ライン廃却について
今回は、以前、店じまい活動で述べた内容を具体的に実行する場合の進め方について、特に対象金型の廃却(その他の処置方法)をどう判断していくかについてコメントします。
量産終了後の金型については、その保管方法、処置方法等、金型を扱う製造業(成形、プレス、ダイカスト、鍛造等)において、各社頭を悩ませているのが実状だと思われます。
以下に、金型廃却を進めていく手順について簡単にコメントします。基本的はライン廃却のブログで述べた内容に類似となりますが、金型の場合は、少し別の方法論が追加されることになります。(③のA´の方法)
①生産終了の確認
金型廃却を進めていく上で、廃却の対象製品の生産が完全に終了していること(補用品、補給品は別)が大前提となります。したがって、営業部門等から対外的に、量産品の終了確認を行ってもらう必要があります。
②生産数量予測を行う
今後予想される補用品、補給品の数量を専門部署(生産管理部署等)に予測してもらう。数量予測は、納入先での予測が一番安心できるため、ベストは営業等からの問い合わせとなりますが、一般的には回答が戻ってくることは稀です。(よほどの年数が経過し、打ち切りが明確なものは別)回答がない場合は、供給側として責任を持った形での数量予測となります。(会社としての経験則、考え方を明確にして予測パターンを決めておくことが必要)
③方向性を比較評価する。
②の生産数量予測が決定されれば、
A;金型を廃却する場合のコスト(予測数を作るコスト、製品を保管するコスト、出荷時の再検査コスト、金型廃却費用等)
A´;金型を廃却 & 別の方法で再生産するコスト(予測数を別の方法で作るコスト、出荷時の再検査コスト、金型廃却費用等)
( ※ 別の方法で再生産;3Dプリンターによる再生産等、(A´には、いつでも作れるというメリットから、様々なオプションが考えられます。))
B;作り続けた場合のコスト(金型保管必要面積、生産/出荷コスト、メンテナンスコスト、金型簿価等)
A、A´、B の(QCDの観点での)比較から、金型を廃却すべきかどうかを検証し、方向付けすることになります。
A、A´が優位の場合は、金型廃却に移行可能となり、Bが優位の場合は、もうしばらく時期を待つという判断に移行する等の形となります。
この金型廃却の課題は、金型を扱う製造業であれば、どんな業種においても存在する内容であると思います。対象となる、老朽化した金型をどのように扱っていくのか、ごく少量品流動への対応をどうするのか(金型廃却するのか、他の方法に移行するのか・・・)、これらの判断基準はどうするのか? 等 の方向性に対し、具体的に指導・支援していくことが、コンサルティング対象となります。
(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/diescrapping