組織力強化:ジョブ型と成果主義:成果を出すチームになるために
このコラムは、ビジネスパーソンの方々、特にチームリーダーの方々とマネージャーの方々を対象に書いています。
コロナ禍が続き、複数の感染拡大の波が襲来しています。自宅などからテレワークが求められることが増えています。私の肌感覚では、数年間のコロナ禍を経験し、テレワークはかなり普及しているように感じます。
このコラムでは、テレワークがうまくいくコツを考えます。
テレワークをコロナ禍によるネガティブなものと捉えるのではなく、将来に向けた組織力強化につながる攻めの取り組みと捉えて考えていきます。
下記の3つの章で構成します。15分程度で読める量です。
私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのためのお手伝いをしたい」と考え、この屋号にしました。
ファシリテーション。Facilitation という名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。
1. テレワークに関する国内の調査結果
テレワークがうまくいくコツを考える上で、テレワークに関する国内の調査結果を2つ見てみましょう。
1つは、コロナ禍を始めて経験した2020年を反映した2021年1月に出された調査結果です。
もう1つは、複数の感染拡大の波を経験した2022年3月に出された調査結果です。
1.1. コロナ禍を始めて経験した2020年を反映した2021年1月に出された調査結果
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが2021年1月28日に出した 『コロナ禍を生き残るためにすべきこと、DX調査で判明したニューノーマルの正体』 というレポートがあります。
この調査の対象は、全国の証券取引所に上場している企業と年間売上高200億円以上の未上場企業1万305社、および日経BP総研 イノベーションICTラボが運営する会員組織「ITイノベーターズ」のエグゼクティブメンバー(幹事会員)92社の計1万397社だそうです。情報システムを統括する役員(CIO)や実務責任者、またはそれに準じる立場の方に回答を依頼したそうです。
Withコロナ時代の新・4大行動様式として下記の記述がありました。
最も多かったのは、「テレワークの実現」(50.8%)である。2番目に多かったのは「オンライン商談・サービス(非対面接客・営業)の実現」(33.8%)だ。これに、「時差出勤・フレックスタイム制の導入」(25.4%)と「3密を避けたリアルでの販売・購買・サービスの実現」(24.4%)がほぼ同じ割合で続く。テレワーク、オンライン商談、時差出勤、3密回避――。これらが、With/アフターコロナ時代に生き残るための「新・4大行動様式」といえる。
「テレワークの実現」についてどう考えているかというと、「取り組んでおり、定着する」(23.2%)と「取り組んでおり、一部は定着する」(39.5%)、「取り組んでいるが、元の姿に戻る(2019年の姿に近づく)」(20.5%)となっています。
1.2. 複数の感染拡大の波を経験した2022年3月に出された調査結果
『パーソル総合研究所 「第六回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」』 という2022年2月4日から2月7日に調査した結果があります。調査対象は、全国の就業者 20~59歳男女、勤務先従業員人数10人以上で、正規雇用 n=20,490 非正規雇用 n=4,725です。
この調査結果を分析した総括コメントを『テレワーク方針の明示とコミュニケーション施策の拡充を』としています。以下、分析コメントを引用します。
2022年1月からオミクロン株の影響により新型コロナ感染が再び急拡大し、まん延防止等重点措置が各地で実施された。そこで、このような状況下におけるテレワークの実態・課題把握を目的に、2020年3月の開始以降、6回目となる緊急調査を行った。
調査の結果、今回の感染拡大・第6波では、急増した新規感染者数とテレワーク実施率がほぼ紐付かなくなった。その理由として、重症化リスク低下報道などをうけて感染への警戒心が薄れたことや、飲食制限に比べてテレワークへの注目度が低下していることなどが考えられる。
多くの企業は相変わらずテレワーク方針を従業員に明示できておらず、「特に案内がない」との回答割合は57.4%と昨年からほぼ変わらない。テレワーク関連の施策も、遠隔会議システムやビジネスチャットツールの導入など、ITツールの導入という表面的レベルにとどまり、従業員同士のコミュニケーションを増やす工夫はまだまだ少ない。
