英検1級道場-実りの秋 最後の総仕上げに忙しい受講生の皆さん
英検1級道場のレッスンでは、英検1級合格を果たすための手練手管を教えているわけではありません。
これまでも度々お伝えしていることですが、英語の文法や表現を教えるだけではなく、英語圏に関わる歴史、文化、伝統など、幅広い分野での知識も提供しています。
特に力を入れてきたのは、西欧世界におけるキリスト教の影響です。
キリスト教を理解することによって、英語がよく理解できるようになるというのが実感です。
(日本の神道や仏教が理解できていないと、キリスト教はわかりません。つまり、信仰や宗教に対する心理的なアプローチができないと理解できません)
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今日は英検準1級の読解問題、Day of the seaに関して述べてみます。
英文は、なかなか難解です。
真ん中あたりにある5行の英文は、1級合格者でも正確に答えられる人はほとんどいません。
(準1級をなめてはいかんぜよ!!!)
内陸国である南米のボリピアに「海の日」があります。
隣国であるチリとのアタカマ砂漠争奪戦に関する話を、「海の日」と関連付けて書かれています。
スペインの植民地であったチリは、独立後、ボリビアと戦争を繰り返し、最終的にアタカマ砂漠全体を自国の領土としました。
そのため、ボリビアは内陸国となり、結果「海の日」だけ残りました。
つまり、ボリビア人とっては、この「海の日」は、チリへの恨みつらみを全国民で思い出し、いつか雪辱すると誓う日でもあります。
アタカマ砂漠には、チリ硝石という鉱物資源が大量に埋蔵されています。
この硝石は、火薬(黒色火薬)や肥料として使われます。
日本では、この硝石は産出できません。
戦国時代の火縄銃の火薬は、この硝石が入手できない場合、性能の劣る黄色火薬に頼らざるをえませんでした
(なお、黄色火薬は糞尿の窒素成分を利用して作られます。飛騨高山などの隠れ里的な場所で生産されていました)
全世界を航海していたスペインは、チリ硝石を船で戦国時代の日本へ輸出していました。
港は大阪の堺です。
当時の堺は、日本でも最先端の商業・文化の街と言えました。
千利休、今井宗久らも活躍していました。
これまでの研究によると、彼らが仲介役として戦国武将である織田信長や豊臣秀吉につなぎ、黒色火薬を斡旋していたようです。
目ざとい信長や秀吉は、堺を直轄地とし、他の戦国武将が黒色火薬を入手できないように制限しました。
日本のあちこちに鉄砲鍛冶はいましたが、火薬を入手できなければ、ただの鉄棒を造っているに過ぎなくなります。
当時、滋賀県長浜市の国友村には鉄砲鍛冶集団が存在し、分業制度による火縄銃の量産を行っていました。和歌山の雑賀も鉄砲集団として有名です。
漫画や映画にもなった「のぼうの城」にも、銃身がやたらに長い鉄砲で雑賀衆が「のぼう」を狙撃するシーンがあります。
最近の研究でわかったことは、当時の日本の火縄銃は刀鍛冶の優れた技術が使われていたため、世界最高水準だったそうです。
火縄銃の鉄の組成が同等でなければ、暴発する可能性がありますが、国友村の銃は暴発が少なったという研究があります。
また、当時のスペイン船が使っていた地図には、堺、京都、安土、石見などの名前が書いてあったそうです。
石見は、あの石見銀山(世界遺産)がある場所です。
そうです、スペイン船は硝石などを売った代金を石見銀山の銀で受け取っていたのです。
当時、スペインと日本との間では、金と銀との交換比率が、国際相場と比べてスペインにとって圧倒的に有利であったために、スペインは銀での支払いを求めたとどこかの本に書いてあった記憶があります。
このように、英検1級道場では、英検準1級の読解問題を通じて、南米からスペインと日本の貿易、戦国時代の信長、秀吉までつながり、当時の堺の役割まで言及していきます。
品質向上と大量生産は、500年以上前から日本のお家芸であったことなど、幅広い教養が身に付きます。
つまり、英語の勉強だけではなく、総合カルチャーセンターのようになります。
英語の技能の伸ばすだけなら英語学校で十分です。
使える英語、実践的な知識を身に付けるには、英検1級道場が有効ではないかと自負しています。
英語学習を通じて、幅白い知識や深い教養を身に付けたいと思ったら、英検1級道場を訪ねてみてください。