無振動式パーツフィーダ

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:機械要素技術

 以前参加した第9回名古屋ものづくりワールド展示会(Manufacturing World 2024 Nagoya 、ポートメッセなごや)でパーツフィーダ(Parts Feeder)が展示されていました。内容的には特に真新しいものはなかったのですが、基本的な自動化の構成要素として、あらためてここで取り上げることにします。
 
 パーツフィーダというのは、本来は米国のシントロン社で開発された電磁振動式部品自動整列供給装置で、振動ボウルホッパ式フィーダの呼称でしたが、この技術がわが国にも導入され、パーツフィーダと呼称されて製作販売されたものです。わが国でも次第に大量生産化がすすみ、自動組立装置や自動加工装置の開発・活用期に入り、部品自動供給装置の採用が多くなりました。このパーツフィーダが長期にわたって多く使用されたこともあり、次第に広義の部品供給装置をパーツフィーダと呼ぶようになったようです。

 現在では、このパーツフィーダ(部品供給装置)も振動式・無振動式等多くの機種が開発されてきており、最近の展示会等では、無振動式パーツフィーダの方を比較的よく見かけます。そこで今回は、この無振動式パーツフィーダについてコメントすることにします。(写真は振動式パーツフィーダですが・・)

【無振動式パーツフィーダの特徴】
①音が静か
 パーツフィーダーは、主に振動する際に大きな音が発生します。そのため、非振動式パーツフィーダーは音が静かです。
②部品へのダメージが少ない
 部品同士が擦れ合うことがないため、振動式のものと比べると部品にダメージがかからず、傷も付きにくいのが魅力です。 また、振動式の場合は防音対策カバーがついているものがありますが、カバーは振動によって摩耗してしまいます。無振動式パーツフィーダーであればそういったことはありません。
③供給能力が高い
 ボリュームによって供給スピードを変更可能であり、一般的なものと比較して供給能力は高いです。
④多種部品への適用性良好
 選別部のアタッチメントを交換することにより、1台で何役もこなすものがあります。複数のパーツフィーダーを用意するする必要がないので、コスト面で優れています。
⑤消費電力量が少ない
 従来のパーツフィーダーと比較して消費電力量を抑えられます。環境にも優しいです。
⑥メンテナンス性が良い
 振動式のように部品やパーツが傷みにくいことから、メンテナンスの頻度を抑えられます。また、部品消耗に伴う交換も少なくて済みます。

 絡みや重なりがあるものへの対応性や、選別の容易性については、振動式パーツフィーダに軍配が上がることが多いですが、振動に向かない部品や、薄いものや軽いもの、重いものは振動機だと対応が難しいケースもありますので、無振動式パーツフィーダの活用も検討し、使い分けが必要かと思われます。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/partsfeeder

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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