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小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(おがわよしお) / ファシリテーター

BTFコンサルティング

コラム

会社の会議の進め方:意見を引き出す:今理解すべき3つの視点

2020年2月7日 公開 / 2021年8月16日更新

テーマ:ファシリテーション

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 生産性向上 取り組みチームビルディング働き方改革

このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。

会議の進め方、みなさん苦労していますか?
私BTFコンサルティングのファシリテーションを活用した会議の進め方は、次の4つから構成されます。

  1. 場を作る
  2. 意見を引き出す
  3. 意見をかみ合わせる
  4. 意見をまとめる


このコラムでは、「意見を引き出す」について、今理解すべき3つの視点として、次の3点を書きます。
5分程度で読める内容です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション(Facilitation)。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。


1. 傾聴と質問とは?

傾聴とは「相手が言いたいこと」「相手が伝えたいこと」を理解しようとすることです。

AさんとBさんが会話していたとします。Aさんが何かを言います。BさんはBさん自身のフィルターを通してAさんが言ったことを理解しようとします。この段階で終わってはいけません。Bさんは「Aさんはこう言ったと『私(Bさん)』は思っている」に過ぎないからです。
「言った」「言っていない」とか、「私はこう言った」「そう言ったとは思わなかった」、会社の会議でこんな経験ありますか?

どうしたら、Aさんの言ったことを理解できるのでしょう。
BさんはAさんが言ったことを自分の言葉で確認しながら、Aさんが言いたいことを理解する必要があります。
「相手が言いたいこと」「相手が伝えたいこと」を理解しようとすることが必要なのです。Aさんの言っていることを聴き(単に聞くのではないですよ)、Aさんが言いたいこと・伝えたいことを理解するために適宜質問して(確認して)、理解する必要があります。


意見を引き出すためには、傾聴と質問は必須なのです。
アクティブ・リスニング(Active Listening)という言葉をご存知の方、そうアクティブ・リスニングです。
アクティブ・リスニングは、もともとカウンセリングで用いられていたもので、私BTFコンサルティングでは、アクティブ・リスニングのエッセンスを使っています。

ファシリテーターが入る会議では、ファシリテーターが傾聴と質問を使って、「言いたいこと」「伝えたいこと」を引き出します。

ファシリテーターが入る会議を経験したことがない方にとっては、ちょっとしたカルチャー・ショックかもしれません。でも、心配はいりません。
会議参加者は何回かファシリテーターが入る会議を経験すると、傾聴と質問が有効であることを理解します。百聞は一見に如かず。一見は一体験に如かずです。言いたいこと・伝えたいことが理解してもらえることは気持ちいいのです。

人前で話すのが好きな人、話が長い人、今ひとつ何を言いたいのかはっきりしない人、人前で話すのが苦手な人、声の小さな人、等々色々な人がいますよね。
みんなの意見を公平に聴き、言いたいこと・伝えたいことを確認するために、ファシリテーターは傾聴と質問を使います。そして、意見・アイデアを、みんなの前に張り出した模造紙やホワイトボードに書き出し、共有します。このことにより、自分の意見・アイデアが受け入れられたと感じることができます。また、書くことにより「本当に言いたかったこと」が明確になるという利点があります。そもそも、話し言葉はあまりまとまりのないような、文字起こしすると何を言っているのか分かりにくい場合も多々あります。「本当に言いたかったこと」を明確にして参加者全員で共有して理解することは、とても重要なことです。


みんなの前に書き出された意見・アイデアを、丸で囲ったり線で結びつけたりして、紡ぎ合わせます。意見・アイデアが紡ぎ合わされると、化学変化を起こして一人では思いつくことができないようなアイデアが出てくることがあります。セレンディピティ(serendipity)と言っても良いかもしれません。ウィキペディアによると『セレンディピティとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。』とあります。

模造紙やホワイトボードを使った、このような議論を見える化することを、ファシリテーション・グラフィックと言います。私BTFコンサルティングでは意見を引き出す段階からファシリテーション・グラフィックを活用します。

ところで、オンライン会議では、模造紙やホワイトボードは使えません。代わりに、クラウド上のホワイトボードを使います。
一例は、MURALmiroです。(他にも色々あります)


2. 非言語メッセージとは?

