ブローチ加工について

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:部品加工技術

 自動車部品の溝加工や、航空機部品の溝加工などで使われているブローチ加工(Broach Processing)についてコメントします。

 ブローチ加工とは、「ブローチ」とよばれる長い工具(総形工具)を使い、加工ワークの表面や内面を削る「除去加工」のひとつであり、断面形状の複雑な穴なども一度に仕上げてしまう加工方法です。

 ブローチには「荒刃」から「仕上げ刃」まで、複数の切れ刃が直線状にならんでおり、それぞれの切れ刃が、ワークを順番に削っていきます。ブローチを引き抜くように動かすことで、荒加工から仕上げまで、1回の引き抜きで一気に加工することができます。

 ブローチ加工は、さまざまなNC工作機械による工程を、1回の加工で済ますことができるため効率がよく、精度が高いのが特徴です。ブローチの工具は、加工の内容にあわせて専用設計されるため、少量生産には向いていません。

 ブローチ加工をおこなう方法として、「NCブローチ盤」や、さまざまなNC工作機械が使われます。ブローチ盤は、「ブローチ加工」で使われるNC工作機械です。複数の切れ刃をもった「ブローチ」の直進運動で、加工ワークの表面や内面を削ります。長いブローチ(800~2400mm)を直進運動させるため大型の機械が多く、切削にかかる力が大きいため、高い剛性が必要になります。

 NCブローチ盤には、省スペースで安定した「立形」や、ブローチのメンテナンスが簡単な「横形」など、さまざまな種類があります。また加工方法によって、ブローチを引き抜きながら加工する「引抜き形」と、押し込みながら削る「押抜き形」があります。

●NC内面ブローチ盤
 加工ワーク内面のブローチ加工で使われる、NCブローチ盤です。穴あけ加工された穴の内面を削り、溝や多角形の穴をつくります。

●NC表面ブローチ盤
 加工ワーク表面のブローチ加工で使われる、NCブローチ盤です。表面を削って溝をつくります。溝は、スプロケット・スプライン・歯車などのメカ機構として使われます。フライス加工にくらべ効率がよく、精度が高いのが特徴です。

 また、一般的なNC工作機械でも、ブローチ加工用の特殊ツールを使うことで、簡易的なブローチ加工ができます。
  (Ex. NC旋盤、マシニングセンタ、ターニングセンタ、NC専用機)

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/broachprocessing

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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