働き方:コロナ後の個人と会社の関係の変化:変化に対応できる人になるために
このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象として書いています。特に、40代50代のビジネスパーソンの方々を対象に書いています。
40代50代の方々は今後数年以内にかなり大きなスキルギャップに襲われそうだ、という予測があります。このコラムでは、この予測について出所を示したうえで考え、さらに予測通りになった場合に備えて、どう対応するのが良いのか、について考えていきます。
このコラムを書こうと思ったきっかけは、日経ビジネスの 『70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄』 という連載です。
『従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年4月から施行される。2013年に法律で65歳定年制への移行が開始されてから、多くの企業は再雇用後の処遇低下・役割変化でモチベーションが下がりがちなシニア人材をどう生かすか頭を悩ませている。そんな状況下でのさらなる定年延長に、企業は対応できるのか?生産性を維持しつつ、長く働ける社会を築くために企業がすべきこと、個人がすべきことを考える。』という連載記事です。
記事の1つに、『働きたくても仕事がない? 団塊ジュニアを襲う「再雇用氷河期」』 がありました。この記事は『これから深刻化する人手不足の「救世主」として期待される高齢者人材。前回の記事でも書いたとおり、今年4月から企業には70歳までの雇用努力義務が課せられる。だがAI(人工知能)や機械化の進展が、高齢者人材の雇用を生み出している職種を「消滅」させようとしている。時代の変化に即したスキルを身につけなければ仕事が見つからない。そんな時代が、団塊ジュニアが定年を迎える2030年にも訪れようとしている。』と始まります。
このコラムは次の3つの章で構成します。15分程度で読める内容です。
私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのためのお手伝いをしたい」と考え、この屋号にしました。
ファシリテーション。Facilitation という名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。
1. 働くってなんでしょう
改正高齢者雇用安定法により、2021年4月から従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することが企業の努力義務となりました。
ニッセイ基礎研究所が2020年08月03日に出した 『2019年健康寿命はさらに延伸~制限がある期間はやや短縮するも、加齢や健康上の問題があっても、制限なく日常生活を送ることができる社会を構築することが重要』 によると、国の目標は、2040年までに健康寿命を男女ともに75歳以上としているそうです。
70代80代でも元気に生活している方々がいますよね。
あなたはいつ頃まで働きますか?
元気で働ける間は働きたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
下図は、アメリカの心理学書マズロー(Abraham Harold Maslow)の欲求5段階説です。下図はタップやクリックで拡大します。
生理の欲求や安全の欲求は健康な生活を送るために必要ですから、ここはキープしたいですよね。働かざるを得ない状態であるとも言えるかもしれません。
その上で、社会的欲求や承認(尊重)欲求を求める方もいらっしゃるでしょう。社会とつながり続け、社会から価値ある存在として認められたいという思いです。そして、あるべき自分になりたい、あるべき自分でいたいという自己実現欲求を求める生き物が人間なのかもしれません。ここは、働きたい、という状態かと思います。
今40代50代のあなたが75歳になったとき、あなたはまだまだ元気で80歳くらいまで働きたいと思ったとしましょう。(そのように仮定して話を続けます)
上図の緑の四角で囲ったとおり、今50歳の方は、今まで働いた年数は約30年、これから働く年数も約30年です。
これからの30年間をどう過ごすのかを考えていただくための、たたき台としていただきたいのがこのコラムです。
2. 仕事がなくなるという未来〜大きなスキルギャップが襲ってくるという予測〜
