昼夜逆転から抜け出すための小さな習慣と家族の工夫
うつ病になった家族と生活するとは、つまり「うつ病の人を看病しながら生活する」と言うことですよね。
身体介護が必要なケースは稀だと思いますが、状態が常に気になる、という点は他の病気と同じです。
更にうつ病(その他精神疾患含む)の看病をしながら自分の仕事と両立させるには、どうすればいいでしょうか。
1.うつ病以前との違い
①「ちょっとお願い」が出来なくなる
夫婦共に仕事をしていれば、業務上の不測の事態は起こり得ます。
急な残業、出張などで、いつも通り帰宅出来なかったり休日にいなかったり。
その時今までなら相手に「帰宅が間に合わないから代わりにお願い(買い物、荷物の受け取り、子どもの送り迎えなど)」が出来ていたのに、うつ病になるとそれが出来なくなります。
お願いしていたこと自体は大した用事ではなかったとしても、「相手に頼めない」というプレッシャーがのしかかります。
②家での過ごし方が変わる
仕事を終えて帰宅し、家族で食卓を囲んでいる時。
ごく自然に「今日会社でね」という会話が出てきます。
今までなら聞き流してもらえたり、愚痴を聞いてもらえたり、労わりの言葉がもらえていたのに、そうしたコミュニケーションが取れなくなります。
また、家族の側も「負担をかけてはいけない」と思い、話さなくなります。
2.他の病気との違い
①いつまで続くか分からない
例えば風邪なら2~3日、インフルエンザなら4~7日くらいで回復しますよね。
しかしうつ病はそうはいきません。
ちょっと疲れが続いているな、位で気がついたならまだしも、がっつり「うつ病」と診断されるレベルになっていたら、数カ月~年単位での看病生活となります。
それも「あなたは○ヶ月」とも教えてもらえません。
②受け容れるのに時間がかかる
家族がうつ病になった、という未知の状況を受け容れるまでの葛藤が、家族の側にも発生します。
「どうしてこんなことになったんだろう」
「自分のせいかもしれない」
「この先どうなるんだろう」
などの答えのない自問自答を繰り返します。
自分なりの答えが出る、つまり「状況を受け容れる」ことが出来るまでには、時間がかかります。
③周囲に相談出来ない→頼れない
自分でも受け入れることが出来ない上に、病気になったのが自分ではありません。
中には「他の人には言わないでほしい」と頼んでくるうつ病の人もいるかもしれません。
そうなると、周囲に悩みを相談したり、辛さを聞いてもらったり、助けを求めることがしづらくなります。
「家族が体調崩していて…」みたいな濁した言い方だと、体の病気やけがを想定した声かけをしてくれるでしょう。
しかし同じ病気でも、体の病気と心の病とでは看病生活の中身が全く違います。
3.自分の仕事との両立
①有給休暇
まずは有給休暇が何日残っているのか、を確認しましょう。
今は年に支給分の半分(大体5日間前後)の消化が推奨されています。従業員ではなく雇用者(会社側)に取得させる義務があるため、もし溜まっているなら進んで消化しましょう。
②人事部、信頼できる上長との相談
福利厚生、社会保険制度について人事・労務担当部署に相談するのは有効です。
社会保険や他の社員のケースなどに精通しているので、会社や社会保険のどんな制度が使えるかを教えてくれます。
うつ病になった伴侶が退職済みなら、とっとと扶養に入れてしまいましょう。そうしないと年金保険料や健康保険料が個別で発生して、結構な負担となります。
業務についてなら、信頼できる上長に相談しましょう。
「信頼できる」と言うところがポイントです。必ずしも直属の上司とは限らないかもしれません。
こちらが家族のうつ病で参っている時に理不尽な対応をされたらストレス倍増です。
人事部、上司に相談したい、ということは、うつ病本人から了承を得ましょう。
「知られたくない」といっても、同じ会社で勤めているのでないなら面識はないはずですし、看病生活と仕事を両立する上では必要最低限の情報公開です。
③自社の就業規則をチェックする
自分が勤務している会社の就業規則を、隅々までチェックしたことはありますか?
入社時に手渡されたり、社内LANで閲覧できるようになっていたりするかもしれません。
昇給、昇進、有給、忌引、休職、退職など、働くうえで必要な制度について結構細かく書かれています。
家族のうつ看病に直結することではないとしても、活用できる福利厚生制度があるかもしれませんので、確認してみましょう。
4.週1日は「心のレスパイト」
「レスパイト」をご存知でしょうか。
「レスパイト・ケアとは、在宅で乳幼児や障害者(児)、高齢者などを介護(育児)している家族に、支援者が介護(育児)を一時的に代替してリフレッシュしてもらうこと。また、そのようなサービスのこと」
です。
特に高齢者介護については、当事者をデイサービスなどに預かってもらうことで日中に自分の時間が作れたりしますが、精神疾患の場合は重症なケースでないと施設を利用する方は少ないでしょう。
一時的に本人が実家に帰る、などの対策が取れるなら、それもアリですね。
しかし自宅から出ること自体難しい状態ですから、せめて家族は「心だけ」でもリフレッシュする必要があります。
具体的に何をするか、は人それぞれだと思いますが、ポイントは「うつ病家族のことを考えずに済む時間を持つ」ことです。
私は「音」が遮断できる環境が大事では、と思っています。
ヘッドホンをつけてゲームしたりアニメや映画を見たりして、外界を遮断します。
さらに映画の世界に没頭することで、数時間うつ病以外のことに集中出来ます。
うつ病本人には、「○○したいから、○時までは部屋に籠るね」のように、一声かけておくのもいいでしょう。
習慣化することで相手にも「○○の時間だ」と認識されて、緊急時以外は声をかけなくなります。
出来れば複数の「心のレスパイト方法」を作っておくとベストですね。
<おわりに>
一人の時間、自分が自由にできる時間とは、思いの外大事です。
今まで一人になることが少なかった、むしろ苦手だった、という方は、気づかないうちにうつ病に巻き込まれて自分を見失う可能性があります。
最初に申し上げたようにうつ病看病生活は期間が未定です。
すぐ終わるかもしれないし、年単位になるかもしれない。
だからこそ相手だけを優先した偏った看病生活にならないよう、心がけたいですね。
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