プライベートクレジットに投資する前に知っておくべきこと(2)その会社の格付を信用して大丈夫?
「不動産ファンド『みんなで大家さん』を運営する共生バンクのグループ会社が、現職の成田市議が関係する事業に対し、総額で約10億円に上る資金を提供していたことが判明した」
引用:日経不動産マーケット情報 2026年5月12日
『【トラブル】成田市議側に約10億円を提供、「みんなで大家さん」運営の共生バンク』
https://nfm.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/00008/00015/
7%といった高い配当をTVCM等で謳い、約4万人の個人投資家から2,000億円あまりを集めた不動産投資商品「みんなで大家さん」。
これまで、配当停止、出資金返還の遅れ、集団訴訟、さらに大阪地裁による全額返還命令の初判決など、返還問題そのものが大きく報じられてきました。
しかし、今回の続報で改めて浮かび上がったのは、「返ってくるのか」だけではなく、「集めた資金がどこへ流れていたのか」という論点です。
返還問題から、「資金の流れ」の問題へ
2026年3月には、「みんなで大家さん」を巡る集団訴訟で、大阪地裁が出資金の全額返還を命じる初の判決を言い渡しました。
もっとも、筆者は判決が出たことと、実際に資金が円滑に返還されることは別問題だと考えていました。
そこへ今回、日経BP系の報道で、共生バンクのグループ会社が、現職の成田市議が関係する事業に対して、総額約10億円を提供していたと伝えられました。
これが事実であれば、問題の重心はさらに変わります。
単なる「開発が遅れた投資商品」ではなく、資金使途の妥当性や説明責任まで問われる段階に入ったということです。
約10億円という規模は、軽く見てよい話ではない
検索で確認できる同報道の要旨では、この資金提供は紹介手数料を含めて約10億円規模に上るとされています。
さらに、その規模は成田市の議会費の約2倍に当たるとの説明も見られました。
もちろん、金額が大きいから直ちに違法だ、と短絡的に断定するべきではありません。
ただし、約4万人から集めた巨額の投資資金を背景にした事業の周辺で、これだけの資金が地元の有力関係者側に流れていたとすれば、出資者が疑問を抱くのは当然でしょう。
投資家の立場から見れば、知りたいのは極めてシンプルです。
その資金は何のために必要だったのか。誰の利益のために使われたのか。その支出は出資者に対して十分説明できるものなのか。
事業遅延だけでは説明しきれない疑念が積み上がっている
「みんなで大家さん」を巡っては、これまでにも様々な疑問が指摘されてきました。
これまでの報道では、
・配当停止と返還遅延
・成田プロジェクト関連口座の残高の著しい減少
・土地評価の過大計上疑惑
・税金滞納による差し押さえ
などが明らかになっています。
そこへ今回、政治との近接や、説明しにくい資金の流れという新たな論点が加わったことになります。
地域政治の説明責任という論点にも広がっている
さらに周辺報道では、成田市議会で当該市議らの説明責任を求める動きが強まり、政治倫理審査会の開催要求につながっていると伝えられています。
ここで問題なのは、民事上の返還問題だけではありません。
もし地域の開発計画、政治家、事業者、紹介や契約の構造が複雑に絡み合っていたのであれば、それは出資者保護という観点からも、地域行政の信頼という観点からも、軽く済ませてよい話ではないでしょう。
高利回りの商品ほど、
・誰が関わっているのか
・資金はどこへ流れるのか
・利益は何を根拠に生まれるのか
・その説明は第三者に耐えうるのか
を冷静に確認する必要があるといえるでしょう。
高配当より大切なのは、透明性と流動性
「あなただけ特別に」
「高い利回りでも大丈夫」
「大きな開発計画だから安心」
このような言葉は、投資判断を甘くさせます。
しかし、資産運用で本当に大切なのは、派手な利回りや華やかな事業計画ではありません。
筆者は以前から、透明性、流動性(換金性)が極めて重要だと考えています。
今回の続報は、その基本原則を改めて思い出させるものではないでしょうか。
返還訴訟の行方を見守ることももちろん重要です。
しかし同時に、なぜこうした資金の流れが生まれたのか、誰がどのような役割を果たしていたのかという構造そのものに目を向ける必要があると考えます。
資産運用を相談する相手選びは、慎重に行う必要があるのです。
※ 特定の会社や個人に対する攻撃や悪意のアンチコラムではありません。
実際に報じられている内容を踏まえ、投資家保護の観点から論点を整理したものです。
※ 現時点で判明している報道ベースの情報をもとに記載しており、今後の調査・審査・司法判断等により評価が変わる可能性があります。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。
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