工程系統図について
新製品対応、フロントローディング活動のところで述べたように、生産技術の重要な仕事として、製品図面検討があります。
モノ作りの基本となるのは、やはり製品設計であり、製品設計の良しあしが、モノ作りの出来不出来を大きく左右することになります。
生産技術が製造のプロとして製品開発、製品設計へ作りやすさに対する様々な助言を行うことが重要な仕事となります。
生産技術による製品図面検討のポイントについて以下に列挙します。
①検討タイミング
製品設計(あるいは製品開発)段階で、フロントローディング活動によって実行すべきであり、具体的には、設計図面DR、DFMEA、DRBFMの機会を利用して実施すべきである。
②検討の内容
・準備物;設計が準備する資料(図面、DRBFM等)とは別に、生産技術としては、最低でも工程系統図は作成し、検討資料としての準備が必要である。できれば、その図上に従来とは異なる工程、重要な工程のポイント等を書き込んでおくことが望ましい。(指摘、検討課題抽出忘れ防止のため)
・作りやすさの追求;製品図面検討の基本として、加工基準、加工精度、加工姿勢(一方向組付け)、自動化のし易さについて事前検討しておく。
・製品機能、要求仕様の理解;この時点でPFMEAの検討を行っておくべく、PFMEAの影響度合いも含めた理解を深めておくためには、要求品質の理解が重要となる。
・工法検討上の選択肢が多い場合の最適案検討;新技術、新工法等、その時点で自由度のある工程の検討に対しては、コスト、品質、納期、技術、安全、環境等を考慮した生産技術としての最適工法案の検証を行っておく。
・品質面;安定した工程能力となるかの検討、標準品の活用による異品、異材の防止、その他欠品、逆組み等、誤組付けの生じない構造を検討する。
・コスト面;構成部品の削減、標準品の活用、自動化し易さ、投資の容易性の検討をしておく。
・納期面;投資の容易性等、納期が課題となる場合の検討も行っておく。
③標準化推進
生産技術としての上記の検討内容をまとめた図面チェックシート(製品設計部署があらかじめ確認できるチェックシートを標準化)を使い、実際のDR時に、その(設計者による)チェック結果を確認する形にすれば、抜けのない確認が可能となる。
以上、生産技術部署が製品図面を検討する上での、注意ポイントについて述べたが、実際の仕事では標準化に至るまでには多くの道のりがあるため、その進め方について、支援・指導を行うことが生産技術コンサルティングの対象となります。
(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/pdrawingreview