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鈴木壯兵衞

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鈴木壯兵衞(すずきそうべえ) / 弁理士

そうべえ国際特許事務所

コラム

第73回 発表されるコロナ感染者数に踊らされるな:コロナ死亡者数の報道と死亡者を減らす対策が必要

2021年2月7日 公開 / 2021年2月11日更新

テーマ:発明の仕方

コラムカテゴリ:医療・病院

 前回のコラムで、病床数400以上の病院のうち、22病院がコロナ重症者を1人も受け入れていないのが現状と述べた。貝原益軒が『養生訓』で「醫は仁術なり」と述べているとおり、すべての医者が「人を救ふを以て志とすべし」を倫理観として持っているはずである。コロナ重症者を受け入れない病院のトップの判断は、2020年1~10月の日本の死亡数は前年同期より1万4千人少ないのであるから、今の日本は、SARS-CoV-2ウイルス(以下において「第7コロナウイルス」という)によって、脅威を受けるほどには医療切迫にはなっていないと考えていることが推定される。

 前回のコラムで述べたとおり、実際のところ、第7コロナウイルスによる死亡者は、季節性インフルエンザの死亡者よりも遙かに少ないのである。特に、肺炎やインフルエンザを含む「呼吸器系の疾患」の2020年1~10月の日本の死亡者の数が、今回のコロナ騒動のなかで、前年同期より計1万2872人減少し、全死因の減少分4分の3を占めたというのは、昨年大騒ぎをして実施したのは第7コロナウイルス対策ではなく、季節性インフルエンザの感染防止をしていたのではないかとさえ思われる。

 疫病が流行したら、通常は死亡者の数が前年より増えるはずであるが、2020年1~10月の日本の死亡数のデータは逆である。

   §1 今のやりかたで感染者数の増減を議論しても意味がない:
   §2 コロナ対策のガイドラインは死者の数を減らすこと:

§1 今のやりかたで感染者数の増減を議論しても意味がない:

 第7コロナウイルスによる感染者数はPCRの検査数を増やせば増え、PCRの検査数を減らせば減る。国民の全員を検査しないで、今のやり方で感染者数の増減を議論するのは統計学的に何の意味もない。実際のところ2021年1月19日をピークとして、1月の下旬からPCRの検査数が減少傾向なので、図1に示すように、感染者として発表される数も減少傾向にある。図1のデータから1月の下旬のデータから感染者が減少したと判断したら間違いを招くことは死亡者数の増加を見れば分かる。
 
 図1において左側の縦軸が死亡者の変化を示すスケールであり、右側の縦軸が発表される感染者の変化を示すスケールである。右側の縦軸の感染者の単位は千人である。

【図1】緊急事態宣言の発令にもかかわらず、第7コロナウイルスによる死亡者数は増大中

 図1のデータの出所は、ジョンホプキンス大学(JHU)のシステム科学工学センター(CSSE)のCOVID-19 Dataである。図1で1月19日の死亡者が314名になっているが、NHKの情報では1月19日の死亡者は104人である。JHUのデータが間違っている可能性がある。1月19日の死亡者は104人とすれば、1月19日は死亡者数のピークではないので、死亡者は2月に向かって、なだらかに増大傾向にあると言える。

 米ハーバード大学公衆衛生大学院のM.リプシッチ(Lipsitch)教授(疫学)は,第7コロナウイルスに感染後死亡するまで平均3週間前後だと指摘している。図1に示すように、緊急事態宣言の効果は3週間後の1月29日にはまだ現れていない。図1では感染者数が減っているように見えるが、第7コロナウイルスによる死亡者の人数は、2月7日現在において、未だ増大の傾向にあることにこそ注意が必要である。

 平均3週間前後の時間遅れがあるならば、3週間程度時間軸を移動したら、感染者数の変化の傾向と死亡者数の変化の傾向が同じ曲線になるはずであるが、図1は異なる特性を示している。リプシッチ教授の指摘とは異なり、日本では4週間以上の時間遅れがあるとすれば、同じ曲線が現れるのは2月8日以降になってくるかもしれない。

 第1波の場合の時間遅れを図2に、第2波の場合の時間遅れを図3に示す。図2及び図3ではJHUではなくNHKのデータを採用している。
【図2】第1波では感染後死亡するまで3週間の時間遅れがあった

 図2も図1と同様に左側の縦軸が第1波の場合の死亡者の変化を示すスケールであり、右側の縦軸が第1波の場合に発表される感染者の変化を示すスケールである。図2では右側の縦軸の感染者の単位は百人である。

 第1波の場合は感染者の人数のピークが4月11日(土)であるのに対し、死亡者の人数のピークが5月1日(金)であり、第1波では丁度3週間の時間おくれである。5月1日(金)以降において死亡者の数が減少の傾向を見せている。

【図3】第2波でも感染後死亡するまで3週間の時間遅れになっている

 図3の第2波のデータも図1及び図2と同様に、左側の縦軸が第2波の場合の死亡者の変化を示すスケールであり、右側の縦軸が第2波の場合における発表される感染者の変化を示すスケールである。図3でも右側の縦軸の感染者の単位は百人である。

 第2波のときは、感染者の人数のピークが8月7日(金)であるのに対し、死亡者の人数のピークが8月28日(金)であり、第2波でも3週間の時間遅延である。8月28日(金)以降において死亡者の数が減少の傾向を見せている。但し、死亡者の数が減少の傾きは感染者の減少の傾きよりも緩やかであるようである。

