自分を美点凝視する
ストレス、と聞いて楽しい気分になる人は少ないでしょう。どうしたって良くないイメージのほうが強いです。
だから色んな方法でストレスを回避しようとするし、「ストレス発散」と聞くと魅力を感じてコストをかけることを厭わない。
それでも、生きている限りストレスと無縁にはなれません。
本当にストレスは、害でしかないのでしょうか。
1.ユーストレスとディストレス
ストレス、という言葉も、「ストレッサー」(負担に感じる原因)と、それによる「ストレス反応」をひっくるめた言葉です。
そしてストレッサーにも2種類あります。
「ユーストレス」と「ディストレス」です。
<ユーストレス>
体に良い効果を示すストレスの総称。
快ストレス(ユーストレス)による効果は、心理学的・肉体的・生化学的な範囲にまで及ぶとされ、個人に幸福感や前向きな感情を与え、健康状態を向上させる。
(wikipedia)
<ディストレス>
ストレスがうまく処理できず心身に負担がかかる状態を指します。(フランチャイズの窓口)
つまり、ストレス、といっても、全部が害になるものではなく、内容によっては健康や幸福に資するものもあるのです。
2.ユーストレスがないと無気力化する
ストレスとは、心的なネガティブ要素だけではありません。体が何かを感じることも「ストレス」といえます。
例えば空腹を感じた時。何か食べよう、という欲求を引き起こします。そして必要な栄養を取ることで、空腹も満たされ、体はエネルギーを得ることが出来ます。
しかし、体がエネルギーを欲しているのに、空腹を感じないとしたらどうでしょう。または空腹を解消しよう、と思わない時。
何かを食べよう、という気力が湧かないので、恐らく身体的に限界近くなるまで何も食べようとしないでしょう。
うつ病の症状の一つです。
または、仕事で同僚が上司に褒められるところを見た時。
率直に羨ましいな、と思うと、「次は自分が頑張ろう」と思えます。仕事を頑張るだけでなく、役に立ちそうな知識を得ようとしたり、力になってくれそうな人と協力したり。
その様子が正しく上司に伝われば、次は自分が褒めてもらって、それが報酬となりまた更に努力しようと思えるでしょう。
結果として自分が成長していけるのです。
どんなに褒められても、それが「ユーストレス」として感じられなければ「そうですか」で終わりです。見てくれた上司に感謝することも無く、一緒に力を合わせた同僚への感謝もなく、努力した自分をほめることなく、ただ疲労感だけが残ります。
もっと頑張ろう、と思えるはずもありません。
3.ディストレスは環境から見直そう
ディストレスは、それこそ人によって無数に想像できるでしょう。
しかし多くは外からやってくるものです。
上司や親からの叱責、他者からの批判、自分に合わない生活・労働環境、経済不況や天災も含まれます。
不況や天災は、備えることは出来てもそれ自体を自分一人の力で避けることや対処することは難しいです。
同じく、不当な叱責や非難も、そこにばかり意識を集中しすぎると、必要な行動や選択が出来ずに自分の人生自体をしぼませてしまうことにもつながります。
自分が対処しきれないようなネガティブな負荷がかかったとき、大抵の人はまずは自分の中に理由を探します。
- もっと注意していればよかった
- 余計なことをしなければ・言わなければよかった
- 自分には分不相応だったのだ
など。
人が自分で自由に出来るのは自分自身だけですから、今後の対策として自分を変えようとすることは間違いではないかもしれません。
しかしやり過ぎると抑うつや過剰適応、自己評価の低下や自尊心の低下を招きます。
自分を顧みたら、同じ数だけ外部環境も見直しましょう。
4.ストレスそのものより影響が問題
ストレス・ストレッサーは「現象」です。それがあるだけですぐに何かが起きるわけではありません。
人によってストレスになるかならないかが異なるのはそのためです。
上司に怒られてもまるで気にしない人もいれば、「クビになるかもしれない」とまで思いつめる人もいます。
だから「○○さんは平気なのに自分はどうして……」と悩む必要はありません。それが自分の傾向なのですから。
ストレス現象そのものは薬でも害でもない、ニュートラルです。
では何が問題か。
ストレス現象をどう捉えて(認知)、それによってどんな行動をとるか、が重要です。
空腹を感じた→「何か食べなきゃ」と認知→食事する(行動)
と、
空腹を感じた→「食べたいと思わない」と認知→空腹を放置(行動)
で、結果が変わります。
上司に怒られた→「あの人はいつも怒ってる人」と認知→「特に気にしない」と判断(行動)
と、
上司に怒られた→「私はいつも怒られる」と認知→「次に怒られる前に退職しよう」(行動)
という違いになります。
どちらが正しいか、は、正直分かりません。
しかし、どう認知してどう行動することが「自分にとって有益か」を判断することは、誰にでも出来ることだと思います。
ストレスがあるかどうか、ではなく、何か事象が起きた時に「自分にとって有益な判断をする」ことが大事なのです。
5.まとめ
①ストレスには2種類(ユーストレス、ディストレス)がある
②ユーストレスは欲求を刺激する「良いストレス」
③ディストレスの対処は外部環境対策を忘れない
④ストレスの有無が問題なのではなく、それによる認知と行動が重要
ストレスが全くない「ノーストレス」な状態を目指すのではなく、ストレス、特にディストレスを感じた時に、それをどう認知し、行動化するか、の判断を大切にしましょう。