英検1級道場-聞こえないのではなく、読めないのです 準1級リスニング問題で検証します
英検1級リスニング パート2の中の1問を選び、7人の受講生に対してテストを実施しました。
1級合格者、1級受験者が対象です。
小学6年生から60歳代半ばの方まで、幅広く行いました。
選んだ過去問には、6つの国名、1つの地域、1つの都市名、1つの地理的固有名詞が出てきます。
主人公は動物です。ここでは仮にAと呼びます。
Aという名前が出てくる直前・直後に、Bという名称が出てきますが、同じものです。
大筋としては、ある国がAを輸出しているのだが、あることが理由で、その輸出先が増えたという内容です。
7人のテストの結果を見ると、さまざまな学びがあります。
1番成績がよく理解していたのは、インターナショナルスクールに通う小学6年生。
1回目で6割、2回目で8割の内容が正確にとらえられていました。
1番成績が悪かった人は、1回目で1割、3回目でも2割程度しか理解できていませんでした。
全員に対して、センテンスごとに切りながら、所々に背景知識を加えながら解説すると、全員完璧に理解することができました。
ただし、センテンスごとに聞かせても、世界地理やイスラム教への理解(メッカへの巡礼を含む)がないと、解説してもなかなか理解が得られませんでした。
単語の意味がわかっても、内容が理解できないということです。
最後にスクリプトを音読させるのですが、全員何の問題もなく、スラスラと読み上げることができます。
理解度が低かった人は、意外ですが、小学生のころから英語の勉強を始めていた人です。
上記の結果からわかることは以下の通りです。
英語のリスニング力を高める条件を整理してみました。
・アナウンサーの放送スピードについていける
・耳で聞いて単語、構文が理解できる
・基本的な背景知識を有している(地理、歴史、宗教、動物の特徴など)
・数字を1回で把握できる
・話の中で出てくる事象の関係性を頭の中で組み立てられる
つまり、日本語でも同じことが言えます。
本を読んだり、テレビや芝居を見るとき、背景知識がなく、話の筋の組み立てができなければ、チンプンカンプンでまったくわからないということです。
このコラムでも何度も言っています。
母国語がしっかりしていなければ、外国語でもわからない。
つまり、母国語で理解できていない事象は、外国語でも理解できないということです。
ですから、英検1級レベルの高度なリスニング力を高めるためには、『日本人力』を向上させる必要があります。
様々なことに興味を持ち、知識を貪欲に吸収していきましょう。
私が知っている英語の大家は、すばらしい知識人ばかりです。