 図1の第3波のデータは図2及び図3とは異なる時間遅れの傾向になっているように思われる。第1波及び第2波において死亡者数が最大になるピークはいずれも金曜日である。

 仮に、感染者数の増減のデータが信用できないことになると、新型コロナウイルス感染症対策分科会提言にあるステージⅢやステージⅣも正しい状況判断であるのか、怪しくなってくる。即ち、ステージⅢやステージⅣの指標となっている③PCR陽性率 ④新規報告数⑤直近一週間と先週一週間の比較⑥感染経路不明割合等のデータは、PCRの検査数を増やせば増やすことができ、PCRの検査数を減らせば減らすことができるデータであるから、ステージⅢやステージⅣの判断もできないことになる。

 このことは、図1の死亡者数のデータと報告されている感染者数のデータを比較すれば明らかである。図1のような感染者数の変化をみて「現在感染者数が減っている傾向にあります」というのは、正しい報道ではないので、メディアは十分に注意する必要がある。

§2 コロナ対策のガイドラインは死者の数を減らすこと:

 第7コロナウイルス対策で最も重要なことは、自殺者の増大の抑制を含めて、如何にしたら死者の数を減らすことができるかである。しかし、東京オリンピックを開催したいがために、死者の数を減らすことではなく、感染者数を減らす努力を国のトップが進めている。これは大問題である。

 「致死率」とは、病気に罹患した人に対する死亡した人数の比率である。第7コロナウィルスの場合、ウィルスに感染しても、症状が出ない人もおり、ウィルスに感染した人の調査も不十分である。よって、「致死率」は計算できないし、季節性インフルエンザによる致死率との比較もあてにならない。

 それに対して「単位人口死亡数」は、その国の人口を分母にした死亡者数である。通常は、10万人あるいは100万人等の単位人口当たりの死亡数で表す。単位人口当たりの死亡数は分母が動かないので、流行期間中でも、特定の国、地域で経過を追うのにも、また各国、地域での流行の状況を横断的に比較するにも、ウィルスの種類による比較にも有用な指標である。

 季節性インフルエンザと第7コロナウィルスによる病気の脅威度を考える場合は、「単位人口死亡数」で比較すべきであろう。そしてこのコラムの第72回で説明したように、今のところは、第7コロナウィルスによる病気は、季節性インフルエンザによる病気よりも脅威が低いと結論できる。

 ここで何より重要なことは、死なないようにすることであろう。

 このコラムの第67回で述べたとおり、第7コロナウイルスによる死亡者の人数は、欧米諸国に比して圧倒的に少ない。第7コロナウイルスによる死亡者は、日本の他1889年に旧東アジア風邪が蔓延した韓国、中国、台湾等のアジア諸国でも少ない。日本では「お染風邪」と呼ばれる旧東アジア風邪は、ルーヴェン大学、デンマーク工科大学やロスキレ大学の研究者らによりHCoV-OC43コロナウィルス(最初のコロナウイルス)とされている。

 山中伸弥先生は、第7コロナウイルスによる死亡者の人数が少なくなる「ファクターX」の解明が重要であると言われているが、日本の第7コロナウイルス対策は欧米の対策とは独自の方法を考えるべきである。

 感染しても発症しない人もおり、感染しても重症化しない人もいるので、発症する人、重症化する人との差異は何によるものであるかを探求すべきであろう。免疫力を高める発酵食品等の健康産業に力を入れることが重要であろう。感染しても重症化しない、或いは死なない方法を見いだせれば、感染してもよいのである。

 「単位人口死亡数」を比較することにより、第7コロナウイルスは季節性インフルエンザよりも脅威が少ないことが判明してきた。怪しげなデータを基準にして外出制限を課して感染予防を第1義にする現在のようなコロナ対策ではなく、感染しても重症化しない、或いは感染しても死なない方法を見いだすことを含めて、死亡者の数を減らす方法を考えることを第1義とすべきである。

 例えば、香港中文大学の黃秀娟教授らの腸内フローラのバランスの研究等が、今後ますます重要になるであろう。    https://news.yahoo.co.jp/articles/5db1a39f5bc868d5b2e6af574713e1657716662c

 第7コロナウイルスの正体が不明であった1年前とは状況が異なっているのである。季節性インフルエンザよりも脅威が少ないことが判明したのにも関わらず、第7コロナウイルスよりも死亡者が10倍以上あった季節性インフルエンザの流行時には実施しなかった経済活動の制限を課すことに、果たして意味があるのであろうか。

 経済活動の制限を課すことにより、季節性インフルエンザの流行時には発生しなかった生活困窮者が生まれ、自殺者が増大したら、「死者の数を減らす」というガイドラインに反することになる。

 第7コロナウイルスへの対策は、季節性インフルエンザの流行時の対策と同レベルで良いはずである。

 第7コロナウイルスの正体が不明であった段階では、感染症法の「2類感染症並み」に第7コロナウイルス感染者を指定したことはやむを得ないであろう。第7コロナウイルスの正体が判明してきた現在では「2類感染症並み」の指定を解除して、病床の無駄な逼迫を緩和させるべきである。

 ステージⅢやステージⅣの指標で最も重要とされる「①病床のひっ迫の状況」の指標も、「2類感染症並み」の指定の解除で変わる。

    弁理士鈴木壯兵衞(工学博士 IEEE Life member)でした。
    そうべえ国際特許事務所は、「独創とは必然の先見」という創作活動のご相談にも
    積極的にお手伝いします。
              http://www.soh-vehe.jp

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