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安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(やすざわたけろう) / 経営コンサルタント

ペネトラ・コンサルティング株式会社

コラム

虹を見ながら教訓について考える

2016年12月23日 公開 / 2020年4月30日更新

テーマ:人材育成

コラムカテゴリ:ビジネス

「虹の色は何色ありますか?」と聞かれて、どのように回答をするでしょうか?

「7色です」と答える人
「日本では7色です」と答える人
「5色に見えます」と答える人
いろんな方がいます。

次の質問ですが、この3種類の答え方にはどのような違いがあるでしょうか?


日本で「7色です」と答える方が多いのは、
「虹は7色」であるということを人生のどこかで教わっているからで、
「7色です」と答えた方はその知識を答えていることが多いように思います。

「日本では7色です」と答えた方は、
国によって常識となっている虹の色の数が違うことを知っています。
鈴木孝夫さんの「日本語と外国語」によると、
アメリカでは6色、フランスでは7色、ドイツでは5色、イギリスやロシアはバラバラ、
中には3色や2色の国もあるそうです。
その知識を答えられているのでしょう。

「5色に見えます」と答えた人は、
実際に自分が見た時に何色に見えたのか、という経験を答えています。
もちろん、「7色です」と答えた方の中にも、
実際に自分が見て7色に見えた経験があり、その経験を答えている可能性もあります。

上記の解答だけではわかりませんが、
実際の回答には「知識」を答えている人と「経験」を答えている人の2種類があるということです。

では、実際に虹を見て見ましょう。
と言っても都合よく窓の外に虹が出ていることもないでしょうから、虹の写真で試してみましょう。


虹


さて、何色に見えるでしょうか?
日本の常識のように7色が見えるでしょうか?


正直、私はこの文章を書きながら試してみたのですが、5色にしか見えません。
「藍色、水色、黄色、橙色、赤色」の5色です。


教科書などには赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色とされています。
そういう知識を得て写真をもう一度見てみると、緑と紫も見えました。

そう考えると疑問が湧いてきます。
「虹の色は8色だ」と教わった子供は8色目を見つけることはできるのでしょうか?
もう少し色の違いを細かく表現する言葉があれば、
8色だけでなく10色でも見えるかもしれないですね。

例えばですが、人間の目は3原色(赤・緑・青)を識別できるので7色を見分けることができますが、
鳥は4原色(赤・緑・青・透明(紫外線))を識別できるそうで、多彩な色を識別しています。
鳥が「虹」という概念を知っていて言葉を話せれば、きっと10を超えてくるはずです。
結局目に入ったシグナルを脳が変換して認識しているのであって、
フィルター次第で答えが変わってくるということです。

そんなことを考えていると、もう一つの疑問が湧いてきます。
「本当に虹は毎回同じ色をしているのだろうか?」
日によって緑が少ないとか紫が見えないということはないのだろうか?

実際に自分の体調も違えば、空の明るさも違います。
そういった条件の違いで見え方は変わっているはずだし、いつも7色とは限らないはずです。
しかしながら、「虹は7色」という知識を得てしまうと、7色にしか見えなくなってしまいます。


そこでもう一度聞きたいと思います。

「虹の色は何色ありますか?」と聞かれて、どのように回答をするでしょうか?

「最近は5色に見えます」でしょうか?
「10色に見えることが多いです」でしょうか?
「私には10色に見えます」でしょうか?

「最近は5色に見えます」「私には10色に見えます」という回答も安易に否定はできませんね。
その人には5色にしか見えないかもしれませんし、
10色を表す言葉がないからといって見えていないとも限りません。
少なくとも「知識」で答えるのではなく、
少なからず「経験」したことを回答されるのではないかと思います。


この話で感じていただきたかったことは、
「知識(理論)」と「経験(自分のフィルターを通じて自分の脳が感知したこと)」の使い分けです。
ビジネスの世界でも同じようなことが多々起きています。
「知識」を増やすことで物事がより詳しく見えていきますが、
「知識」に捉われると現実世界の変化が見えにくくなる場合もあるということです。

この「知識(理論)」と「経験」の往復が人の成長には欠かせません。
経験から導き出された「知識(理論)」は「教訓」などと表現されます。
世の中には「〇〇の成功法則」のような「教訓」が数多く紹介されています。
それはあくまでもその人の経験に裏打ちされた「教訓」であって、
あなたにとってはまだ「知識」です。
「知識(理論)」を得ることが必要な場合もあれば、
「経験」を通じて「自分の教訓」に変えていくことが必要な場面もあります。
その違いをわかりながら仕事を進めることができれば、成長角度は上がっていきます。

虹が何色に見えようと人生に影響することはあまりありませんが、
仕事に役立つ「教訓」を10個扱えるのと、100個扱えるのでは、仕事の結果が変わってきます。
今年の振り返りをして「自分の教訓」を増やして欲しいと思います。

この記事を書いたプロ

安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(ペネトラ・コンサルティング株式会社)

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