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【実録】「家財保険に入っていたのに…」借主死亡で大家さんに残った想定外の請求

花輪隆俊

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テーマ:保険の選び方

家財保険に入っていたのに
「入居者さんは家財保険に入っています。だから、万が一のときも大丈夫ですよね?」
管理会社さんや大家さんから、このように聞かれることがあります。
ところが、同じ「賃貸住宅の家財保険」でも、補償される内容は同じではありません。
火災や水漏れ、家財の損害には対応していても、入居者が室内で亡くなった際の遺品整理費用、特殊清掃費用、消臭費用、原状回復費用までは十分に備えられていないことがあります。
今回は、実際に寄せられた相談をもとに、家財保険の見分け方についてお話しします。
■「保険に入っているから安心」だと思っていた大家さん
青森県内でアパートを所有する大家さんから、一本の電話がありました。
一人暮らしをしていた入居者さんが室内で亡くなり、発見までに時間がたっていたそうです。
室内には臭いが残り、床にも汚損が広がっていました。家財や生活用品も、そのまま残されていました。
大家さんは管理会社から、
「入居者さんは家財保険に加入しているので、まずは保険会社に確認しましょう」
と説明を受け、少し安心したといいます。
ところが、実際に保険の内容を調べてみると、期待していたほど簡単な話ではありませんでした。
火災や水漏れに関する補償は充実していましたが、入居者死亡時の遺品整理や特殊清掃については、補償の対象になるかどうかを個別に確認する必要がありました。
さらに、誰が保険金を請求できるのか、どのような書類が必要なのか、貸主からの損害賠償請求が条件になるのかなど、手続きにも確認事項がいくつもありました。
大家さんは、こう話していました。
「家財保険に入っていれば、特殊清掃も遺品整理も全部出るものだと思っていました」
これは、決して珍しい勘違いではありません。
■家財保険は「入っているか」ではなく「何が入っているか」
賃貸住宅の家財保険を確認するときは、保険に加入しているという事実だけでは不十分です。
少なくとも、次の3つを分けて確認する必要があります。
1.入居者の家財に対する補償
2.残された家財や遺品を整理・処分するための費用
3.特殊清掃、消臭、修理などの原状回復費用
特に大切なのが、2番目の「遺品整理・残置物処理費用」と、3番目の「特殊清掃・消臭・原状回復費用」です。
添付の比較資料に掲載されている少額短期保険では、借主死亡時の遺品整理費用と、清掃・消臭・修理などの費用について、それぞれ50万円を限度とする商品が複数あります。
しかし、「各50万円」という表記だけを見て安心してはいけません。
商品によって、
・何を特殊清掃費用として認めるのか
・消臭作業や床、壁の修理が対象になるのか
・貸主からの賠償請求が必要なのか
・誰が保険金を請求できるのか
・死亡から発見までの期間などに条件があるのか
・免責事項や対象外となる費用は何か
といった点が異なる場合があります。
パンフレットの表だけではなく、重要事項説明書や約款まで確認することが大切です。
■50万円の補償があっても足りないことがある
今回の部屋では、汚れている部分だけを片づければ終わり、という状態ではありませんでした。
臭いは床材の表面だけでなく、床下や壁際にも入り込んでいる可能性がありました。
一般的な消臭方法で臭いが一時的に弱くなっても、数日後や、気温・湿度が上がったときに再び臭いが出てくることがあります。
もし、臭いの原因を十分に調査しないまま壁紙や床材をすべて交換すれば、工事費は大きくなります。それでも臭いの発生源が床下に残っていれば、再募集後に臭い戻りが起きる可能性があります。
反対に、臭いの発生源と浸透範囲を正確に特定できれば、交換する必要のない建材まで壊さずに済むことがあります。
そこで全花連では、室内の状態を確認したうえで、特許技術「花輪式完全消臭」による特殊清掃・完全消臭をご提案しました。
床下を含めて臭いの原因を調査し、必要な箇所に処置を行った結果、当初検討されていた大がかりな床や壁の交換範囲を抑えることができました。
