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熱処理について

熊田茂雄

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テーマ:部品加工技術

 熱処理(Heat Treatment)とは、日本金属熱処理工業会で「赤めて冷ますこと」と記載されており、金属材料に加熱と冷却を加えて形を変えることなく性質を向上させる加工技術と説明されています。また変化させる性質については、強さ、硬さ、粘り、耐衝撃性、耐摩耗性、耐腐食性、耐食性、被削性、冷間加工性などを指し、切断や塑性加工のような金属加工の一種に分類されます。鉄鋼材料についてはマルテンサイト変態することによって硬く、強くなり、炭素量が多いほど硬く、強くなります。そのため、強度部材には中高炭素鋼が用いられます。鉄鋼材料はまた熱処理と合金化により要求性能を満たすことになります。

次に主な熱処理作業について列挙します。
(熱処理作業)
 ●焼きならし
 焼きならしの目的は、前工程の加工ひずみをなくすこと、結晶粒を微細化、均一化することです。材料を標準化する熱処理です。
 ●焼きなまし
 焼きなましは材料を軟らかくすることで加工しやすい硬さレベル落とすための熱処理で主なものとして次の4種類に大別できます。
完全焼きなまし、球状化焼きなまし、応力除去焼きなまし、等温焼きなましがあります。
 ●焼き入れ
 焼き入れは、鉄鋼材料に硬さや強さをもたらす一番の熱処理です。焼き入れによる硬さは鉄鋼材料に含まれる炭素量で決まります。いかに早く冷却するかで品質が決まります。
 ●焼き戻し
 焼き戻しは単独で行うことはなく、焼き入れ後に硬さは得られたものの脆くなってしまったときに、粘り強さといった性質を取り戻すために行う処理です。(影の立役者てき存在)設定条件を守り切ることで確かな品質が得られます。
 ●サブゼロ処理
 サブゼロ処理は0℃以下まで冷やす処理で深冷処理とも言います。残留オーステナイト組織を少なくするための処理であり、残留オーステナイト組織が多く残ると、寸法変化、ひずみなどの不具合の原因になります。
 ●等温処理
 等温処理は熱処理の途中において、ある温度で保持してマルテンサイト変態を全体で同時に起こさせ強さと粘り強さをアップさせることです。また、ひずみや変形を抑える有用な熱処理でもあります。

(品質管理方法)
 熱処理の品質管理方法としては、外観品質、材料成分分析、硬さ・表面硬さ(ロックウェル、ショアー、ブリネル)、硬さ分布、火花試験、金属組織、引張試験、疲労試験、衝撃試験、耐食性試験、耐候性試験等があげられます。

(不具合内容)
 熱処理の不具合内容としては、ひずみ、曲がり、割れ、焼むら、焼き戻し脆性、水素脆性割れ などがあります。
以上、簡単に主な熱処理作業方法等について列挙しましたが、実際には、製品(被熱処理品)の種類や数量、使用目的等により、使い分けが必要になります。
 今後は、製造会社(熱処理会社)様のニーズに合わせ、別途個別内容(周辺技術、装置対応、品質対応等含め)についてコメントしていきたいと考えます。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/heattreatment


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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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