洗浄工程について(2)
洗浄については、洗浄工程(1)、洗浄工程(2)、エアーブロー洗浄という形でコメントしてきましたが、今回は洗浄方法の一つとして広く使われている超音波洗浄についてトピックをまじえて説明します。
ここで超音波洗浄の原理について簡単に説明します。(一部、ネット情報を引用)
まず、液体中に超音波の振動が伝わると、振動させている超音波の周波数の波が発生します。液体中に発生した超音波の波は、圧縮と膨張を繰り返しながら進みます。この圧縮と膨張の現象が、液中に含まれる気体成分(酸素や窒素、二酸化炭素など)に影響を与えます。圧縮環境下では気体成分が凝縮され、膨張環境下では凝縮されていた気体成分が一瞬で外側へ向かって放出されます。実際には、肉眼で観測しにくいほどの微細な気泡の発生と消滅が起こります。この現象が洗浄物の汚れ付近で断続的に発生すると、一瞬の現象ではあるが次の様々なことが起こります。
①汚れ付近の液体が発生した気泡により押される。
②発生した気体が消滅する際に、気泡が存在していた空間へ入り込もうとする液体の流れが発生する。
これらはキャビテーション現象と言われていますが、これらの現象により、洗浄物の汚れを剥離、分散させます。
超音波の周波数は一般的に28KHzで実施されており、それによる洗浄力は、強力であり、時として製品にダメージを与えることがあり、このダメージに対する配慮も含めて洗浄条件を決定する必要性がありました。
トピックとして、以前参加した第7回名古屋ものづくりワールド展示会でこの点に配慮した洗浄機の展示がありました。
超音波洗浄でかねてから懸念されていた超音波洗浄による製品へのダメージに対し配慮した洗浄方法として2周波(28KHzと75KHz)を同時発振させるものが展示されていました。この2周波の成分比率はそれぞれ 0-100%の設定が可能となっており、対象品にあったダメージの少ない均一な洗浄の条件設定が可能となるものでありました。(28KHz;洗浄力は強いがダーメージの可能性高い周波数成分、75KHz;洗浄力は弱いがダメージの可能性低い周波数成分)一方、ダメージの確認方法については、一工夫必要ですが、展示ではアルミ箔を使用した検証の仕方が紹介されていました。
生産現場の多くで使用されているこの超音波洗浄に対し、上記を含めた洗浄のあり方、その適用の方向性、条件設定の進め方等に関する指導・支援が生産技術コンサルティング対象となります。
(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/ultrasoniccleaning