【発達障害の夫婦】配偶者が感じるストレスと対処法

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【発達障害の夫婦】配偶者が感じるストレスと対処法
夫が・妻が発達障害だった時の、生活環境上の問題、コミュニケーションの工夫について、どちらかと言うと発達障害側の視点でお話してきました。
今回は反対側、発達障害ではない妻・夫がどうしても感じてしまうストレスや違和感と、それについての対処法を考えてみましょう。

1.発達障害の伴侶にストレスを感じる場面

①相手のペースに巻き込まれ続ける

発達障害の人は、興が乗ると止まらなくなります。
一人で何かに集中しているときもすごいです。文字通り寝食忘れて、トイレも忘れて没頭します。
一人で集中している時は、心配にはなりますが放置しておけばいいのであまり問題はありません。

問題なのは、一緒に何かをする時です。
ASDの特徴で「こだわりの強さ」があります。これは大人になっても弱まりません。
ワガママとかそういうレベルではない頑強さで、「これだ!」と思ったポイントは譲りません。
譲らないというより、譲る、という選択肢を取れないのだと思います。

「その場の状況に応じて」「適宜に」ということも苦手なので、相手やTPOに沿って変えることも苦手です。

結果として常に一緒に行動する夫婦は、相手のこだわりに巻き込まれ続けることになります。
相手の考えを変えさせるよりも、譲ったほうが早いのです。

②言いたいことが、望む形で伝わらない

相手が発達障害の人じゃなくても、自分の意思を正確に他者に伝える、理解してもらうことはとても難しいです。
発達障害の人の他者理解の仕方が一般の人のそれとは異なるためだと思います。

相手(発達障害の人)が「なるほどね」と了解を示してくれても、その理解した内容がこちらからすると「少し違うんだけど」ということが頻発します。
言葉を尽くして、相手が理解できるような方法(過去の体験事例や一般的な法則、図解する)を使って説明すればいいのかもしれませんが、世間話程度の重要度の低い会話でそこまでやろうとすると、コストパフォーマンスが悪く双方疲れてしまうでしょう。

世間話なら伝わらなくても「まあいいか」で済むかもしれません。
しかし夫婦だと、それが日常茶飯事のため、「感じ方が違う」「理解し合えない」[/太字]という違和感が塵のように溜まり続けるため、ストレスになってしまいます。

③不慣れな場面で不測の事態が起きやすい

慣れない場所や初対面の人のいる状況では誰でも緊張します。
発達障害の人は尚更です。
特にASDの人は「~~でなければならない」というこだわりがどんな状況でも頭から離れません。
よく分からない場所=何が起きるか分からない=何が起きてもおかしくない、と開き直ることが難しいです。

結果として、ただでさえ不測の事態が起きやすい場面で、極度の疲労と緊張からパニックになってしまったり障害特性が出てしまうことがあります。

その時、周囲が一番に助けや責任を求めるのが配偶者です。
自分自身のストレスだけではなく、そうした場面での「配偶者としての役割」も果たさなければならないため、ストレスの度合いは半端ないでしょう。

冠婚葬祭は要注意です。

2.発達障害の配偶者の気持ち

①の巻き込まれ
②の意思伝達のしづらさ
③の不測の事態の収拾


のいずれの場面でも、まずはその場を収めるので手一杯です。
私は今40代ですが、親世代はバリバリの戦中・戦後世代なので、「夫婦といえど別人格」とは見てくれません。
片方に何かあれば「妻・夫が(一人で)責任をとるべき」という考えの人は少なくありません。

そうした環境の中で、「私も疲れている、緊張している、パニックになりそう」と主張出来るはずもありません。
その場しのぎに奔走します。
終わった時はぐったりです。
しかし上記のような環境で、妻・夫の疲労やストレスを感じ取ってくれる人がいるでしょうか。

二人分の疲労を、一人で消化して回復するしかないのです。

3.発達障害の配偶者に必要なスキルとは

<2>を見ると配偶者はただただ振り回されるだけの存在のようにも見えますが、出来ることがないわけではありません。
ただ、「どうしたらいいのか」を考える暇もない、というのが正直なところではないでしょうか。

自分への反省も含めて、ここでご提案したいのは「自己開示」です。
辛い、疲れた、分からない、分かってほしい、やりたくない。
こうした言葉を、その場を収めるために我慢し続けている状態を、少しずつ止めていく必要があります。

では、どうやって我慢している気持ちを伝えればいいでしょうか。

そもそもどうして相手(発達障害)に巻き込まれてしまうのか。
それは、彼らが「自分のやり方以外の方法を取れない」からです。
一般的には「相手に合わせる」のが当然の場面でも、それが出来ないのです。
努力や我慢がたらない、のようなレベルを超えて、車いす生活の人が立って歩くことが出来ないのと同じ種類の「出来ない」なのです。

出来ないことをやってほしいと言っても不可能です。
であれば、こちらが相手のやり方に合わせましょう。

例えば感情表現の方法です。
意思が伝わらないとき、
【発達障害】悲しくなる(泣く、黙る、悲しい顔をする)
【配偶者】イライラしてキレる
のように、表現方法が異なるとします。
この時、配偶者の「イライラしてキレる」が、意思が伝わらないことへの不満ではなく、「自分(発達障害)が間違っている・悪いから怒られた」と理解したとしたら、また別のコミュニケーション不全が起こります。

ここで大事なのは「意思が伝わっていないことへストレスを感じている」ことを相手に知ってもらうことだとしたら、自分流の感情表現方法ではなく、同じ状況で相手が取る感情表現方法に従ってみましょう。

すると、伝えたい意思自体は伝わらなくても、伝わらないことへにストレスを感じていることは理解しやすくなります。

そうすれば「どうにかしなくてはいけない」という問題意識を持ってくれます。
そこから自分達夫婦オリジナルの解決方法を模索していけるようになるでしょう。

4.自分自身の意思を大切に

配偶者としての役割・責任、周囲の目など、様々な要素の中で一番ないがしろになりやすいのが「配偶者自身の意思」です。

しかし毎日の忙しさのなかで、「自分がどうしたいか」を考える余裕もない、というのが現実ではないでしょうか。
相手に○○になってもらいたい、もっと○○が出来るようになればいいのに、と、相手への要求は色々出てきますが、それとは別に「自分はどうしたいのか、どう生活していきたいのか」が分からなかったり、日によって白が黒になったりする状態が長く続けば、発達障害の人は混乱する一方です。
その混乱が配偶者側にも波及して、ストレスが増すばかりです。

相手に振り回される状況から脱するためには、自分自身の意思、軸、自分の望みをしっかりと持つことです。
それが多少のことでは揺るがないほど確立されると、普段の生活にも一本筋が通っていきます。
発達障害の人は、場の空気を読むことは苦手ですが、理屈や仕組みを理解するのは得意です。

自分自身を守るため、そして必要以上に夫婦間のストレスを高めないために、自分の意思を大切にしてください。


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西岡惠美子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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