組織力強化:職場のチームとは?:今考えたい3つの視点

小川芳夫

小川芳夫

テーマ:ファシリテーション

RW組織力強化:職場のチームとは?:今考えたい3つの視点

このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。

2019年の流行語大賞に、ONE TEAMが選ばれました。2019年は、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催され、日本チームが大活躍したからでしょう。このコラムでは、ビジネスパーソンにとってチームとは何なのか、について考えてみたいと思います。

このコラムは次の3つの章で構成します。3分程度で読める内容です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。

ファシリテーションをする人をファシリテーター (facilitator) と言います。


1. チームとグループの違い

ラグビーのチームとは言いますが、ラグビーのグループという表現は聞きません。チームもグループも、人の集まりですよね。何が違うのでしょう。

2つともカタカナ言葉なので、そもそもの意味の違いを確認したいと思い、teamとgroupの違いを調べてみました。
あなたは何を感じますか?あなたの職場はどちらに近いですか?

目標

  • チームのメンバーは、チームの目標を成し遂げることに集中する。
  • グループのメンバーは、個々人の目標を成し遂げることに集中する。


働き方

  • チームは課題について議論し、解決方法を合意し、合意事項を協働して実施する。
  • グループは課題について議論し、仕事を個々人に任せる。


成果物

  • チームはメンバー全員で協働して成果物を作成する。
  • グループのメンバーは個々に成果物を作成する。


責任

  • チームのメンバーは責任を共有する。
  • グループのメンバーは責任を共有しない。


関係性

  • チームのメンバーは持ちつ持たれつの関係である。
  • グループのメンバーは互いに依存しない。


参照したサイト:Key Differences (https://keydifferences.com/)

チームは、仲間と団結して、目標に挑む。
グループは、個人プレーで個々人の目標に挑む。


こんな感じでしょうか?
あなたにとって、職場として心地よいのはどちらでしょう?


2. より働きやすい職場を自分たちで作る

今よりも、もっと働きやすい職場。あなたにとって、どんな職場ですか?
それは、待っていれば誰かが与えてくれるものですか?

私は、職場がグループではなくチームになるべきだ、と考えています。

チームとして、目標を達成することに集中する。そのためにみんなで協働する。うまくいかない場合は、誰かを責めるのではなく、みんなでどうすれば良いか、解決方法を話し合う。

例えば、お子さんがいるお父さんやお母さんの場合、お子さんの具合が悪くなった場合は、病院へ連れて行くために休暇を取らなくてはなりません。持ちつ持たれつの精神で、チーム・メンバーで補完して影響が生じないように、残りのメンバーで対応する。こんな感じです。

職場がチームとなるためには、従業員相互の信頼が必要です。ラグビー日本代表チームのように。従業員間の信頼をどう醸成していくのかが鍵となります。


3. 従業員間の信頼を醸成する

私は、日々の仕事を通して、従業員間の信頼を醸成するための強力なツールは、ファシリテーションだと思っています。

フラン・リース (Fran Rees) という人は、次のように言っています。
『ファシリテーターは、とてもやりがいのある仕事だ。なぜなら、成果を生み出す源泉ともいうべき信頼と協力の人間関係をつくる役割を担っているからだ。高度化し、専門化し、技術革新の目まぐるしい現代社会では、ファシリテーターはなくてはならない存在である。企業などの組織に属する人たちは、ファシリテーターの助けを得て、協力し合い、新たな改革をし、一致団結して、今という時代が突きつけてくる課題に立ち向かっている。』
出所:ファシリテーター型リーダーの時代 (ISBN978-4-8334-1741-9)

あなたの職場に、ファシリテーター、もっと言うと、ファシリテーター型リーダーがいると、日々の仕事をする中で、お互いの信頼を醸成することができると思います。

リーダーとは、役割や職責であり、具体的には主任、課長、部長などです。このコラムではリーダーをこのように定義します。

リーダーシップとは、職場のチームで目標に向かって協働し、目標を達成することを成し遂げる力です。目標を達成するよう働きかける力とも言えます。このコラムではリーダーシップをこのように定義します。
リーダーシップは、リーダーの職責を担う人だけに求められる能力ではなく、チームの目標を達成するために活動している従業員一人ひとりに必要な力といえます。


ファシリタティブ(facilitative)という言葉があります。ファシリタティブは、「物事の進行などを促進する」という意味の形容詞です。ファシリタティブなリーダーシップとは、ファシリテーションを中核に置きながら、チームに働きかけチームを目指す目標に到達するようリードするリーダーシップです。

ファシリテーター型リーダーとしての主任や課長や部長がいて、チームメンバーはファシリタティブなリーダーシップを持っている(または、ファシリタティブなリーダーシップを獲得しようと研鑽している)。このチームは、日々の仕事を通して、お互いの信頼を醸成し強化することができるでしょう。

例えて言うなら、1つの目標に向かってチーム全員で戦うラグビーチームのように。

一気には無理かもしれません。日々繰り返すことで、1ヶ月前よりももっと、1年前よりももっと、お互いの信頼が増し、職場をより働きやすい場とすることができると思います。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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