ESD対策について
スキル管理について、製造業における作業員に対するスキル管理を主体としてコメントします。
スキル管理とは一般的に作業員が持っているスキルを可視化して、社内で共有の情報として確認できる状態にすることを指します。
スキル管理が定着化した状態になれば、各部署に人材配置を検討する際や、業務のアサインメント(一人一人の仕事の割り振りのことを指し、管理職やマネージャーが部下に対して作業や業務を割り当てること)に、また、人事評価を行う目的として活用する等、色々な方面への用途が広がります。
一方、スキル管理による習熟度向上を推進する際には、目で見る管理のレベルアップ、スキルバラツキの是正、多能工化促進等の改善が可能となり、さらには、人による作業が中心の製造工程においては、製造品の品質向上や、ラインの生産性の向上を左右する内容ともなります。
ここでは、特に製造工程作業員の習熟度向上推進による様々な利点を目的としたスキル管理の実施上のポイントについて言及します。
①スキル項目設定について
会社の中での様々な業務に対し、スキル項目に抜けが出ない様に設定することが必要であるが、一方、細かすぎても、スキルアップ教育が煩雑になる可能性があるため、下記のように区分して検討する。
(一般的なスキル項目)
・国家資格等、作業名が法的に決められた項目
アーク溶接、玉掛け、クレーン、リフト運転、高所作業等あるが、これらはスキル項目として十分独立した項目として成立する。
・特定の設備、工作機械等を扱う作業名
旋盤加工、ボール盤加工、フライス盤加工(上記の法的資格に分類されるものもある)
・一般的な加工工程名として認知されている項目
はんだ付け、鉸め、圧入等も必要に応じ設定可能であるが、対象部品・製品によって、難易度が異なることが予想されるため、スキル項目としては、**はんだ付け、**鉸め等、**(固有の部品・製品名等)を付した内容とすることが望ましい。
・上記以外で会社として標準作業の内容として既定された工程・作業名の場合は独立した作業としてとらえスキル管理対象項目として設定する。
②スキルの評価基準について
一般的には5段階評価が使われており、細かすぎず、粗すぎずという観点から、この程度が妥当であると考える。
また評価方法として、下図のようにイメージ記号であらわすことが一般的になっている(一目で判断できるという意味で見える化されている)が、数値の推移や平均的能力把握ができるという意味で数値評価することも捨てがたく、推奨したい。
③スキル項目の教育方法(ポイントのみ)
・座学について
対象加工内容の概要及び関連知識(加工理論、使用する設備・道具・用具)、スキル内容のポイント、カンコツ内容、さらに安全面、保全面も考慮して教育内容に織り込むことが望ましい。
・実技について
座学のみではスキルの伝承が難しいスキル項目については、実技を一定時間実施する。内容としてはカンコツに類する内容、品質チェックポイント、作業上の注意点等を実践を通して教育する。
以上のような、スキル管理の在り方、項目設定、評価基準、教育方法等の考え方、進め方に対する 支援、指導が生産技術コンサルティング対象となります。
(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/skillsmanagement