英検1級道場-短期受講者からの2016-3英検1級合格体験記を紹介します
英語学習の歩み
2020年6月28日
作成:河村 優
はじめに
先回、英検準一級合格から英検一級合格までの歩みを寄稿いたしました。
今回は国連英検A級合格までの道のりを記します。
国連英検は、数ある英語資格でもマイナーで、専門性も高いので受ける人は正直少ないです。この記事を書き出すころ寄稿しようかどうか迷いましたが、山中先生から頂いた好意にこたえるため投稿させていただきます。ただし、国連英検A級と特A級は英検一級をすでに取得していることを前提にします。
2.国連英検A級合格への道
英検一級合格直後はこの試験について意識していませんでした。合格後半年くらいはペーパバックや日本の漫画(ちはやふるや部長島耕作、のだめカンタービレ等)を英訳した本を読んだりしていました。試験のためというよりはむしろ、自然な英語とはどのようなものか探求していました。
半年後ふと親が、私がまだ大学生だったころ、国連英検がなんとかかんとか言っていたのを思いだし、この検定について調べてみました。
国連英検は中学卒業レベルのE級から最上位の特A級まであり、中でも特A級は国内の英語検定試験の中でも最高峰でかつ英検一級を超える難易度だとみて、地力をつけることを兼ねてこの特A級合格を目指そうと思いました。
とはいえ、いきなり特A級を受けるのは無謀と思い、B級とA級を併願受験することを検討しました。懇意にしていただいている前出のフリーランスの通訳兼翻訳者の横井さんにそのことを相談すると、B級は簡単すぎるから受ける意味はない。やるのだったらA級からやりなさいと言われました。
B級の過去問を見てみると、確かに簡単でした。横井さんのおっしゃる通りA級から受けようと思いました。
A級の過去問を立ち読みして衝撃を受けたのはとにかく長文問題が英検に比べて多く、大問一つ当たり700語(英検一級の筆記リーディング最終問題の800語長文に相当)の長文が5題も出題され、それが終わると150語から200語の英作文が待っています。
これは速く問題をさばく、あるいは長文を速く読む必要があると感じ、速読の練習をジャパンタイムズオンサンデーにて行いました。注:この新聞は毎週日曜日に発刊される英字紙で物量的にもちょうどよいです。
速読については、実は英検一級の面接対策を横井さんの家で実施したとき折に触れて話をされていました。7割くらい理解できる英字紙で負荷をかけて(具体的には文字を追うスピードをあえて速めて読む。1度に目に入れる単語数を増やすよう意識付けをする)読むことです。
一級合格後、読む速度を同紙にて計測すると120 wpm(wpmとはword per minuteの略で一分間に読める単語数を示します)でした。速読初心者にしては120 wpmは速いそうです。
読む速度を200 wpmまで上げる目標を立て、それまでは国連英検A級の過去問は解かないと決め、あくまでジャパンタイムズで速読のトレーニングを毎日しました。
具体的にはまとまりのある記事を1日に3つ読み、ストップウォッチでその記事を読み終わる時間を計測、そして概算見積りではありますが、記事の単語数を見積もりました。読んだ記事の単語数を時間で割ると読む速度が求められます。
国連英検には、一つ特有の問題があります。それは国連の知識に関する問題が選択肢形式で10問出題されます。このため三修社出版の「わかりやすい国連の活動と世界」を購入する必要があります。この本は300ページほどありますが、半分は日本語、もう半分は英語と実質中身は150ページほどなので、高校の社会科の教科書よりは薄いです。
いきなり英語のみで読むのは難しかったので、まずは日本語で理解を深めることにしました。
国連とは何かということ、国連の組織(総会とその下部組織等)とコフィ・アナン氏のスピーチ内容等最低限の知識をインプットしました。
A級の場合、出題範囲は「わかりやすい国連の活動と世界」のすべてではないので対象箇所のみ理解を深めました。それから英語でインプットするようにしました。
速読のトレーニングを始めてから7か月後ついに200 wpmの大台を突破しました。この時点で2019年末のA級受験を強く意識し、国連英検事務局が教材として推奨している次の2冊の書籍にて英語力をより強固なものにしようと考えました。いずれも三修社出版です。
しかし三修社には今回ここで紹介する書籍の在庫がなく、増販する見通しもないため、これから受験する人はAmazonで入手する必要があります。
・グローバルエキスパートを目指す テーマ別時事英単語集
・グローバルエキスパートを目指す 上級時事英文法
前者は2次面接で使用するためと、後者は1次筆記試験の文法上の誤りを指摘する問題に対応できるようにするために使いました。前者は1次試験に通ることだけを考えるのであれば後回しにしてもいいかもしれません。
国連英検では実用英検とはことなり、きわどい単語の用法を問う問題や一定数文法知識を問う問題が出題されます。3か月集中して休みの日に時間を取るなどすれば終わります。
さて、話は変わりますが、上記の対策及び訓練をした上で、一度過去問による実力試しをしてみました。長文・文法・語彙問題に出題される単語は英検一級合格までの道の記事にてご紹介した3冊の単語帳をしっかり頭に入れておけば、わからない単語はほとんどないです。単語にがわからなくて長文が理解できないというイライラは募らないはずです。
A級はリーディングとライティングからなり、リーディングがマーク形式で80問で1問1点、ライティングが1題で20点あります。リーディングはこの時点で64/80(80%の出来)でしたので問題視はしませんでした。現状のトレーニングを継続するのみです。
ライティングは、実用英検とは趣が異なっており、自分の意見を主張するよりは、国連が今日まで行ってきた活動についてどのくらい理解しているかを問う問題、いわゆる現状分析的なものです。しかし、実用英検にて学んだアカデミックエッセーの作成方法は無駄ではありません。
最初に私が、この記事を読むのは実用英検一級を取得していることを前提と記したのは、読解速度や語彙力もさることながら、実用英検の方がライティングの作法について書かれた参考書が多く、国連英検のライティングの構成も実用英検のそれに習えばいいためです。
ライティングの採点はたいてい12点近傍だそうですので、その数値を使って過去問演習の時は点数を全体の見積もっていました。
同時に国連英検は時事問題が主体になりますので、日本語・英語を問わず最新の世界情勢について情報を仕入れる必要があります。毎日新聞(朝刊のみ)とジャパンタイムズオンサンデーを読むことに加え、Google store(iPhoneの場合は別のアプリダウンロードサイトから)から、UN Newsアプリをスマホにインストールする必要があります。UN Newsは毎日更新されますので、全てとは言いませんが、その日にアップロードされた記事を読んでおく必要があります。
9月末に一度山中先生に国連英検1次試験の1回きりのカウンセリングを受けました。その時に国連とはどういった組織で、永世中立の本質、および国連のホームページの見方と英検準一級の長文を使って読解の勘所を教わりました。
国連や永世中立の本質を頭に入れておくことで、今から考えるとのちに記述する面接試験にて山中先生の教えの効果を実感することができました。またエールも下さり、モチベーションが高まりました。
続く
今回の投稿は4回に分けて掲載しています
https://mbp-japan.com/chiba/eiken/column/5059158/☚その④ 国連英検A級合格まで2/2
https://mbp-japan.com/chiba/eiken/column/5059156/☚その③ 国連英検A級合格まで1/2
https://mbp-japan.com/chiba/eiken/column/5058897/☚その② 英検1級合格まで
https://mbp-japan.com/chiba/eiken/column/5058652/☚その① 英検準1級合格まで