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安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(やすざわたけろう) / 経営コンサルタント

ペネトラ・コンサルティング株式会社

コラム

長時間労働の問題を解決するためにはどうすれば良いか?

2016年12月14日 公開 / 2020年4月30日更新

テーマ:経営者向け

コラムカテゴリ:ビジネス

年末のクリスマスシーズンに「新嘗祭(にいなめのまつり)」の話を聞く、
日本では、古くから五穀の収穫を祝う風習があり、
11月23日は宮中祭祀として最も重要とされる「新嘗祭(にいなめのまつり)」
という収穫祭の日であったという。
戦後、GHQにより「皇室祭祀令」が廃止され、
「勤労感謝の日」として残ってはいるが、本来の意味を多くの日本人は忘れてしまっている。

今の日本人にとってお祭りとは、クリスマスであり、ハロウィーンであり、
日本古来のお祭りの盛り上がりとは対照的である。
舶来品を日本独自の文化に昇華させるという意味では、日本的なのかもしれないが、
日本人としての本質、本来の価値観を失うことは国家的損失だと思う。


こんな話がある。
機械時計が日本に伝わった時の話だが、
機械時計がなかった時代は、日の出から日の入りまでの昼と、日の入りから日の出までの夜をそれぞれ12等分して時間を表す「不定時法」が中心であった。
昼と夜の1時間の長さは違うが、生活をする上では何の問題もないものである。
欧州であろうと中国であろうと機械時計がない時代は同じように「不定時法」であった。

そこに機械時計が発明されると、欧州も中国も昼と夜の1時間が同じ「定時法」に変わっていった。
しかし、日本に機械時計が伝わった時、日本はそう簡単に定時法にはならなかった。
「昼と夜の時間に合わせて時間を刻む機械時計」を発明したという。
日本の技術力の高さはさることながら、
「機械に文化を変えられるのではなく、文化にあった機械を生み出していく」
という精神が私は好きだ。


そこで、「働き方改革」について思う。
かつての日本人にとって働くことは常態であった。
働くことは他人を喜ばせることであり、
働くこと自体が働く人にとっての報酬であった。
柳田國男は「誰にも注目されない石垣が丹念に築かれている」ことに日本人の心を見た。

そこに「労働は苦しみだ」という欧米の思想が入ってきた。
ハードは作り変えるが、ソフトは吸収してしまうのが日本人なのか?
本質を守り、本質にあった形(仕組み)を考えていくべき時ではないか?

長時間労働は悪なのか?
そうではない。長時間働くことで心身を病んでしまうことが悪なのだ。
なぜ心身を病んでしまうのか?
なぜ働く喜びを感じられなくなっているのか?
なぜ常軌を逸して働かされてしまうのか?

形から変えていくことが必要な状況かもしれない。
しかし、本質を取り戻せるような形にしていかないと、
人は本当には幸せにはなれないと思う。
働くことに幸せを感じられる人や企業を増やすためにこれからも頑張っていく。

この記事を書いたプロ

安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(ペネトラ・コンサルティング株式会社)

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