トムソン加工について

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:部品加工技術

 工場見学などでよく目にする加工として、トムソン加工(Thomson Processing)があります。トムソン加工とは、直線や曲線の金属刃を埋め込んだ木型(トムソン型)を印刷物にプレスして打ち抜く加工のことです。 打ち抜き加工、ビク抜き加工ともいいます。

 業界では「トムソン」という言葉が使われていますが、その由来はアメリカのジョン・S・トムソン氏が設立したトムソン・マシン社が1909年に発売したトムソン型機械にあるようです。その機械でおこなう型抜き加工を「トムソン抜き(加工)」と呼び、そして使用する型を「トムソン型」と呼びました。

 トムソン加工で使用するトムソン型は、金型に比べてコストが低く、製作日数も短いため、軟質素材を対象にした打ち抜き加工の分野では、試作~量産まで幅広く使用されています。 特に弱電業界等の多品種小ロットに向いており、最近では精度レベルの向上も手伝い、木型によるトムソン加工が見直されています。

 トムソン加工の代表的な工程として印刷したパッケージ(紙箱・化粧箱・紙器)用の厚紙を展開図の形に抜くパッケージ作成の要となる加工があります。打抜きには箱の形状に適した「木型」をトムソン機にセットして型抜きしていきます。
この場合のトムソン加工では、箱を立体的な形状に組み立てる際に綺麗に折り曲がるように、 対象の位置に罫線を入れるスジ入れ加工も行います。 罫線は基本的にどこにでも入れることが出来ますが、作る形状によっては入れることが出来ない位置やパターンがあります。 また、ミシン目を入れる加工もトムソン機で行うことができます。

この加工手順を簡単に列挙すると・・
① CADで木型の設計
 箱に入れる内容物をもとにCADで図面を作成します。

② 木型作成
 CADで設計した図面をもとに木型を作成します。

③ 微調整
 トムソン機(打ち抜き機)にセットした後、さらに微調整を行います。

④ トムソン抜き加工
 トムソン加工機で抜き加工を行っていきます。

⑤ 落丁・落丁後検品
 落丁では、トムソンで打ち抜いた用紙を製品部分と不要部分に分離させます。 その後、製品の検品作業に進みます。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/thomsonprocessing


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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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