ビジョニングで描く未来:家族のうつ病と共に歩む道
夫婦とは不思議なご縁です。
血は繋がっていないのに結婚した途端「一心同体」として扱われる。
一緒にいる時間は長いし家族内の問題はまず一番に相談する相手。
だけど意外と何を考えているか分からない。
分かっているようでわからない夫婦の悩みの解決法について考えました。
1.コミュニケーションはやっぱり大事
あえて言うことでもないかもしれませんが、夫婦と言っても「対人関係」ですからコミュニケーションは大事ですよね。
ですが「ちゃんと取れている」と確信できる夫婦は少ないのではないでしょうか。
声を掛け合ったりお互いの様子を見てはいるものの、何を考えているのか、一緒にいない時に相手がどんな状況にあるか、は、言葉で伝えあわなければ分かりません。
そうした意味でのコミュニケーションが、実は一番蔑ろになるのが夫婦です。
いつも一緒にいることは、強みでもある反面、「一緒にいるから何かあれば言ってくれる、分かるはず」という思い込みの元にもなるのです。
何か問題を抱えていないか、あるとしてもそれは独力で解決できるものなのか、自分の手助けは必要ないのか、を伝えあえるコミュニケーションが必要です。
2.夫婦間の相談の方法
①いつも話しているテーマは?
普段の夫婦の会話のテーマは何でしょうか。
その日にあったことや、子どもなど他の家族について、ご近所のこと、社会的なニュースについてなどいろいろあると思いますが、「普段の会話」とは違うテーマについて話し合うことは意外と少ないのではないでしょうか。
特に、話したい内容が普段の会話のテーマとかけ離れていれば話しづらさは強まってしまいます。
しかし逆に言えば、普段から話す習慣はあるのです。
そのテーマに紐づけて本題へつなげましょう。
②タイミングを見る
忌憚なく話し合える夫婦とはいえ、外で仕事をしたり何か役割を負っていれば相手には分からない疲れやストレスもあります。
家に帰っても仕事のことで頭がいっぱい、という経験は誰にでもあるでしょう。
そんな時に全く違う話題、しかも重要度高な相談を持ち掛けられても、すぐに気持ちも頭も切り替えられません。疲れている分「どうして今……」と思って、ストレスに感じて、場合によっては言い争いにもなりかねません。
ある程度疲労が解消されて、相手が新しいテーマについて考える余裕を取り戻したタイミングを見計らいましょう。
③思い込みは一旦忘れる
長く一緒にいると、相手のことを知り尽くしたような気になります。実際「あ・うん」の呼吸でやり取りしているご夫婦も多いでしょう。夫婦歴が長ければ尚更です。
しかし人は成長します。大人になっても成長します。自分では成長と感じなくても変化は続いています。
結婚当初に得た相手の「人物像」をずっと使いまわしていると、どうしたって現在とのずれが生まれます。
「夫・妻ならこう考えるはず」「こういう反応をするはず」だから「わざわざ言わなくても返事は分かってる、相談するだけ時間の無駄」とは思わず、今の相手の意見を真っ新な心と思考で訊ねてみましょう。
3.危機を乗り越える心構え
人の成長は、その段階に合わせて達成するべき「課題」があります。E.エリクソンの「発達課題」です。
夫婦も同様です。
結婚した時を「0才:誕生」とすれば、3歳、5歳、10歳……、と夫婦として成長していくのに沿ってそのタイミングで突き当たる問題・悩みがあるでしょう。
- 会社で出世して忙しくなったせいでストレスが重なりうつ病になる。
- 子どもが学校でいじめられて「行きたくない」と言い出した。
- 義理の両親の介護の問題。
- 家を購入するにあたってローンを組む。
こうした課題は向き合い方によっては「危機」化します。
子どもの成長も会社での出世も新居購入も良いことのはずなのに不思議ですよね。
次々現れる危機は、危機だけではなく、それまでに培ってきた夫婦のスキルを試してきます。
ずっと一緒にいることでお互いを理解できているか、思いやれているか、信頼できているか。
逆に言えば、こうした危機がスキルアップするチャンスにもなります。
ポイントは
- 夫婦、家族は「チームメイト」と考える
- お互いが相手のストレングスを信頼する
- 尊重し合う
ことです。
4.夫婦のきずなを深めるために出来ること
一つは夫婦である前にそれぞれが固有の人格を持った他者であることを認識することが大事です。
慣れてよく知っている相手だと、つい境界線を踏み越えて言ってはいけないことを言ってしまったりします。
言われた側も「夫婦だし」とか「自分たちの間だからまあいいか」と流してくれるかもしれませんが、積み重なれば亀裂にもなりかねません。
一歩引いて「他人」として見ることで、改めて相手の良いところを見直すことも出来るでしょう。
また、自分の意見を言う時に「あなたは・君は○○だから△△するべきだ」のような言い方をしていないか、今一度振り返ってみましょう。
「あなたは・君は」と、主語が相手になっている話し方を「Youメッセージ」と言います。内容によっては言われた側は批判や非難と感じてしまいます。内容は相手にとって有用なことのはずなのに、主語がYouになっているだけで真意が伝わらないのは持ったないです。
大事なことは「私は〇○だと思うから、あなたには△△してほしい」のように、主語を「私」にした「Iメッセージ」で伝えましょう。
相手がそこにいてくれることが当たり前になってしまうと、忘れてしまうのが謝罪と感謝です。
普段の生活の中で、「ありがとう」「ごめんなさい」を、意識して言葉で伝えられているかを振り返ってみませんか?
5.夫婦の悩みが手に負えなくなったら
「夫婦のことは夫婦にしか分からない」
というのは真実でもありますが必要以上に重視すると危険です。
夫婦や家族は密室です。警察すら介入しづらい濃い関係です。
だからこそ当事者も自分たちだけで解決しなければ、と思い過ぎ、抱え込んで、気がつけば手の施しようが無くなってしまいます。
悩みや問題を、タイミングを見て的確な言葉で伝えて共有し、協力し合っても解決のめどが見えなければ、その時は第三者に入ってもらいましょう。
両親、きょうだい、友人・知人。
または法律家、カウンセラー、問題の種類によってはソーシャルワーカーや民生委員など。
他者が入ることで新しい見方や知識を得られます。