怒りの表現と活用方法

西岡惠美子

西岡惠美子

テーマ:スキルアップ/キャリアアップ

怒りの表現と活用方法
怒りの感情は厄介です。多数ある感情の中で特に怒りについては「アンガー・マネジメント」があるのも、持て余して困っている人が多いからでしょう。
しかし怒りを感じるのにも理由があります。
なぜ、今、自分は怒ったのでしょう。
その怒りは、どのように対処することが正しいのでしょうか。

1.怒りは結果

「怒り」というと、ネガティブ感情の中でも外へ向かって爆発しやすい、という特徴があります。
大人になれば反射で怒りを表現することはあまりよろしくない行動と見做されがちです。だから大方の人は抑えようと頑張る。

ただし、「なぜ怒りを感じたか」の理由によっては、何も意思表示せず抑えるだけでいるほうがデメリットが大きくなることがあります。

例えば、誰かから容姿をけなされたとき。家族や友人、尊敬する人などを理由なくけなされたとき。
自分が本当は悪くないのに叱責されたり、なじられたり。
誰かの不注意で怪我や損害をうけそうになったり。

こうしたとき、最初は「恐怖」「戸惑い」「恥」などを感じるでしょう。
しかし次第に怒りに変わっていきます。

こうした怒りは、自分の中で整理したうえで正しく表現するほうが、メンタルヘルスを保つことが出来ます。

2.怒りの感情の整理

後から変質した結果としての「怒り」であっても、怒りに転じたら発火は早まります。
脳内で怒りを感じる部位は行動化までの「ショートカット経路」を持っているので、自制しなければいつものやり方で暴発してしまうかもしれません。

いわれのない侮辱や危機状態であっても、そうした表現方法はやはり自分への被害も小さくありません。

怒りは爆発させるのではなく、「表現する」ことが必要です。
表現するためには、「自分が、いつ、どこで、誰から何を言われて・されて、それに対してどう感じたのか」を、「5W1H」で整理する必要があります。

それによって、どうやって表現することが可能なのか、が見えてきます。
表現する方法が見えてくると、怒りそのものは消えないかもしれませんが、爆発寸前まで高まった熱は少しずつ引いていきます。


3.怒りの表現

ではどう表現すればいいでしょうか。

一番は、同じ土俵に上がらないことです。
相手が「ブス」と言ってきたことで反射的に「ハゲ」と言い返せば、同じ土俵の上で戦うことを受け入れたも同然です。

上記の「5W1H」で整理するとしたら、

「部長は私の容姿を醜いと言った。私はそれに対してとても傷ついた。本当なら同じように見た目を貶し返したいけど、どうせ違う言葉を使ってもっと言い返してくるだろう。不毛な言い争いをするよりは、私が傷ついたことを周囲の人に知ってもらおう」


のように整理すると、自然と「どうやって表現すればいいか」が分かります。
大事なのは「ブスと言われても平気なわけではないが、相手と同レベルにならないために言い返すことを我慢している」状況を第三者に知ってもらうことでしょう。

4.怒りの表現を活用して自己分析

自己分析自己評価をするときに、どちらかと言うとネガティブな要素を多く挙げる方が多いです。
謙虚で奥ゆかしい、自画自賛は滅多にしない日本人らしい姿はとても好ましいですが、たくさん挙げた「ネガティブ要素(欠点・短所)」は、果たして本当にその通りでしょうか。

「子どもの頃から親に言われてきた」
「友達からよく『あなたは○○なところがある』と言われる」

のように、他者からの評価が元ネタになっていることが多いです。
それも今一度考え直してみましょう。

ずっと親から「うっかりミスが多い、ぼんやりした子」と言われ続け、大人になっても言われてしまい、ムッとしたとします。
そんなときも「5W1H」で、親からそう言われたときの自分を分析してみましょう。

「お母さんからまた『ぼんやりしている』と言われてムカついた。けれど今ではぼんやりするように見えている時の自分は体調がよくなくて集中力が落ちている時だ、と言うことが分かっている。ただの怠けでぼんやりしてるわけじゃない、私はついぼんやりしてしまうくらい、毎日頑張ってるんだ」


すると、自己評価は、「ぼんやりしている」ではなく、「疲労がたまると集中力が低下しやすいので、溜め込み過ぎないように調整している」人、に変わります。

5.まとめ

①怒りの感情は、他の感情や思考の結果として現れる場合もある
②怒りはすぐに爆発させるのではなく、まず「どうして怒ったか」を自分の中で整理する
③怒りを整理したうえで、一番適切な表現方法を考える
④怒りを元に自己分析・自己評価の上書きも可能


怒りはどちらかというとネガティブ感情に分類されますが、外へ向かっていく力を持っています。不安や孤独感のように抱え込み続けることは少ないでしょう。時間が経てば鎮静化もします。
そうした怒りの持つプラス面を使って、上手に自分の怒りと付き合っていきましょう。

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