顔の表情、眠そうな表情、踏ん反り返って座っている様子、しかめっ面、等々、非言語メッセージを読み取って、場合によっては問いかけたりしながら、非言語メッセージも引き出します。

ファシリテーターは非言語メッセージを読み取って、その人が思っていることをできるだけ言語化しようとします。例えば、しかめっ面をしている人がいたら、その人の近くに行って「いかがですか?ご意見ございますか?」などと言って、意見を引き出そうとします。

このあたりのことは体験しないと身につかないことが多いです。
例えて言うなら、スポーツの雑誌や本を読んでも、そのスポーツができるようになるわけではないですよね。練習や試合が必要なのです。ファシリテーションも同じです。リアルな会議やワークショップの場での経験が必要です。


コロナ禍でオンライン会議が増えている方もいらっしゃると思います。
会議室でのリアルな会議に比べると、オンライン会議では基本顔の表情くらいしか見えないので、非言語メッセージが読み取りにくいです。私は、非言語ではなく言語に振るしかないと考えます。言い換えるとローコンテクストで会議を進める必要があると考えます。


コンテクスト(Context)とは、コミュニケーションの基盤である言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性などのことです。

ローコンテクスト(Low Context)は、言語によりコミュニケーションを図ろうとします。(見方を変えればコンテクストに頼った意思疎通が不得意とも言えます。) そのため、言語に対し高い価値と積極的な姿勢を示し、コミュニケーションに関する諸能力 (論理的思考力、表現力、説明能力、ディベート力、説得力、交渉力) が重要視されます。

ローコンテクストの対語はハイコンテクスト(High Context)です。
ハイコンテクストの特徴は下記になります。

  • コンテクストの共有性が高い。
  • 伝える努力やスキルがなくても、お互いに相手の意図を察しあうことで、なんとなく通じてしまう環境。
  • その環境が整わないと一転してコミュニケーションが滞ってしまう。お互いに話の糸口も見つけられず、会話も弾まず、相手の言わんとしていることが掴めなくなってしまう。


ローコンテクストとハイコンテクストについては、『新型コロナウイルス対策:withコロナの会議をどうするべきか:意識すべき3つのポイント』で分かりやすく説明しています。


3. 非攻撃的自己主張とは?

ファシリテーターは、攻撃されることがあります。そんな場合は、攻撃し返すのではなく、非攻撃的に自己主張をすることが大切です。

ファシリテーターの役割は、中立な立場で、チームのプロセスを管理し、チームワークを引き出し、チームの成果が最大となるように支援することなので、通常は自分の意見を述べることはしません。

例えば、Aという意見を言い張る人がいたとします。一方他の人はBという意見も大切だと言っていたとします。
こんな時、Aを主張する人に「そうおっしゃいますが、Bという考えもあるんじゃないでしょうか?」というのは、火に油を注ぐような感じになってしまいます。「そうおっしゃいますが」で、まず否定(攻撃)から入ってしまっているからです。
AだけではなくBも考えて欲しいのであれば、例えば「なるほど、Aというわけですね。さらに、Bについてお考えになるのはどうでしょうか?」というのが、非攻撃的な自己主張です。

 
 
今回のコラムは『会社の会議の進め方:意見を引き出す』というテーマでした。

意見を引き出すというと、例えば、会議の場を長時間の独演会にして参加者の時間を乗っ取ってしまう人がいます。この人が人事上の評価者だったりすると、グラウンド・ルールで「意見は分かりやすく簡潔に言おう」と決めていたとしても、ファシリテーターはルールを破っていることを指摘することを躊躇してしまうかもしれません。「別に今そんな危ないリスクを取らなくてもいいんじゃないか」と。

ファシリテーションの普及を阻害している理由の1つはこんなところにあるのかもしれない、と私は思っています。せっかくファシリテーションを取り入れようと志を持って始めたのに、もったいない話です。
『会社の会議:不要な会議を数字で考える:今理解すべき3つの視点』というコラムで書いたとおり、会議のムダを削減し利益を生み出す機会を逸しているからです。


これを打破する1つの選択肢は、私BTFコンサルティングのような外部のファシリテーターを活用することです。あなたの組織の会議にファシリテーション・マインドが根付くまで、外部のファシリテーターを使うという選択肢があります。そうすることで、ファシリテーション・マインドが根付くまでの間の混乱や不満や批判などを、外部のファシリテーターに受けさせることができます。そして、対応策を外部のファシリテーターと相談しながら、前に進んで行くことができるのです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

小川芳夫

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小川芳夫(BTFコンサルティング)

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