共押出成形について

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:部品加工技術

 多層フィルム(多層複合フィルム)とは、食品包材などに多く利用されるフィルムであり、PE、PET、ナイロン(PA)などを貼り合わせて(ラミネート)、ガスバリア性(酸素など気体の透過を抑える性質)を付与させることにより、内容物(食品など)の保存期間を延ばすことができるものです。

 このような多層フィルムを作るのに使用されるのが、共押出成形技術(Co-extrusion)です。共押出成形技術は、異なる性質の樹脂を溶かして金型内で重ね合わせて1枚のフィルムに成形する技術です。樹脂の種類や構成比率を設計することで、ヒートシール性、柔軟性、耐熱性、耐寒性、耐ピンホール性やガスバリア性など、要求性能に応じて様々な機能を1枚のフィルムに付与することが可能となっています。

 多層フィルムを作る製法としては、この共押出成形以外にも、基材フィルムに接着剤を塗布し乾燥させたのち、第2基材と熱圧着して加工するフィルムラミネート加工等がありますが、その内容については別で説明します。

 もともと共押出成形(Co-extrusion)は 複数の樹脂を成形時に投入し、同時に成形を行うという技術であり、樹脂が2種類の場合は、2台の押出機に原料を投入し型を通して成形を行うもので、二色押出成形とも呼ばれています。

 この製法(共押出成形技術)は、2つ以上平行に並んだ隙間から樹脂が複数のフィルムとして押し出され、フィルム同士の貼り合わせ(ラミネート)も同時に行います。この多層フィルムの成形法で製膜されたフィルムは「共押出しフィルム」とも呼ばれています。

 共押出成形は、非常に薄い厚みで多層化が可能であり、残留溶剤の心配がありません。フィルム自体もフィット性に富み、高機能フィルムへのさらなる応用も広がります。

(参考)
 参考までに、フィルムと呼ばれているものの厚さについての一般的な定義をシート、プレートと比較して下記します。
 ・フィルム;0.25mm(1/100インチ)以下
 ・シート;0.25mm(1/100インチ)~2.5mm(1/10インチ)
 ・プレート;2.5mm(1/10インチ)以上

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/co-extrusion

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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