三菱総合研究所が2018年7月9日に公開した 『内外経済の中長期展望 2018-2030年度』 というレポートがあります。とてもリッチなレポートです。注意していただきたいのは、2018年の7月のレポートということです。コロナ前のレポートです。
このレポートから2つのグラフを引用させていただきます。
下図をご覧ください。(タップやクリックで拡大します)
青字と青の矢印は私が加筆したものです。
今後2030年までに、生産職が90万人、事務職が120万人が過剰になるという予測です。
そして、専門職が170万人不足すると予測しています。
「技術革新をリードしビジネスに適用する人材が不足する」としています。いわゆる、DX(私の言葉では「デジタル技術を活用したビジネス変革」)を実施できる人が不足する、ということだろうと考えます。
下図をご覧ください。(タップやクリックで拡大します)
左下から右上への青い矢印は私が加筆しました。
大きく見ると、マニュアル化できる定型業務は、自動化により機械がやる仕事になります。
そして、人は、考える仕事・非定型業務をするようになります。
増減する人の数をみると、計430万人減り、170万人しか増えないという予測になっています。
自動化の具体例を見てみましょう。『中外製薬 定型業務のAI化等で21年は5万時間、23年は10万時間の業務削減達成へ「DX2030の絵姿」』という記事によると、2018年から2020年までの3年間で7.7万時間以上の業務時間を削減したそうです。そして、2021年は単年で5万時間、2023年には単年で10万時間の業務時間削減を目指しているそうです。
コロナ後に出された予測として、2020年10月20日に世界経済フォーラムが出した 『仕事の未来2020』 というレポートがあります。このレポートに書かれている情報を視覚化した図 があります。
ここでは2つの図を引用します。
下図をご覧ください。(タップやクリックで拡大します)
日本語訳は私がつけました。
一言で言うと、9千7百万の仕事が新しく生まれ、8千5百万の仕事が人間と機械に割り振られる、と予測しています。
例として、各々10個の仕事がリストされています。
注意していただきたいことは、このレポートは2025年までの変化を予測しているということです。三菱総合研究所のレポートは2030年までの予測でした。変化のスピードが速まっているように私は感じます。コロナにより、自動化やデジタル化への移行が速まっていると考えられます。
下図をご覧ください。(タップやクリックで拡大します)
日本語訳は私がつけました。
図中に白字で示しましたとおり、求められている能力は下記4つなのだろう、と私は考えます。
- 問題を分析し、課題を洗い出し、解決する能力
- 自部門だけでなく、各部門から集まった専門家たちをチームビルディングし、チームで協働する能力
- テクノロジーを活用する能力
- チームとして、メンバーの自己管理能力(回復力、ストレス耐性、柔軟性)を向上させる能力
無くなる仕事があり、新しく生まれる仕事がある。その変化は速い。
これに加えて、日本独特の変化が起こっています。
いわゆる、メンバーシップ型からジョブ型への移行です。ジョブ型になり成果主義への移行が加速しています。
事例として、5本の日経記事があります。
- 2021年2月5日 『シニアも成果主義 カシオ給与変動、明治安田は管理職に』
- 2021年7月7日『ブリヂストン、国内でジョブ型導入 23年に1070人』
- 2022年1月5日『三菱ケミカル、ジョブ型じわり浸透 導入から1年』
- 2022年1月28日『共同体型の人事は変わるか 日立、全社員ジョブ型雇用に』
- 2022年3月8日『損保ジャパン、専門職別にジョブ型導入 300人規模で』
ミドルでもシニアでも、あるいはZ世代やミレニアルも、会社が欲しいのは優秀な人材、ということだと思います。
では、「優秀」とはどんなスペックなのでしょう。次章で考えたいと思います。
さて、メンバーシップ型で長年働いて来た方は、この変化に対して、困惑している方がいらっしゃるのではないかと思います。有り体に言うと、指示待ちで言われたことを実直にこなしてきた方。こういった方は、困惑していらっしゃると思います。どうすれば良いのか。次章で考えます。
縁の下の力持ちタイプの方もいらっしゃるでしょう。言われたことはきちんとこなす。ルーチンワークを黙々と続けるのは得意。そして、他人に対する敬意があり、落ち込んだ人をさりげなく元気付けたり、力を発揮できるようにサポートすることが上手。一方、急なアクシデントやトラブル、イレギュラーな事故が起きると動揺して、重要な決断を下せなくなってしまうことがあったりするかもしれない。こういった方も、困惑していらっしゃると思います。次章でどうすれば良いのか考えます。
