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歯車について

熊田茂雄

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テーマ:機械要素技術

 歯車(はぐるま、英: gear)とは、伝動車の周囲に歯形を設置して、歯が次々に連続して噛合うことによって、動力を伝達する機械要素です 。減速や増速、回転軸の向きや回転方向を変えたり、動力の分割などに用いられるものです。
生産技術に関連する業務の様々な場面において、この歯車に関する調査や課題検討を行うことがあるため、今回取り上げました。

 歯車にはさまざまな形状がありますが、それらは主に力の向き(軸方向)と伝わる力を変えるために存在します。
緻密で複雑な動きをする精密機器も、強い力が働く内燃機関も、これらの歯車を組み合わせることで、さまざまな動きを実現しています。

 歯の形は曲線形状(歯形)の違いによって、大きく分けて「インボリュート歯形」と「サイクロイド歯形」の2種類です。
動力伝達用には主にインボリュート歯形が用いられています。サイクロイド歯形は時計や精密機械などの低負荷の製品に使用されています。
●インボリュート歯形について
 インボリュート歯形の曲線は、円に巻きつけた糸を引っぱりながら解きもどすとき,その糸上の定点の描く曲線をさします。
その特徴としては
 ・形状がシンプルで加工が簡単、低価格
 ・歯車の中心距離の誤差が回転精度や噛み合いに影響しない
 ・歯の噛合いがスムーズ
 ・摩耗の少ない滑らかな動作
 ・歯への負担が少なく頑丈               などです。

●サイクロイド歯形について
 サイクロイド歯形の曲線は、1つの円が定直線に接しながら,滑ることなく回転するとき,その円周上の定点 が描く曲線をさします。
その特徴としては
 ・歯元の面積が大きいので強度が高い
 ・噛み合う歯どうしが干渉が発生しない
 ・歯元面が広く、歯形に滑りがない
 ・完全な転がりなので回転抵抗が低い          などとなっています。

 一方、歯車に関係する特徴的な用語として、バックラッシ(バックラッシュ;Backlash)があります。
「バックラッシ(バックラッシュ)」とは、歯車がお互いに噛み合っているときに、意図的に運動方向に作られた隙間(あそび)のことです。バックラッシは大きすぎると騒音や振動の原因になり、小さすぎると伝達効率の低下、摩擦の増大による歯車の寿命低下の原因になるため、適切に設定する必要があります。
歯車のトラブルは歯面の劣化が最も多く、その原因は摩耗・腐食・永久変形などに分かれます。その他、プラスチック系の歯車の場合は、材質を原因とするトラブルもあります。

 以上のように歯車は、これまで産業の歴史の発展に大きく貢献し、機械部品として重要なものであることがわかります。それぞれの形状の意味と働きを知ることはものづくりを行う上で欠かせないものとなっています。

 歯車に関する様々な機械、製品・部品、加工工程における課題解決の方向性指針等が、生産技術コンサルティング対象となります。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/withgear


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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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