働き方:40代50代の方へ:今後直面するスキルギャップへの対応策を考える
このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。
先が見通しにくい時代です。VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)という言葉に代表されるような気がします。不安定で不確実で複雑で不明確な時代ということなのでしょう。
「アジャイルな働き方」という言葉を聞いたことはありますか?
アジャイル、英語のagileで「機敏な」という意味の形容詞です。機敏な働き方って何でしょう。
不安定で不確実で複雑で不明確な先が見通しにくい時代には、アジャイルな働き方が合っている、と私は考えています。
このコラムは次の3つの章で構成します。3分程度で読める内容です。
私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。
ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。
ファシリテーションをする人をファシリテーター (facilitator) と言います。
1. アジャイルな働き方とは(このコラムを書く理由)
このコラムは、私が経験したアジャイルな働き方について、その本質は何なのか、何故私はみなさんにこのコラムを発信しているのかを書いてみたいと思います。
前提として「仕事をチームで行っていること」とします。ビジネスパーソンの多くの方々は、仕事をチームで行っている、と私は思っています。チーム内のメンバーが協働して、目標に向かって日々仕事をしている。こういうことをしている方にとって、このコラムは役立つ内容です。
「アジャイル」はソフトウェア開発で使われている開発方法の1つです。ソフトウェア開発で使われている方法から、働き方に役立つ本質的なものを抽出したもの。それが、アジャイルな働き方です。
私はアジャイルな働き方が良いものであると思えるまで時間がかかりました。腑に落ちるまで時間がかかりました。私は、アジャイルな働き方は働き方改革の1つの有力な選択肢ではないか、と今では思っています。このような自身の体験から、このコラムをお読みいただいただけで、アジャイルな働き方を腑に落ちるレベルでご理解いただくことは難しいかもしれないと思います。とはいえ、アジャイルな働き方の概要をご理解いただくことは価値のあることだろう、と私は考えています。
そんな私から、みなさんにお伝えしたい内容は、下記3点です。(お伝えしたい内容はもっともっと多いのですが、このコラムではこの3点のみにします)
- 機敏に各メンバーの状況を共有すること
- 機敏に振り返りを実施して、適宜機敏に打ち手を考えること
- チームの協働を促進するファシリタティブなリーダーシップを持つリーダーが必要なこと
2. 失敗とは
1章の終わりに書いた、お伝えしたい内容の1番目と2番目、「機敏に各メンバーの状況を共有すること」と「機敏に振り返りを実施して、適宜機敏に打ち手を考えること」が、本章のトピック「失敗」に関連します。
「失敗」を辞書で引くと、「やりそこなうこと。目的を果たせないこと。予期した効果をあげられないこと。しくじり。」とあります。一方、「失敗は成功のもと」とも言います。では、できるだけ失敗しないようにするにはどうしら良いのでしょう。
私の経験からすると、うまくいかなくなって、どうすることもできなくなってしまったとき、失敗となってしまうのだと思います。「うまくいかない」「うまくいっていない」状況を機敏に察知して、機敏に打ち手を考え、行動し、機敏に振り返りを実施する事ができたら?失敗の危険性を下げる事ができます。
私のチームでは、うまくいっていない状況を機敏に察知できるように、各メンバーが今日やることを全員に見える化し、状況も見える化するようにしていました。そうしたことが出来るITツールの利用は必須でしょう。
ツール利用に加えて、人的な側面がもっと重要です。
各メンバーが同じような粒度で、同じような状況判断で、共有ツールに情報を入れる事が重要なのです。ある人は、とても細かく、少しうまくいっていない状況でも報告する。別の人は、とてもざっくり、ちょっとうまくいっていなくても順調と報告する。これでは「機敏に各メンバーの状況を共有すること」ができません。このような事態への打ち手については3章で考えます。
私のチームは、毎日10分から15分程度の「スタンドアップ・ミーティング」で、各メンバーの情報を共有していました。ミーティングまでに各自状況を共有ツールに入れておくルールにしました。初めの数日間は15分以上時間がかかります。そのうち15分もあれば終わるようになります。
うまくいっていない場合には、迅速に対応を検討します。ミーティングまでに、メンバーが打ち手を持っている場合もありますし、ミーティング内で検討する場合もあります。
言葉だけで話すのではなく、適宜フレームワークを利用するなどして、話している内容を見える化することは必須だと思います。フレームワークを用いて作成したものは、きっと再利用可能な大切な資産となりますよ。
多くの時間や金などを費やし壊滅的な失敗になる前に、小刻みに修正しながら目標に到達できるように走ること。「うまくいかない」「うまくいっていない」ことは、自分たちの学びの教材であり、成長のもとなのです。
テレビドラマのドクターXで、外科医の大門未知子は「私、失敗しないので」と言っています。
もし、あなたが「私たちのチーム、あまり失敗しないので」と言えるようになったらどうでしょう?
3. アジャイルな働き方を導入するには
1章の終わりに書いた、お伝えしたい内容の3番目、「チームの協働を促進するファシリタティブなリーダーシップを持つリーダーが必要なこと」が、本章のトピック「アジャイルな働き方を導入するには」に関連します。
私は、チームの協働を促進するファシリタティブなリーダーが必要であると信じています。
もう一つ言うと、ファシリタティブなリーダーシップが必須です。
この章では、アジャイルな働き方を導入するには、ファシリタティブなシーダーシップと、ファシリタティブなリーダーシップを持ったリーダーが必要であることを書きます。
ファシリタティブ (facilitative) とは、「物事の進行などを促進する」という形容詞です。
ここで、リーダーシップ、リーダー、リーダーシップという言葉の定義について考えてみましょう。
まず、リーダーシップという言葉の定義から始めたいと思います。
リーダーシップとは、職場のチームで目標に向かって協働し、目標を達成することを成し遂げる力です。目標を達成するよう働きかける力とも言えます。このコラムではリーダーシップをこのように定義します。
次に、リーダーという言葉の定義をします。
リーダーとは、役割や職責であり、具体的には主任、課長、部長などです。このコラムではリーダーをこのように定義します。
リーダーシップは、リーダーの職責を担う人だけに求められる能力ではなく、チームの目標を達成するために活動している従業員一人ひとりに必要な力といえます。
先が見通せない激変しているビジネス環境にいる今、課題への対応スピードを上げることが必要です。指示を待つのではなく、能動的に行動し、周囲に働きかける力を持つ人材が求められています。在籍年数や年齢は関係ありません。従業員一人ひとりがリーダーシップを身につけることは、会社の成長に大きく貢献します。
チームの協働が目標に向かってうまく進むように促進するリーダー。これがファシリタティブなリーダーです。
ファシリタティブなリーダーシップは、ファシリテーションを中核に置きながら、チームに働きかけチームを目指す目標に到達するようリードするリーダーシップです。
ある人は、とても細かく、少しうまくいっていない状況でも報告する。別の人は、とてもざっくり、ちょっとうまくいっていなくても順調と報告する。こういう困った状況になることがあります。この状況を、メンバーの納得を得ながら、より良くするためには、ファシリタティブなリーダーシップが必須であると考えます。チームのリーダーはファシリタティブなリーダーであることが必要です。
メンバーはリーダーに頼りっきりではダメですよ。協働することが必要です。時にはスキルアップすることも必要でしょうね。チームなのですから。
チームのメンバー全員がアジャイルな働き方の概要を理解し、ファシリタティブなリーダーシップを持つリーダーの元で、自分たちに合った働き方を探究する事が必要だ、と私は考えます。
この活動は刺激的で楽しいものになるはずです。
このコラムでは、ほんの触りしか説明できませんでした。
ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。