3. スキルギャップの襲来に備える
世界経済フォーラムのレポートは2025年までを予測したものでした。2025年までの間にどうすれば良いのかを考てみましょう。
まず確認するべきだと思うことは、あなたのお仕事はマニュアル化できる定型業務か否か、ということです。
業務の専門性は関係ありません。
一例は銀行の融資業務。2020年9月25日の日経記事『福岡銀行、融資審査をオンラインで完結 AI活用』、福岡銀行は人工知能(AI)を使って融資の際の信用審査をオンラインで完結する法人向け小口融資サービスを始めたそうです。
実は、マニュアル化できる定型業務はAIの得意領域です。体系化されて文書化されている業務であれば、AIが学習する材料が既に存在しているのでAIに学習させやすい、ということなのです。
例をもう一つ。
2017年9月25日と少し古い記事になります。『AI時代のサムライ業(上)代替の危機 新事業に挑む』 という記事があります。下表は、『難関とされるサムライ業の多くがAIに代替されかねない』としています。(タップやクリックで拡大します)
ですから、士業(サムライ業)の方々は既に対応しているようです。例として、2018年11月5日の日経記事『「士業」から起業の波』 があります。記事は『弁護士や税理士といった「士業」から起業する人が新たなビジネスを生み出している。潜在的な需要を士業の経験から見抜いて事業を立ち上げている例が多い。人工知能(AI)の発達が進み、文書作成などの定型業務が多い士業の仕事は今後減少するとされている。将来への危機感を背景に、起業を目指す人材が今後も増加していく可能性がある。』で始まっています。
よく転職の時などで言われている「キャリアの棚卸し」。ご自身の今までのお仕事を棚卸しすることが、はじめの一歩になるのではないかと思います。私はキャリアプランの専門家ではありませんので、簡単に触れます。
この時のキーポイントは、スキル軸で具体的に、できるだけ定量的に見ることではないか、と私は考えます。
良く言われていることは、「長年部長をやってきましたので、部長ができます」のような考えはNGだということです。その役職をやる上でいろいろなことに遭遇したと思います。例えば問題。具体的にどんな問題に遭遇し、どんなスキルを使って解決したのか、ご自身のこれまでの実績を見える化すると良いと思います。キャリアの棚卸しをするためのテンプレートが、ネット上に沢山アップされているので、そういったものを参考にするのも良いと思います。
「私は職務経歴書に書けるような仕事をしてこなかった」というご意見も良く聞きます。
ビジネスパーソンとして働いていると、なんらかの問題に遭遇することは普通にある、といっても過言ではないと思います。
関係者が集まって、問題を分析し、解くべき課題は何かを洗い出し、優先順位を付けて打ち手を議論し、解決するための打ち手を実施した。関係者のひとりとして関わった。こういう方はいらっしゃると思います。そういう経歴を棚卸し見える化すると良いと思います。
キャリアの棚卸しをする時に意識した方が良いと思うのは、2章で紹介した三菱総研と世界経済フォーラムの資料です。無くなる仕事にフォーカスするよりも、新しく生まれる仕事やスキル、別の言い方で言うとこれから需要が増える仕事やスキルを意識すると良い、と私は考えます。
このアプローチで、もし新しく生まれる仕事やスキル、これから需要が増える仕事やスキルに関わっていたのならば、そのスキルを2025年までの間に伸ばす、という選択肢があると思います。
もし、新しく生まれる仕事やスキル、これから需要が増える仕事やスキルに関わっていないとしたら。2025年までの間に新しいスキルを身につけ、その能力を向上することが必要になってくる、と私は考えます。
「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、BTFコンサルティングを開業した私としては、ソフトスキルを身につけ能力を向上することを提案したい、と思います。
ソフトスキルとは、対人系のスキルで、ファシリテーション、コミュニケーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、チームビルディング、エモーショナル・インテリジェンスなどのスキルです。
