超音波複合振動技術

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:組立加工技術

 金属接合技術の一つとして、最近注目されているものに、超音波複合振動技術(Ultrasonic complex vibration technology)があります。以前ご紹介した​超音波金属接合技術をさらに進化させたものです。

 超音波複合振動技術はハンダなどの介在物を必要とせず、融解させずに金属接合を可能にする技術です。 従来の技術で課題となっている「金属間化合物の生成」や「拡散組織の生成」が起きず、「機械的・電気的特性」を変化させないという特徴があります。 超音波複合振動接合では、直線運動にねじりを加えることで、円形・楕円形の振動を発生させます。

 超音波複合振動技術は、金属接合においては画期的な技術といえます。この技術は、上記のように、直線振動にねじり振動を加えることで円形または楕円形の振動を発生させ、接合を行います。その結果、従来の接合方法に比べて以下のようなメリットがあると言われています。
●低エネルギー消費: 必要なエネルギー量が少なく、環境に優しい。
●低ダメージ: 接合部周辺の熱影響が少なく、ワークの損傷を最小限に抑えることができる。
●高い接合強度: 振動軌跡に折り返しがないため、均一な強度を得ることが可能。
●飛散物の減少: 金属片やスパッタの発生が少なく、品質が向上。

 この技術は、現在、リチウムイオン電池やパワーデバイス、フレキシブルプリント基板など、さまざまな分野ですでに利用されています。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/ultrasoniccomplexvibrationtechnology

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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