大家さんからは、
「全部壊して交換するしかないと思っていました。臭いを取る技術で、原状回復費用まで変わるのですね」
と言っていただきました。
特殊清掃では、単に見た目をきれいにするだけでなく、どこまで交換し、どこを残せるかという判断が、費用と再募集までの期間を大きく左右します。
■もう一つの問題は「誰が残された物を処分するのか」
部屋をきれいにする技術があっても、残された家財を大家さんや管理会社さんが勝手に処分することはできません。
相続人への連絡や確認が必要になり、相続人が見つからない、相続放棄された、連絡が取れないといった場合には、部屋の明け渡しが進まないことがあります。
この期間も、大家さんには家賃が入らない状態が続きます。
今回の相談でも、清掃費用だけでなく、
「残された家財を、誰の権限で整理するのか」
という問題が大きな壁になりました。
ここで重要になるのが、入居者が元気なうちに備えておく「死後事務委任」の仕組みです。
全花連安心サービスでは、賃貸借契約の特約などを通じて、入居者が亡くなった後の残置物処理、特殊清掃・完全消臭や原状回復の手配、保険金請求に必要な対応などを進められるように備えます。
保険だけ、特殊清掃だけ、死後の手続きだけではなく、それぞれをつないでおくことが大切なのです。
■管理会社さん・大家さんが確認したい7項目
入居者さんの家財保険を確認するときは、次の項目をチェックしてください。
・遺品整理費用、残置物処理費用が補償されているか
・特殊清掃費用が補償されているか
・消臭作業が補償対象として明記されているか
・床、壁、建具などの修理費用が対象になるか
・それぞれの支払限度額はいくらか
・保険金を誰が、どのような条件で請求できるか
・必要書類、免責事項、対象外となるケースは何か
可能であれば、遺品整理・残置物処理費用と、特殊清掃・消臭・原状回復費用について、それぞれ50万円以上の備えがあるかを一つの目安として確認してください。
ただし、50万円あれば必ず足りるという意味ではありません。発見までの日数、部屋の広さ、汚損の範囲、床下への浸透、残置物の量によって、必要な費用は大きく変わります。
■大切なのは、事故が起きる前の確認
今回の大家さんは、最後にこう話していました。
「保険証券のコピーを預かっていただけで、内容まで見ていませんでした。事故が起きてから調べるのでは遅いですね」
まさに、そのとおりです。
家財保険は、入居者さんを守るためだけのものではありません。
補償内容を正しく確認しておくことは、管理会社さんや大家さんの経営を守り、万が一の際にご遺族や関係者の負担を減らすことにもつながります。
「保険に加入しているから大丈夫」ではなく、
「死亡時の遺品整理、特殊清掃、完全消臭、原状回復まで、実際にどのように対応できるのか」
そこまで確認して、初めて本当の備えになります。
全花連では、特殊清掃から花輪式完全消臭、再募集に向けた原状回復のご相談に加え、全花連安心サービスによる入居者死亡後の手続きへの備えについてもご案内しています。
高齢者や一人暮らしの方に安心して住んでいただき、大家さんや管理会社さんにも安心して受け入れていただくために。
事故が起きてから困るのではなく、何も起きていない今のうちに、一度、入居者さんの家財保険と契約内容を確認してみてください。
※本コラムは実際の相談事例をもとに、個人や物件が特定されないよう内容の一部を変更して構成しています。保険商品の補償内容、支払条件、免責事項などは改定される場合があります。実際の契約にあたっては、必ず保険会社または取扱代理店に最新の重要事項説明書・約款をご確認ください。

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花輪隆俊
専門家

花輪隆俊(特殊清掃業)

一般社団法人全日本花輪式完全消臭連盟

孤独死現場の特殊清掃・残置物撤去、特許取得の花輪式完全消臭で対応。死後事務委任を備えた「全花連安心サービス」でオーナーの負担を抑え、高齢者や身寄りのない方の安心入居を支えます。

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