一方で、従業員のテレワーク継続希望率はついに80%を上回り、過去最高を記録した。テレワークに対する組織的な工夫や有意義な議論をどれだけ蓄積できるかが、これから人を集められる組織となるかどうかの分水嶺となるだろう。
そもそもテレワークできない工場生産ライン勤務の方、実験設備は家に持ってこれない研究者の方、こういった方々もいらっしゃるでしょう。このコラムでは、オフィスで働く方々がテレワークをする。その方々のチームリーダーの方やマネージャーの方が意識すべきテレワーク実施のコツを考えます。
2. 世界経済フォーラムのレポートから見る他国の動き
この章では、世界経済フォーラムが2020年10月に発行した "The Future of Jobs Report 2020" を参照しながら、他国の動きを見てみようと思います。
このコラムの想定読者はビジネスパーソンです。あなたのビジネスの協働会社や競合会社は国外にもいると思います。ですから、他国の動きを捉えることは大切です。
レポートでは、コロナは企業に下記3点をするよう圧力をかけている、としています。
- リモートワーク(テレワーク)の規模を増やす
- デジタル化を加速する
- 自動化を加速する
自動化。
レポートによると、43%がテクノロジーを使うことによって人を減らすと答えたそうです。2025年までに、人がする仕事と、機械がする仕事の量は同程度になるとしています。
新しい仕事が生まれ、いくつかの仕事は機械によって行われるようになるということのようです。
従業員は、2025年までに冗長な役割が減り、新しい職業が増える、と期待しているそうです。
85,000,000の仕事が人間と機械に振り分けられ、97,000,000の新しい仕事が生まれるとしています。
(画像のタップやクリックで拡大します)
「そもそも◯◯の仕事は人間がおこなうべきなのか」という問いを立てて、ビジネスを見直す動きがあるようです。リモートであっても、デジタル技術を活用してどのように仕事をすべきなのか、この問いに対してどんな解を持つのか、これが大切なのではないか、と私は考えます。
あなたは、テレワークはオフィスよりも生産性が低い(喧々諤々な議論やブレストができない、協働しにくい、等々)と思っておられますか?2020年はそうだったかもしれません。2021年以降はこの課題に対する解が次々に出てきています。
具体的には、テレワークはオンライン◯◯ツールを駆使する事が求められます。言い換えると、クラウドで使えるITツールを駆使する事が求められます。
主にアメリカのIT企業を中心として、この領域がとても熱くなっていて、ツール開発の動きが激しいです。理由は明白ですよね。世界中でロックダウン、あるいはそれに準ずる事が行われていました。一方、ビジネスは継続しなくてはならない。オフィス業務を中心として、オンラインを活用してチームで協働する環境が激変しました。
対面で会わない事が感染のリスクを下げるのですから、こうしたオンライン協働ツールを作っているIT企業にとっては、まさに今ビジネスを伸長させる好機なのです。
2020年の前半は「オンライン会議でみんなの顔を見て話ができるってすごい」みたいなことになっていました。その後、オンラインで協働することは普及しました。
オンラインで協働するツールの進化を適宜ウォッチし、使えそうなものは試用して、日々の協働に取り入れていくというマインドが求められている、と私は考えます。
この辺りのことは『新型コロナウイルス対策:使えるものはなんでも使う:テレワークでの協働をアップデートしよう』 というコラムで考察しています。
言い換えると、オンラインで協働するツールをうまく活用し会議ではフレームワークを活用して、リアルに出勤していた時と同等かそれ以上に効率と生産性を上げ、従業員体験も上げる企業が出てくると思います。海外では確実に出てきていますし、日本でも出てきて欲しい、と私は思っています。
テレワークという外圧を引き金にして、働き方を変革する会社と旧態依然な働き方を継続する会社との格差が浮き彫りになってくるかもしれません。
なお、この辺りのことは『組織力強化:コロナ禍の時代に求められるスキル:基礎を確実に身につけ研鑽するために』 でスキルの観点から考察しています。
3. テレワークがうまくいくコツ
この章は、米国XPLANE社の "New Ways to Keep Remote Workers Engaged" を参照し、私の考えを加えながら、チームリーダーやマネージャーの方々にとって有用な情報とすることを目指したいと思います。
テレワークで働くということは、ネットワーク化された働き方であると言えます。
ネットワークを介して協働するということです。XPLANE社のコラムでは、5つのテレワークがうまくいく領域として、下記がリストされていました。
- コミュニケーション
- チームに所属しているということ
- 信頼
- 公平
- 成長
