JIJICO掲載コラム『企業の生産性向上のためには従業員に焦点を当てるべき理由』の補足
このコラムはビジネスパーソンの方々、特に30代40代の働き方やスキルに関心をお持ちの方々を対象として書いています。
このコラムは、従業員体験(エンプロイー・エクスペリエンス、Employee Experience、EX や EEと略されることがある)について考えます。
このコラムは次の3つの章で構成します。5分程度で読める内容です。
私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのためのお手伝いをしたい」と考え、この屋号にしました。
ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。
1. 顧客体験だけでなく、従業員体験に焦点が当たってきた
顧客様体験 (Customer Experience、CXと略されることがある)という言葉をご存知ですか?
顧客が商品やサービスを購入する前、購入するとき、利用しているとき、利用した後に体験する一連の体験のことです。
商品やサービス自体が顧客に与える価値や体験に加えて、商品やサービスを提供する企業とのあらゆる機会で、顧客を理解しよう・理解したい、という考え方と言えます。
何故、顧客体験に焦点が当たっているのかというと、「自分たちは、まだまだお客様のことが理解できていないよね。マズイんじゃない?」という気持ちだと私は思っています。
従業員体験。あなたが仕事を通じて体験することです。
目的が明確に理解できる仕事が求められるようになっている、と私は思います。現代の働く人たちは、自らの仕事の価値を知ることを望んでおり、その要望が満たされる職場で働きたい、という人が増えているそうです。顧客を理解する。自分の仕事が、顧客の体験にどのような価値を提供しているのかを理解している・理解したい。言われたことを言われたまま実行するような単純な労働ではない。こんな感じの気持ちなのだと私は思います。
働きやすい職場環境、毎日仕事するのが楽しくなるような環境。そんな環境で仕事ができたら良いですよね。ギスギスした職場、個人の生活を犠牲にするような職場(例:子供のお迎えに行く時間なのに会議が終わらなくて遅れて行った)は良くない。
従業員が元気でないと、良いお客様体験をお届けすることは無理です。マクドナルドは、お客様を笑顔で迎えるようにしているそうです。引きつった笑顔ではダメですよね。
ということは、従業員が楽しくやりがいを持って働く環境であること、が必要です。東京ディズニーランドも同様です。
「そうなったらいいよね。理想論でしょ。ウチは無理」と感じておられる方、海外では顧客体験から従業員体験に重点領域を広げているようです。そうでないと、企業として生き残れないからです。この流れは早晩日本にもやってくる、と私は思っています。
2. 求められているスキルは変化する
この章では、求められているスキルは時の流れと共に変化する、ということを書こうと思います。
短命なスキルと寿命の長いスキルってあるのでしょうか?
私はあると思います。
以下は、私が考える一例です。みなさんは、どう考えますか?
必ず到来すると言われているAI (人工知能) の時代。AI関係のスキルを研鑽したい、と思っておられる方々は多くいらっしゃると思います。現在も、これからも、求められているスキルだと思います。
私は、今求められているAI関係のスキルと、5年後10年後に求められるAI関係のスキルは異なるのではないかと考えています。AIは自ら学んで成長するものなので、どんどん賢くなります。今はAIに教える先生役のスキルはそれほど高くないと思いますが、5年後10年後賢くなったAIに教える先生役に求められるスキルは高度になると思います。ある意味、最高のスキルを持った人にしか担えない役割になるかもしれません。
私は、もっと寿命の長いスキルとして、ファシリテーションのスキルを挙げたいと思います。人が集まって議論し合意を形成する。議論し合意形成することを促進するスキルが、ファシリテーションのスキルです。私は、人が集まって議論し合意形成する行為は、無くならないと思っています。もし、この考えが正しいとしたら、ファシリテーションのスキルは一生ものと言えるかもしれません。
3. 自から自分で身につけたいスキルを身につけよう
この章では、自分から主体性を持って身につけたいスキルを身につけよう、ということを提案します。
今よりも良い従業員体験をするために、自らできることは、自分で将来を考えて、自分で身につけたいスキルを決めて、自らそのスキルを身につけることだ、と私は思います。
待っていても、誰も与えてくれないと思うし、そもそも、人から与えられたものに対して、納得感を持って頑張れるかどうか分からないと思うのです。
もし当コラムを目にしたマネージャー・クラスの方がいらっしゃったら、是非従業員の方々がスキル研鑽の機会を得ることを、支援していただきたいと思います。必ず、会社のためになると思います。
『日本は何十年も給料が上がっていない。労働生産性が低い。リスキリングやアップスキリングするために企業が行う人材投資が他の国々に比べてとても少ない。(だから、新しいスキルを身につけることもできないし、生産性を上げるためのスキルを身につけることもできない)』といったことを良く見聞きします。
2021年12月27日から2022年1月26日の間、厚生労働省ホームページなどにおいて、「人への投資」について国民からアイデアを募集したそうです。これを受けて、国は人材開発助成金に新たな助成コース「人への投資コース」を新設したそうです。この助成は、令和4年度から令和6年度までの間の期間限定の施策だそうです。
BTFコンサルティングでは、下記2つの能力開発を伴走型で支援しております。
- 会議の生産性を上げるためのファシリテーション能力開発
- ビジネス変革能力開発や、プロジェクトの協働能力を上げる能力開発(ソフトスキル向上、フレームワークや思考法活用能力開発)
これらは助成の対象になり得るそうです。
「なり得る」と記した理由は、事業者(あなたの会社)が人材開発の計画の中にBTFコンサルティングの伴走型支援を組み込めば、助成対象になるとのことだからです。事業者次第ということです。
自分から主体性を持って身につけたいスキルを身につけるために、上司との1on1の場などであなたのご希望を伝えてみてはいかがでしょう。部門や会社の方針があるでしょうから、必ずしも100%ご希望が叶わない場合もあるかもしれませんが、そこは粘り強く上司の方を説得すべきだと思います。
ちなみに、粘り強く上司の方を説得できる能力もスキルです。対人系のスキルで、ソフトスキルと言われているものです。ファシリテーション、コミュニケーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、チームビルディング、エモーショナル・インテリジェンス などのスキルです。
BTFコンサルティングの伴走型支援以外にも、ご自身のリスキリングやアップスキリングをしたいとお考えの方々がおられると思います。デジタル分野、情報技術分野、その他の成長分野などや、サブスク型のeラーニングも対象だそうです。
ご参考までに、厚生労働省の資料へのリンクを添付します。
最後までお読みいただきありがとうございました。