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トレーサビリティ対応

熊田茂雄

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テーマ:品質改善

 トレーサビリティ(Traceability)とは、現在、さまざまな業界で使われる言葉で、その製品の原料や素材、構成から現在の状態になるまでの加工内容や流通経路が追跡できること、または追跡するための仕組みのことを言います。

 「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにすべく、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすることです。近年では製品の品質向上に加え、安全意識の高まりから重要度が増しており、自動車や電子部品をはじめ、食品や医薬品など幅広い分野に浸透しています。

 トレーサビリティ対応の良し悪しが、時には企業の存亡を左右する内容に関係することもあり得ます。(市場クレーム対応の損失金額に大きく影響など)

 われわれ製造業におけるトレーサビリティ対応では、多くの部門が関連することになりますが、当事業のコンサルティング対象である生産技術、工場管理者が関与する部分はやはり、製品、部品の加工内容を詳細にトレースできるようにすることです。

 優れたトレーサビリティを構築するには、その必要が生じた時、最小限の範囲に絞り込むために、いかに早く、正確にトレース出来るかという仕組み作りが重要になります。

 実際のトレーサビリティが威力を発揮する時の前後の状況について日常発生する問題を例にして考えると・・・
①問題発生、事実確認;社内、納入先、市場での問題の特定と事実関係の確認
②原因調査、素性の確認;問題となる製品の不具合要因の調査と原因部品、工程等、5M1Eの内容(素性)を確認、推定
③トレーサビリティによる波及状況の推定、絞込み;②で特定できた素性となるものをトレーサビリティの仕組みを利用して検索し、絞り込む
④対策実施;状況により、様々な対策を実施する。ライン停止、ロットアウト、ときには、ヤード点検、クレーム処理・・等々 があります。

つまり、トレーサビリティ対応の発揮場面は、日常茶飯事に起こることであって、常にその必要性に迫られている内容でもあるわけです。

 従来は、ロットトレーサビリティといわれているように対象製品のロットの特定までを行うのが主流でした。しかし、昨今のIoT化がその流れを一新する時期に来ているようです。 
 以前、IoTの品質管理活用のコラムでも述べましたが、このトレーサビリティ対応分野においても、IoT化により、飛躍的な進化が予想されます。

 社内、納入先、市場等での製品・部品のトラブル発生時、その素性を明らかにし、そのトラブルの波及内容を予測し、対処することが重要ですが、IoT化により瞬時に素性データ(各工程での品質管理データ等)のトレース対応が可能となります。仮に製品・部品の特徴量やシリアルナンバー等によるトレースが可能な条件を満たせば1個単位での品質保証も可能となり、品質・コスト両面から飛躍的に効果を発揮することになります。

 以上のように、生産技術に関連する主に加工品の品質管理面でのトレーサビリティ対応活用内容をまとめてみましたが、(IoT化を含めた)トレーサビリティ対応導入により、加工品の品質管理の精度、信頼性、対応スピードを飛躍的に向上させ、さらには品質コスト低減へのポテンシャルも秘めていることがわかります。

 このようなトレーサビリティ対応の品質管理面への適応に関連する指導、支援が コンサルティング対象となります。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/traceability

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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