チームリーダーやマネージャーは、テレワークで働く人たちが、離れていてもチームに所属していると感じられるような、何らかの新しい方法を見つけることが必須です。
コロナ前からリモートワークをしている人たちはいました。出先近くのカフェで仕事をする営業職の方などです。
一方、内勤の人たちはほとんどテレワークして仕事をすることがなかったと思います。
3.1. セキュリティ
自宅やテレワークできるホテルなどで「オフィスに出社せずに働くこととはどういうことなのか」、ITだけでなくセキュリティを保って仕事をするためにはどうすべきなのか、eラーニングなどを活用して全従業員に徹底することは重要です。これは当たり前とも言えるはじめの一歩です。できる限り、具体的に「やってはいけないこと」「やっても良いこと」を明確に伝えて理解してもらうことが必要です。何をやったら処分されるのか、などを理解してもらうことは最初にやるべきことです。
3.2. オンライン会議での顔出し
XPLANE社のコラムでは、オンライン会議ではビデオをオンにすることを推奨しています。理由は、オフィスで働いている人も、テレワークで働いている人も、1つの会議室にいると感じられることが必要だからだとしています。
私は、必ずしもビデオはオフで顔を出していなくても良いと考える者です。顔を見ることに意味があれば顔出しすれば良く、他のものを見る(共有する)ことに意味があるのであればそうすれば良いのです。
一例として、プロジェクトチームの会議を考えてみたいと思います。
プロジェクトのキックオフの場では、各自自己紹介をしますよね。氏名、所属部門、担当業務、今までの経験、プロジェクトに参加する抱負、等々を語ると思います。そんな時には、話者の顔を見ながら、全員の顔を見ながら進めることに意味があります。
一方、プロジェクトが動き出した後は、例えば1時間のオンライン会議で1時間中顔を見ながら話をすることに意味があるとは思いません。オンライン会議ではパソコンやタブレットの画面しか共有するものがありません。その画面を何に使うのかが大切です。私は議論を見える化するために画面を使うべきだと考える者です。冒頭の数分間くらいは顔を出しても良いかもしれませんが。
具体的には、クラウド上のホワイトボードを活用すべきだと考えます。この辺りのことは『会社の会議:会議の変革:今ファシリテーターが注目されている理由』 で詳しく説明しています。
3.3. チーム全員が身につけるべきソフトスキル
チームに所属する全員が身につけるべき能力として、ソフトスキルがあると思います。
ソフトスキルとは、コミュニケーション、プレゼンテーション、ファシリテーション、リーダーシップ、チームビルディングなどの対人系のスキルです。チームで協働するときに役に立つスキルであり、重要度が増しているスキルと言えます。仕事に特化したハードスキルはもちろん必要でしょうが、土台をなすソフトスキルは重要です。
(図はタップやクリックで拡大します)
3.4. チームリーダーやマネージャーが身につけるべきファシリタティブなリーダーシップ
チームリーダーやマネージャーが身につけるべき能力としては、ファシリタティブなリーダーシップがあると思います。
ファシリタティブ (facilitative)は、「物事の進行などを促進する」という意味の形容詞です。ファシリタティブなリーダーシップとは、ファシリテーションを中核に置きながら、チームに働きかけチームを目指す目標に到達するようリードするリーダーシップです。
リーダーシップとは、職場のチームで目標に向かって協働し、目標を達成することを成し遂げる力です。目標を達成するよう働きかける力とも言えます。リーダーシップは、主任や課長部長などリーダーの職責を担う人だけに求められる能力ではなく、チームの目標を達成するために活動している従業員一人ひとりに必要な能力といえます。
先が見通せない激変しているビジネス環境にいる今、課題への対応スピードを上げることが必要です。能動的に行動し、周囲に働きかける力を持つ人材が求められています。在籍年数や年齢は関係ありません。
明確な目標、それと目標が達成されたと評価する基準、これらをメンバーと合意することが必要です。チームリーダーやマネージャーが自らの目線で言った・伝えただけでなく、本当に相手に理解・合意されたことを丁寧に確認することが必須であると考えます。
ファシリタティブなリーダーシップを持つべき理由として、3つの理由を書きます。
創造性を持つチームにする
どんな役割の人でも、日常業務や課題解決に向かう時に、創造性を持ってアプローチすることが求められています。新たなアイデアを出せるチームになることが必要です。個として創造性を持つことも大切かもしれませんが、チームとして創造性を発揮できるようなチームになることが強く求められている、と考えます。
説得力を持つチームにする
