認証の意思決定(PartⅢ)
先週から今週にかけて夏休みの方もいらっしゃると思いますが、コラムにお休みはありません、
今回は文書化をテーマにします。
ISO9001:1994では、マニュアル作成や手順書(規定、要領を含む)作成が多く求められていました。国内では1990年代後半から2000年代前半に建設会社を中心に認証する企業が増えました。特に、公共工事の入札要件、経営事項審査で加点などの方針が示され、特に地場の中小ゼネコンが認証することが増えました。
このISOという制度、国内では最初残りは大手企業が認証し、中企業、小企業と徐々に規模が小さい企業が取り組んでいきました。特に中小企業が取り組む際に参考にしたのがすでに認証している大手企業の取り組み。当然といえば、当然ですが、分厚いマニュアルや規定や手順書ばかりです。中小企業は何らかの方法で大手企業のこれらの文書を入手し、赤ペンなめなめで自社の文書に作り替えます。この方法だと主語が変わる程度で内容は大手企業とほぼ同じ。
この頃、審査員やコンサルタントも成熟しておらず、右に倣えとばかりに「マニュアルが必要」「規定だけでなく、要領や手順書が必要」、かくいう私も疑いもせず、そのように信じていました。
ISO9001についていえば、その後、2000年、2008年、2015年と改訂され、文書化要求はどんどん少なくなり、現在は「自分たちで必要と思うものを作成する」が基本となっています。現在、品質、環境、情報セキュリティというマネジメントシステム規格という括りに入るものは規格の構成が共通化され、エビデンス(規格でいう“この規格が要求する文書化した情報”)は規格固有の要求がありますが、文書化に関する要求もほぼ同じ。
でも、未だにISO9001:1994を引きずっている審査員やコンサルタントがいます。特に、その時代から審査員をやっている人に多いように感じるのは私だけ?
私が認証をお手伝いした企業でこのような事例がありました。
この企業はソフトウェア開発を主な事業とし、ISO27001:2013を認証しました。
コンサルタントの支援を受けましたが、分厚いマニュアル、多くの規定や書式がありました。
一旦、認証をやめ、2~3年のブランクの後、ISO27001:2022認証に取り組まれました。
この際、私がお手伝いをさせていただき、過去の資産で使えるものは使おうと思いましたが、やめました。なんせ、マニュアルと規定だけで厚さ5センチのバインダーにいっぱい綴られ、書式も同様。
読む気が失せました。その企業の担当者に「これらの文書を読んだことがありますか?」と聞いたら、首を横に振っていました。
こんなに大量で分厚い文書を読むだけでなく、メンテナンスも困難。
これはムリ、ということで過去の資産はすべて無視して、一からやり直しました。
こういう事例がISO=文書化、ISOとは多くのマニュアルや規定、書式を作らなければならないタイヘンなもの、というイメージを植え付けるんでしょうね。
このコンサルタントに言いたいです。
「お前、ええ加減にせいよ!」
ということで、続きは次回。


