フィルムラミネーション加工について

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:部品加工技術

 近年、広く使用されている多層フィルム(多層複合フィルム)は、食品包材などに多く利用されているフィルムであり、PE、PET、ナイロン(PA)などを貼り合わせて(ラミネート)、ガスバリア性(酸素など気体の透過を抑える性質)を付与させることにより、内容物(食品など)の保存期間を延ばすことができるものです。

 これらの複合フィルムの製法のひとつとして、フィルムラミネーション加工(Film Laminate)がありますが、その代表的なラミネーション方法として、ウェットラミネーションとドライラミネーションがあります。

①ウェットラミネーション
 ウェットラミネーションは水溶性接着剤を基材に塗工し、塗工面が湿潤状態のまますぐに他の材料と貼り合わせ、その後オーブンによって水分を乾燥させるラミネーション方式です。したがって他方の貼り合わせ材料は多孔質の材料に限られ、主に紙、セロファン、布、不綿布、ガラスクロスの貼り合わせに使用されます。
 水溶性接着剤の基材への塗工は、ロールコーティング方式、リバースロールコーティング方式やドライラミネーションでも使用されるグラビアコーティング方式が採用されています。

②ドライラミネーション
 ドライラミネーションは、水溶性接着剤を使用するウェットラミネーションに対する呼び方であり、有機溶剤を使用するラミネーション方式です。基材表面に有機溶剤で溶解した接着剤を塗布した後、乾燥装置内で溶剤を蒸発させ、第2基材と熱圧着する方法です。(添付されている図はドライラミネート法の図です。)

 接着剤の基材への塗工は、ロール表面に凹部(セル)があるコーティングロールを使用するグラビアコーティング方式が採用されています。(グラビアコーティング方式の詳細については別途紹介)

 この多層フィルム(多層複合フィルム)を作るより一般的な方法として、共押出成形技術が知られていますが、その内容については別で紹介しています。(共押出成形)

(参考)
 参考までに、フィルムと呼ばれているものの厚さについての一般的な定義をシート、プレートと比較して下記します。
 ・フィルム;0.25mm(1/100インチ)以下
 ・シート;0.25mm(1/100インチ)~2.5mm(1/10インチ)
 ・プレート;2.5mm(1/10インチ)以上

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/filmlaminate

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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