「なぜ」を説明できる人が求められています。同僚やステークホルダーに対して、効率よく説明し納得してもらうことができることが必要です。ここでも、個として説得力・納得してもらう力を持つことも大切かもしれませんが、チームとして説得力を持つことが強く求められている、と私は考えます。チーム内での説明・説得であれば、フレームワークを活用してわかりやすく議論したり、PREP(プレップ)を活用して簡潔に話すなど、会議のしかたを学ぶことが必要になるかもしれません。
協働できるチームにする
チームとして協働し成果を出すこと、そういうチームとなることが求められています。
私としては、チームにファシリテーション・マインドを身につけていただき、ファシリテーションを活用して効果的に協働できるチームとなるようチームビルディングすることが求められている、と考えます。ファシリタティブなリーダーシップを持った人がチームにいると良いです。そういう人を育成すべきだ、と考えます。
XPLANE社のコラムでは、テレワークしている人からのフィードバックに注意を払うことが大切であると主張しています。一般的に言って、テレワークしている人の課題は、今後起こりうる課題の早期警報の合図と言えるとしています。例えば、XPLANE社では4半期毎に匿名での従業員体験サーベイを実施し、リモートワーカーからの声には重みを増して評価しているそうです。
3.5. ローコンテクストなコミュニケーションの重要性
オンライン会議では非言語コミュニケーション(しかめっ面、頷いている、寝ている、内職している、睨んでいる、等々)が伝わりにくいです。場の雰囲気を読むことは困難なのです。ローコンテクストなコミュニケーションをすることが求められる、と私は考えます。
コンテクスト(Context)とは、コミュニケーションの基盤である言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性などのことです。
ハイコンテクスト(High Context)とは、コンテクストの共有性が高いコミュニケーションの状態です。
伝える努力やスキルがなくても、お互いに相手の意図を察しあうことで、なんとなく通じてしまう環境です。しかし、その環境が整わないと一転してコミュニケーションが滞ってしまう。お互いに話の糸口も見つけられず、会話も弾まず、相手の言わんとしていることが掴めなくなってしまいます。
ローコンテクスト(Low Context)とは、言語によりコミュニケーションを図ろうとするものです。見方を変えればコンテクストに頼った意思疎通が不得意とも言えます。そのため、言語に対し高い価値と積極的な姿勢を示し、コミュニケーションに関する諸能力(論理的思考力、表現力、説明能力、ディベート力、説得力、交渉力)が重要視されます。
3.6. オンライン会議におけるファシリテーターの必要性
オンライン会議での沈黙は必ずしも賛成というわけではありません。合意されているのか確認しながら会議を進める必要があるのです。私はオンライン会議ではファシリテーターが必須だと考えます。議題の当事者ではなく、中立的な立場で議論プロセスを管理することに責任を持つ役割を持つ人が必須だと考えます。
また、オンライン会議を主催するのなら、議論に必要な人全員(しかし最少人数)を招待することは大切です。
会議がある程度進行した段階で「ちゃぶ台返し」をする人がたまにいます。会議において重要な人がそういうことをする場合があります。ちょっと怖いですよね。でも、そんな人こそ会議に招待すべきです。実はこれはキーポイントです。会社の会議であれば、一見違う意見に見えても、一歩ずつ丁寧に合意を重ねれば、必ず合意は形成できる、と私は信じています。「ちょっと怖い人」は日頃から深く考えている人である場合が多く、最初から巻き込んでチームの一員になってもらう必要があるのです。ですから、「呼ばない」という選択肢をとるべきではありません。
3.7. 情報の公平性
テレワークで働く人は、オフィスで働く人に比べて、入ってくる情報が少ない傾向があります。
このことを認識することが大切です。会議室での対面の会議であれば、会議後に会議室の外で数分間の会話することがありますよね。オンライン会議では、オフィスで参加している人は従来同様会話することが可能ですが、テレワークで参加している人は会話に参加できません。ウォータークーラーでの会話、例えば給茶機前でのたまたま会った人との会話も同様です。公平感が失われてしまうのです。
チームリーダーやマネージャー、さらにオンライン会議を主催する人は、テレワークしている人を意識することが大切です。
テレワークしている人がチームにいる場合、会議後の非公式な会話、タバコ部屋での会話、ウォータークーラーでの会話などクローズなコミュニケーションは、情報の公平性の観点から良くないことを認識することが必須だ、と私は考えます。
