蒸着加工について

熊田茂雄

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テーマ:表面処理技術

 以前、当生産技術コンサルティング事業において、蒸着(vapor deposition)加工を行っている企業様がおられたため、この加工技術のご紹介も兼ねて、今回、取り上げさせていただきます。

 蒸着(じょうちゃく、英語:vapor deposition)加工とは、蒸着材料と呼ばれる金属や酸化物などの物体を蒸発→気化して、基材や基板の表面に付着させて薄膜を形成するという加工方法です。

 一般に、蒸着加工を施すことによって、強度を高めることができるほか、装飾性・光学特性(光を吸収、反射、透過などする特性)・機能性を、基材や基板表面に付加することが可能となります。

 蒸着加工は、大きく 物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)に分けられます。
①物理蒸着
 物理蒸着は、PVDとも呼ばれ、固体材料を熱やプラズマのエネルギーを用いて気化させ、基板に付着させることで薄膜を形成する方法です。

②化学蒸着
 化学蒸着は、CVDとも呼ばれ、薄膜となる原料を含むガスを熱や光、プラズマなどのエネルギーにより励起・分解させ、基板表面で化学反応を用いて物質を吸着させ、薄膜を形成させる方法です。

 蒸着は製品の表面に対して行われることから、多くの場合、製品の製造過程の中に蒸着処理を行う工程が組み込まれています。そのため、製品の製造を行っている工場などでは、この蒸着の技術が広く導入・活用されています。

 表面処理技術としてのメッキ工法における蒸着の位置づけとしては、メッキ(湿式メッキ)では液体を使うのに対して蒸着(乾式メッキ)では気体を使います。湿式メッキは電解メッキ・無電解メッキなどをいい、乾式メッキは真空蒸着・イオンプレーティング・スパッタリングなどをいいます。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/vapordeposition

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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