優しすぎて自信がもてない
シングルタスク、マルチタスク、とよく聞きますよね。
どちらかと言うと「マルチタスクする人=優秀な人」のようなイメージです。
どうやったらマルチタスク出来るか、のようなノウハウも多いです。
でも私はあえて「シングルタスク」をおすすめいたします。
1.シングルタスク、マルチタスクとは
①シングルタスクとは
「同時に一つのタスクしか実行できない方式」のことです。
WindowsOSが、16bit時代は一度に一つのアプリケーションしか起動できませんでした。
それを「シングルタスク」と呼びました。
②マルチタスクとは
シングルの逆ですね。
「コンピュータにおいて複数のタスク(プロセス)を切り替えて実行できるシステムのこと」です。
お手元のパソコンやスマホは、同時にメールもExcelもPowerpointもLINEもブラウザも同時起動出来ますよね。そのような状態のことです。
2.マルチタスクが何故もてはやされるのか
転じて、同時に色んな業務・作業を並行して進められる能力を「マルチタスク」スキルとして注目されるようになりました。
同時に複数の業務を進められるということは、同じ時間を費やして、シングルタスクの場合とこなせる業務量が変わってくるということです。
一週間かけて3つの業務を終わらせるのと、5つの業務を終わらせるのとでは、5つ終わらせる人(マルチタスク)のほうが組織としては有難いです。一人で約2倍の作業をこなしてくれるのですから。
そしてIT技術が進んで活用しやすくなるなかで、それ以前よりもマルチタスクしやすくなりました。
次第に「マルチタスク出来て当たり前」な風潮が高まって行ったのでは、と思います。
3.マルチタスクのデメリット
①体と心への負荷
マルチタスクがあえて求められる場面は、仕事や家事だと思います。
いずれも、自分の役割として請け負っているものですよね。
仕事での一つ一つの業務、掃除や料理、育児などの家事は、どれも出来ればミスや漏れはしたくない大事なものです。
ミスしたくないものを同時並行するとしたら、並行させる件数分、集中力を保持しなければいけません。
時間短縮は出来るかもしれませんが、終わった後の疲労は半端ないはずです。
②対人
誰かの話を聞いている時に、「マルチタスク」されたらどう思うでしょうか。
この場合はマルチタスクというよりも「ながら」ですね。
相談を聞いてもらいたいのに、相手がパソコンを操作する手を止めなかったり、掃除の手を止めなかったら。
それでも構わない場合もあるかもしれませんが、ほとんどの人は「ちゃんと聞くつもりはないのだ」と判断し、自分がぞんざいに扱われたように感じます。
対面だけでなく、電話などでも同様です。電話だから顔は見えない、と思うかもしれませんが、声の強弱や背景の音などでなんとなく伝わります。
③質が下がる
同時並行するということは、どうしても集中力が分散してしまうため、タスク一つ一つの質や精度が下がるのは当然です。
マルチタスクしている時は、「きっちり仕上げよう」というよりも、「とりあえず終わらせよう」と、テストで言えば赤点スレスレを目指しているような状態です。
集中力が分散した状態で「とりあえず終わらせました」の成果で、依頼主は納得してくれるでしょうか。
④便利使いされる
マルチタスクで業務をこなせることが「当たり前」になると、当然周囲もその人の「普通」が、他の人の2倍量だと理解します。
しかし「仕事は早いが質はそこそこ」だと思われていますから、「そこそこでもいい」仕事を山ほど任されるようになります。
結果として便利使いされ、必死でこなして疲れ果てても、それに見合う評価はもらえません。
4.シングルタスクのメリット
マルチタスクのデメリットをひっくり返すと、全てシングルタスクのメリットになります。
・一度の一つのことしか取り組まないため、心身への負荷が過大になり過ぎない
・他者の話をしっかり聞くので内容を理解できるし、信頼される
・一つの業務に集中できるので、質を追及できる
・成果物の質が高いこと、ミスが少ないことを評価してもらい、過大な負荷をかけられることが無い
無理をしてマルチタスクで進めなければ毎日の業務が終わらない、というのであれば、それは業務量のほうがおかしいのです。
上司に相談して対処してもらわなければ、過重業務でうつ病まっしぐらです。
5.シングルタスクのコツ
①優先順位をつける
常に「やらなければいけないこと」は複数存在しますが、〆切や他の人との兼ね合いで、「先に済ませなければいけないこと」があるはずです。
優先順位をつけて、最優先のものから集中して取り組みましょう。
②タスク表(時間割)を作る
その日にどの時間にどれに取り組むか、の、タスク表を作りましょう。
学校の時間割を想像すると分かりやすいと思います。
1時間目は国語、2時間目は体育、みたいな感じで。
何でもいいから始めよう、で手を付けると、気がつけばマルチタスクになっています。
③使わない道具はしまっておく
目の前に物があるとどうしても気が取られます。
使わない道具、書類、本などはデスク上に置かないようにしましょう。
今取り組んでいるもの以外は目につかないようにします。
パソコンでも、不要なソフトは起動しないようにしましょう。最近のパソコンはスペックが高いのでソフトがいくつも起動していても動作に問題は無いと思いますが、何かの拍子に関係ない画面を見て、そちらに気が取られてマルチになってしまい、集中力がそがれる可能性があります。
④待ち時間は瞑想・ストレッチ
作業をしていると、微妙な待ち時間が出来る時があります。
仕事中は交感神経が優位になっているので、じっとして何もしないことが逆に苦痛になったりします。
その空き時間を利用して別のことに手を付けたら、それも「マルチタスク」の始まりです。
気がつけば待ち時間は終わっているのにそちらに集中してしまって、本来やるべきことが中途半端になって質が下がったりミスに繋がったりします。
空き時間や待ち時間が出来たら、深呼吸したりストレッチしたり瞑想したりして、ヒートアップした脳をクールダウンする時間にしましょう。その後はまた集中して取り組むことが出来ます。
6.まとめ
Ⅰ:シングルタスクは大きすぎる負荷から自分を守り、タスクの質を高められる
Ⅱ:マルチタスクはミスや失敗の元であり、便利使いされる原因にもなる
Ⅲ:シングルタスクのコツは、環境から整えて不要なタスクへの集中力の分散を防ぐ
一度に色んな事をこなそうとしすぎて、脳内が混乱し、普段ならしないようなうっかりミスをして落ち込んでいる人をみかけます。
マルチに業務をこなそう、と思うくらいですから、本来は優秀な人のはずなのに、自信まで失くしてストレス溜めて、もったいないことこの上ないです。
本当にどうしてもやらざるを得ない切羽詰まった非常事態以外は、シングルタスクをおすすめします。
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