ゴムの混練り工程

熊田茂雄

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テーマ:材料技術

 ゴム部品は、非常に多くの機器に使用されており、かつ、重要な部品であることが多いものです。今回は、このゴム部品(工業用ゴム)の加工工程においてはじめに供給されるゴム素材となる前のゴムの混練り工程(rubber kneading process)について簡単にコメントします。

 ゴムは原材料であるポリマーを配合資材と混ぜ合わせ、練り込むことでゴムの性能をより引き出すことができます。 このゴム材料を混ぜ合わせて練り込む工程をゴムの混練り(こんねり;重箱読み)と呼びます。 混練りは、配合設計に従いポリマーと配合資材を均一に混合分散されたコンパウンドを得る工程であり、ロールやニーダーといった混練機を用いて練り込みます。

 ゴムの混練りは大きく分けて、①素練り、②混練り、③分出しの3工程があります。
①素練り工程
 素練り工程では、ポリマーのみを混練機で練り込みます。オープンロールでの素練りは、ブロック状のポリマーをロール間に通し、段々とロール間隔を狭めて薄く伸ばしていくことでロールに巻き付けます。ポリマーにせん断力を加えることで材料粘度を下げ、弾性が強い状態から可塑化させ配合資材を練り込みやすい状態にします。

②混練り工程
 混練り工程では素練りしたポリマーに各種配合資材を練り込んでいきます。一般的には、加硫剤以外の補強剤、可塑剤、加工助剤、オゾン劣化防止のための老化防止剤等を先に練り込み、最後に加硫剤を練り込んでいきます。加硫工程では、未加硫のゴムを熱と圧力で加硫させることにより、材料硬度、材料剛性・強度を向上させ、製品として使える状態にします。この混練り工程では、材料の分散を促すため、切り返しを行う必要もあります。

③分出し工程
 分出し工程は、練り込んだゴム材料を目的の大きさで排出する工程です。分出しは加圧ニーダーでは行えないため、オープンロールで行います。
 以上が、ゴムの混練り工程の概要となります。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/rubberkneadingprocess

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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