛い時に理想像に気持ちが向かないのは、その理想像が抽象的だから
②理想像を描くことは、明日以降の生活改善に直結する
③理想像を描く方法の一つが「ミラクル・クエスチョン」
④理想像を描くことで、自分の自信を取り戻せる
「どうやったら理想を叶えられるだろう」と、手段を先に考えると「やっぱり無理かも」と思ってしまいます。
ですが手段は後からでも考えられます。
先にリアルで具体的な理想像を描くところから始めましょう。
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