ソフトスキルの対語はハードスキルです。ソフトウェア開発のスキルやプロジェクトマネジメントのスキルはハードスキルです。
ソフトウェア開発やプロジェクトマネジメントは内容が体系化されていて文書化されている、このように言うこともできると思います。例えばプロジェクト・マネジメントの領域でのPMBOK (Project Management Body Of Knowledge)。プロジェクト・マネジメントに必要な知識が体系化され、まとめられたもの、これがPMBOKです。なお、BOK (Body Of Knowledge) を日本語にすると「知識体系」です。
体系化されて文書化されていると言うことは、AIが学習する材料が既に存在しているのでAIに学習させやすい、ということです。例えば、コールセンター分野、医療分野、会計分野などでは、既にAIが進出しています。
ソフトスキルはハードスキルと比較すると、体系化されていない・するのが難しい、また文書化されていない・しにくい、と言えると思います。
下図は、ソフトスキルとハードスキルを模式的に表したものです。タップやクリックで拡大します。
私のイメージとしては、ソフトスキルを土台として、その土台の上にご自身の専門領域のスキルを向上させる、というようなイメージです。
2章で、下記の能力が求められると書きました。
- 問題を分析し、課題を洗い出し、解決する能力
- 自部門だけでなく、各部門から集まった専門家たちをチームビルディングし、チームで協働する能力
- テクノロジーを活用する能力
- チームとして、メンバーの自己管理能力(回復力、ストレス耐性、柔軟性)を向上させる能力
2章で、「優秀」とはどんなスペックなのかを3章で考える、と書きました。
2025年を考えると、上記4つの能力のスキルレベルが下記であることだろう、と私は考えます。
- 誰の助けも借りずに自律して実務を遂行することができる
- プロジェクトが困難な状況になったり、難しい問いが出てきたときに、チーム内で「◯◯さんに聞こう」というような頼りになる人である
- エキスパートとして知られている
- 困難な課題に対して、助言したり、課題解決することができる
- 組織を越えて、困ったときの頼りになる人である
上記のスキルレベルは 『組織力強化:スキルマトリックスとスキルレベル:スキルについて考える』 の3章中の、「レベル4 – 上級」と「レベル5 – エキスパート(第一人者)」から抜粋しました。
それでは、ソフトスキルとハードスキルが、上の2つ「問題を分析し、課題を洗い出し、解決する能力」と「自部門だけでなく、各部門から集まった専門家たちをチームビルディングし、チームで協働する能力」にどのように効くのか、具体的に例を示しながら見てみましょう。
複数の部門が関係する問題が起こったとしましょう。
今まで自組織内の改善活動はよくやっていたものの、複数の部門での協働はあまりやったことがないとしましょう。しかも過去の経緯から◯◯部門とはあまり仲が良くないとしましょう。関係者が集まってだけではチームとして機能しません。ただ集まっただけです。チームとして機能するようチームビルディングする必要があります。ソフトスキルの中のチームビルディングです。「そのチームで協働するという体験に価値を感じられること、納得すること」これが必須である、と私は考えます。複数の部門のトップ、例えば事業部長が、この問題を解決することの必要性や意義について、明確なメッセージをチームに与えることも重要です。集まった関係者が、この問題解決に取り組むことの必要性や大切さを理解できるからです。
ソフトスキルの中のリーダーシップ。リーダーシップとは、チームで問題解決という目標に向かって協働し、解決という目標活性を成し遂げる力です。目標を達成するよう働きかける力とも言えます。リーダーとは役割や職責であり、具体的には主任、課長、部長などです。リーダーシップは、リーダーの職責を担う人だけに求められる能力ではありません。チームの目標を達成するために活動するメンバーひとり一人に必要な力なのです。
さて、実際にチームで協働して、問題を分析し、課題を洗い出し、解決する、という行為は、具体的には会議やワークショップを開催することになります。コロナ禍では、全員が会議室に集まることは無理かもしれません。オンライン会議やオンラインのワークショップを開催することが必要でしょう。ファシリテーターが必要です。ファシリテーションを活用する議論が必要です。リテラシー(literacy)とは読み書きの識字能力という意味から使われ始めた言葉だと思います。今は、識字能力に加えて、特定の分野の技能、知識、能力という意味でも使われるようになりました。会議を実施する技能、知識、能力を「会議リテラシー」と言うならば、ファシリテーションを活用した会議リテラシーを根付かせることはとても大切なことだ、と私は考えています。ここは私がBTFコンサルティングという事業を起こしたモチベーションでもあります。