オープンにする必要があります。オンライン会議では、miro や MURAL や Lucidspark などのホワイトボードを活用して議論を見える化する。合意事項については Trello などカンバン管理ツールを活用して透明化を図る。オープンなコミュニケーションは slack などのツールを使い、クローズになりやすいメールはできるだけ使わないようにする。などの工夫が求められると考えます。
テレワークで働いている人への意識を増やすために、XPLANE社は独自のローテク・ソーシャルネットワーク("Low-Tech Social Network")をオフィスで使っているそうです。
ローテク・ソーシャルネットワークは、社員同士が自己紹介し合うことを目的としたゲームです。社員同士のつながりを目に見える形で示す人脈図(一緒に仕事をしたことがある、友達、同じバスで出勤している、等々)を協働して作るゲームです。
ローテク・ソーシャルネットワークは、ゲームストーミング(ISBN978-4-87311-505-4)という書籍でも紹介されています。
3.8. テレワークしている人に意識を向けることの大切さ
未来の働き方は物理的なオフィスは関係ないかもしれません。
テレワークで働いている人たちも、あなたの成功に貢献する重要な担い手であると考えるべきです。
ですから、オフィスで働く人も、テレワークで働く人も、全員に意識を向けることが大切です。なぜこんな当たり前のことを書いているかというと、誰にもバイアスがあるからです。もし、あなたがオフィスで働いているのなら、オフィスで働いている人に意識がいきやすいと思います。意識しないと、特に最初は、テレワークしている人を忘れてしまう危険性があると思うのです。意識してテレワークしている人に意識を向けることが大切です。
XPLANE社の "REMOTE EXPERIENCE MEETING BEST PRACTICES" には、いくつかのヒントが書かれています。
グラウンドルール
グラウンドルールを作ることとても大切です。例えば、グラウンドルールとして、はっきり明瞭に話すこと、会議室内で複数の人がリモート出席者を無視して内輪だけで通じるような会話はしない、リモート参加者に議論について来れているか質問や意見はあるかなどを確認すること、どんな時にミュートにするかを決めておくこと、これら基本原則をチーム全員で決めておくことは大切です。
明確な目標と目標が達成されたと評価する基準
目標が達成された時は、その貢献を認め祝福します。オフィスにいるときのように、テレワークしている人であっても、同じようにオンライン会議の場や、slack などを活用するなどして行うことができます。
ここで大切なことは透明性です。
明確な目標と目標が達成されたと評価する基準をチーム内で合意してオープンにし、Trello などを活用してカンバン管理すれば、簡単にチーム内で透明性を持って見える化できます。
Aさんが祝福される場合、チームメンバーが「そうだよね。Aさんは祝福されるべきだよね。」というような納得感があることが大切です。
この納得感を得るためのアプローチの一例は、カンバン管理する各々のタスクについて RACI(レイシー)を活用して役割を明確にすることです。
RACI は役割と責任を見える化するフレームワークです。
R、A、C、I 各々の役割と責任は下記です。
- R:実行責任者 (RはResponsibleの頭文字):当該タスクを実行することに責任を持つ人(複数人可)
- A:説明責任者 (AはAccountableの頭文字):当該タスクについて内容や進捗・状況を組織内外に説明することに責任を持つ人(通常ひとり)
- C:相談される人 (CはConsultedの頭文字):当該タスクの実行を支援する役割を担う(円滑に実行されるよう相談を受け助言する人(複数人可)
- I:報告を受ける人 (IはInformedの頭文字):当該タスクの進捗・状況について報告を受ける役割を担う人(複数人可)
R と A は誰かを必ず任命します。兼任可です。
C と I は誰も任命されなくてもOKです。この2つも兼任可です。
長くなってしまうので、ここでは詳しい説明は避けますが、『会社の会議:会議の変革:RACI を活用して実施可能な To Do を合意しよう』 でRACIについてわかりやすく説明していますので、RACIをご存知ない方はご一読いただければと思います。
いかがでしたか?あなたのチームの現在のテレワークの運用方法と異なるところがありましたか?
テレワークをとおして、働き方を変革するチームであることが、働き方を変革する会社につながるのだ、と私は考えます。チームに所属するメンバーは成長していることを実体験することになると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。