「みんなで大家さん」販売会社側は「虚偽説明」との報道を否定 東京都公表との違いはどこにあるのか

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

7%といった高い配当をTVCM等でうたい、多数の個人投資家から出資を集めた不動産投資商品「みんなで大家さん」。
これまで、配当停止、出資金返還の遅れ、集団訴訟、税金滞納による差押え、成田市による開発計画見直し要請など、さまざまな問題が公表資料や報道を通じて伝えられてきました。

そうした中、2026年9月1日、東京都は販売会社である「みんなで大家さん販売株式会社」に対し、不動産特定共同事業に係る許可の取消し及び指示を行ったと公表しました。
また同日、大阪府も運営主体である都市綜研インベストファンド株式会社に対し、許可の取消し及び指示処分を公表しています。

「被処分者 みんなで大家さん販売株式会社」 「処分内容 不動産特定共同事業に係る許可の取消し及び指示」 (引用:東京都 2026年9月1日「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」より)

過去記事では主に、大阪府による処分や、償還遅延、差押え資産の状況を見てきました。 (過去記事は本記事下部のリンクより閲覧可能です)
その後、2026年9月3日には、販売会社側が「一部報道記事の記載に関する当社の見解及び今後の対応について」を公表しました。
東京都の公表資料とあわせて見ると、販売時の説明をめぐって、行政側と販売会社側でどこに認識の違いがあるのかという点が見えてきます。

販売会社側は、どの報道表現に反応したのか

販売会社側は、9月3日の公表文で、次のように記しています。

「一部報道記事等において、当社が『投資家への虚偽説明』を行った旨、また、行政処分により当社が『事業終了に追い込まれた』旨の記載がなされております。」 (引用:2026年9月3日「一部報道記事の記載に関する当社の見解及び今後の対応について」より)

つまり販売会社側は、「虚偽説明」と「事業終了」という二つの表現について、自社の見解を示した形です。

販売会社側が否定したのは、「故意にだます意味での虚偽説明」

販売会社側は、次のように述べています。

「当社が、事実と異なることを認識しながら、事業参加者を欺く目的で、これを真実であるかのように意図的に説明した事実はありません。」 「『虚偽』という言葉を、一般に理解されるような『真実ではないことを認識しながら、これを真実であるかのように故意に説明した』との意味で用いるのであれば、当社が『投資家に対して虚偽の説明を行った』との記載は、当社の認識する事実に反するものです。」 (引用:2026年9月3日「一部報道記事の記載に関する当社の見解及び今後の対応について」より)

ここで販売会社側が否定しているのは、「故意にだます目的で説明した」という意味での虚偽説明です。
販売会社側は、確認や調査の問題と、意図的な欺罔とは同一ではないという趣旨の説明をしています。

東京都が公表したのは、「未調査のまま『該当なし』と記載した」という認定

これに対し、東京都の公表資料は、販売会社について次のように記載しています。

「被処分者は、被処分者が販売代理を行った不動産特定共同事業商品に係る対象不動産の賃料が、一定の期間テナントから支払われていなかったにもかかわらず、商品の営業者であるX社に対して、商品に係る対象不動産の賃料の支払い状況等を調査することを行わず、事業参加者に対する対象商品の販売に当たって、調査を行っていないことを認識しながら対象不動産に係る賃料の支払状況の欄に『該当なし』と記載をした契約成立前交付書面を交付・説明し、事業参加者を誤認させた。」 (引用:東京都 2026年9月1日「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」より)

※引用文中の「X社」は東京都公表資料上の匿名表記です。大阪府公表資料などで運営主体として示されている都市綜研インベストファンド株式会社を指すものとみられます。

ここで東京都が問題にしているのは、単なる表現上の争いではありません。
賃料支払状況を調査しないまま、契約成立前交付書面の「対象不動産に係る賃料の支払状況」欄に「該当なし」と記載して説明したという点です。
さらに東京都は、この販売継続について、具体的な件数・金額まで公表しています。

「対象不動産に係る賃料の支払状況について、合理的な理由なく調査・確認を尽くさず、対象不動産に係る賃料の支払状況の調査を行っていないことを認識しながら、契約成立前交付書面に誤認を与える記載を行い、これを交付し説明し販売を継続し、事業参加者199名との間でX社を代理して契約し、出資額計431,000,000円を支払わせた。」 (引用:東京都 2026年9月1日「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」より)


つまり、販売会社側が否定しているのは「故意の虚偽説明」です。
一方で東京都が公表しているのは、未調査と認識しながら「該当なし」と記載し、事業参加者を誤認させたという認定です。
両者の違いは、「説明に問題があったかどうか」そのものよりも、その問題をどう評価するかにあるように見えます。

「事業終了ではない」という説明は、どこまで言えるのか

販売会社側は、「事業終了」との報道表現についても、次のように記しています。

「少なくとも、既存の不動産特定共同事業契約に係る業務及び事業参加者への対応まで直ちに終了するとの意味であれば、不動産特定共同事業法第65条の定めとは異なります。」 「したがって、今回の許可取消しをもって、既存の事業契約に基づく業務や事業参加者の皆様への対応が直ちに終了するものではございません。」 (引用:2026年9月3日「一部報道記事の記載に関する当社の見解及び今後の対応について」より)

この点については、大阪府公表資料にも、許可が取り消された場合であっても、
締結した不動産特定共同事業契約に基づく業務が結了していないときは、その業務を結了する目的の範囲内で不動産特定共同事業者とみなされる旨が記載されています。

したがって、「直ちにすべてが終了する」と断定する表現には、販売会社側が異議を唱える余地があるといえます。
ただし、それは新規募集や新規契約まで含めて従来通りの事業が続く、という意味ではありません。
既存契約に関する業務と、新規の募集・契約は分けて読む必要があります。

問われているのは、「故意だったか」だけではない

今回の販売会社側見解を読むうえで大切なのは、「故意にだましたのか、そうではないのか」という一点だけに注目しすぎないことかもしれません。
東京都公表資料が示しているのは、未調査のまま重要事項欄に「該当なし」と記載し、説明を続けたという認定です。
その意味では、今回問われているのは、故意性の有無だけではありません。
販売時の説明が、どこまでの確認を前提に行われていたのか
そして、投資家の判断に関わる情報が、どのように扱われていたのかです。

「みんなで大家さん」を巡る問題は、返還の遅れ、資産の差押え、事業継続性だけでなく、販売段階での説明の適切性という論点でも、引き続き見ていく必要がありそうです。

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安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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