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コラム

IoTの品質管理活用

2024年6月23日

テーマ:IoT

コラムカテゴリ:ビジネス

インダストリーIoTにおいて、IoTの品質管理活用、特に加工品(製品、部品)の品質管理への適用という形で整理します。

本来インダストリーIoTについては、様々な分野で活用可能な技術であり、いずれはスマート工場や最適化、自律化を目指すものですが、今回は、設備保全活用が主流となっている現状ではあまり注目されていないと思われる加工品(製品、部品)に対する「IoTの品質管理活用」について、今後、その対象として想定される内容についてまとめてみることとしました。

【IoTの品質管理活用内容】
①加工条件管理
 工程設計をする上で、加工品(製品、部品)の品質保証をするために、加工条件を管理することは重要です。例えば、圧入工程では加圧力、加圧スピード、加圧保持時間、加圧ストローク、場合によっては加圧力カーブ等があげられますが、これらの条件項目は、従来、抜き取り管理が主であり、仮に全数管理されていても、加工品との1対1のデータ管理はされていないのが通常です。これに対し、例えば電気プレスを使用したIoT化を実施し、1対1のデータ収集、記録が可能とすれば、条件管理面での品質保証は格段に向上することになります。

②出来映え管理
 ①と同様、工程設計をする上では、加工品(製品、部品)の品質保証をするために、出来映え管理することもまた重要ですが、上記のようなIoT化が実施されれば、例えば、圧入工程では、圧入寸法(下降端位置等で記録)、圧入強度(圧入力;加圧力カーブの代表点を記録)等の方法で、1対1の出来映えデータ収集、記録が可能となり、出来映え管理面での品質保証についても格段に向上します。

③管理図支援
 加工品品質の安定化を行うためのツールとして、管理図を用いた品質管理が生産現場にて行われていますが、上記のようにIoT化による出来映え品質のデータ収集・記録が可能になれば、工程の安定化保証や、加工条件(例えば、加圧力カーブ等の蓄積等)データと合わせた検証により精度の高い傾向管理が可能となります。 

④治工具、刃具等の寿命予測
 ③のIoT化による精度の高い管理図支援により、加工工程で使用される治工具、刃具等の消耗品の寿命予測精度も格段に向上し、品質面のみでなく、従来安全を見すぎていた交換インターバル設定のものに対しては、個別の寿命確認が可能となり、(治工具、刃具の)コストダウンにもつながることとなります。

⑤トレーサビリティ対応
 IoT化により、品質管理面(品質保証面)で大きなメリットが予想されるのは、トレーサビリティ対応であると考えられます。社内、納入先、市場等での製品・部品のトラブル発生時、その素性を明らかにし、そのトラブルの波及内容を予測し、対処することが重要ですが、IoT化により瞬時に素性データ(上記のような各工程での品質管理データ等)のトレース対応が可能となります。仮に製品・部品の特徴量やシリアルナンバー等によるトレースが可能な条件を満たせば1個単位での品質保証も可能となり、品質・コスト両面から飛躍的に効果を発揮することになります。

以上のように、生産技術に関連する主に加工品の品質管理面でのIoT活用内容をまとめてみましたが、IoT導入により、加工品の品質管理の精度、信頼性、対応スピードを飛躍的に向上させ、さらには品質コスト低減へのポテンシャルも秘めていることがわかります。

このようなIoTの品質管理面への適応に関連する指導、支援が コンサルティング対象となります。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/iotquality

この記事を書いたプロ

熊田茂雄

ものづくり現場の経験豊富な生産技術コンサルタント

熊田茂雄(PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント)

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