なお、会議リテラシーがどうあるべきかを考えた 『会社の会議:会議リテラシーとは:昭和の会議リテラシーをアップデートしよう』 というコラムがありますので、参考にしていただけるのではないか、と思います。
問題を分析し、課題を洗い出すためには、現状を見える化することが有効な場合が多いです。業務プロセスを見える化する、プロセス・マッピングというフレームワークがあります。LOVEM(ラブエム、Line Of Visibility Enterprise Modeling)とも呼ばれています。ハードスキルとしての業務経験や知識が必要です。
下図は、バイクをショップから受注しショップに販売すると言う業務を行っている会社のプロセス・マッピングです。(図はタップやクリックで拡大します)
この例では、自社の受注業務の経験知識を持つ人、生産業務の経験知識を持つ人、出荷業務の経験知識を持つ人、納品業務の経験知識を持つ人などがいないと、プロセス・マッピングできないことがわかります。さらに、課題が見つけるためには、他業務への影響分析が必要となるかもしれません。
また、現状の問題を把握し分析するためには、実際のデータを分析するハードスキルも必要になる場合があるでしょう。
問題を分析し、課題を洗い出し、解決するための打ち手を議論するためには、クリティカル・シンキング(Critical Thinking)やロジカル・シンキング(Logical Thinking)などの思考法を活用する必要がある場合もあります。
ファシリテーターは、フレームワークや思考法などを活用して、議論プロセスを設計する必要が出てきます。
言い換えると、自部門だけでなく、各部門から集まった専門家たちをチームビルディングし、チームで問題を分析し課題を洗い出し解決策を議論するプロセスを設計する、ということです。
このような複数部門が関係するプロジェクトの場合、関係者との様々な調整を行うコミュニケーション能力が必要です。
ソフトスキルのコミュニケーションは、誰に何を伝え理解して欲しいのか、そのためにどうアプローチするのか、そのコミュニケーションの目標が達成されたことをどう確かめるのか、事前に計画することが大切になります。
説明が必要な場合も多々ありますので、プレゼンテーション能力も必要になります。わかりやすく説明し理解してもらう能力です。
「問題を分析し、課題を洗い出し、解決する能力」と「自部門だけでなく、各部門から集まった専門家たちをチームビルディングし、チームで協働する能力」は、私のバイアスがかかった言い方になるかもしれませんが、ソフトスキルが土台とならなければ実現しない能力である、といっても過言ではないと私は考えます。
スキルギャップの襲来に備えるための選択肢の1つとして、ソフトスキルがあると考えます。
ソフトスキルは座学や研修に参加すれば身につくといった類のものではありません。スポーツが座学や研修だけで上達しないことと同じです。座学や研修に加えて、リアルな仕事の場で実践を通じて研鑽することが求められます。既にソフトスキルを保持している人をコーチ役やメンター役に付けて、適宜アドバイスを受けながら研鑽することが上達への近道である、と私は考えます。
少し前の段落で、リーダーシップについて書きました。
ファシリタティブ(facilitative)は、「物事の進行などを促進する」という意味の形容詞です。ファシリタティブなリーダーシップとは、ファシリテーションを中核に置きながら、チームに働きかけチームが目指す目標に到達するようリードするリーダーシップです。
私は、会社員時代に培ったソフトスキルを社会に還元し、ファシリタティブなリーダーシップを持ったビジネス変革をリードできる人材の育成を伴走型で支援させていただきたいと考え、コンサルティング・サービスを提供しています。
私が提案するアプローチは、最初にファシリテーションを学んでいただきたいと考えています。会議をファシリテートすることを経験していく中で、ソフトスキルが必ず必要になりますので、都度都度必要なソフトスキルを研鑽する、こうしたアプローチを提案しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。