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令和5(2023)年2月に発表された「現行入管法の課題」について、メルマガ第221回、2023.4.1発行

折本徹

折本徹

テーマ:過去のメルマガ、85号から

令和5(2023)年2月に発表された「現行入管法の課題」について
第221回
2023.4.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>

3月は野球三昧の人が多かったと思います。
WBC、春の高校野球、日本とメジャーのプロ野球の開幕、があり、
WBCでの優勝は、野球好きにとっては至福の時でした。
私も、小学生のころからプロ野球を観戦していますが、
大谷選手ってすごい選手だな、と改めて思いました。
3年後のWBCでは、プエルトリコやドミニカ共和国とも当たれるような、
フォーマットにしてほしいです。

コロナ感染者が増加傾向あるので、感染予防は怠りなく、
かからないようお過ごししてください。

今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。

{感染拡大防止に伴う情報}

外国人生活支援ポータルサイト
http://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html

水際対策に係る措置
https://www.moj.go.jp/isa/hisho06_00099.html

新型コロナウィルス感染症で困っている人向け
https://www.moj.go.jp/isa/content/001322500.pdf


{お知らせ}
1 現在、動画配信のテストをしています。
国際結婚の手続きの話。
国際結婚を考えている人、国際結婚をしている人の知的好奇心を満たします。
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5084001

2無料小冊子を作成しました。
・「小さな会社の外国人の在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5115967/

・「外国人と一緒にビジネス!!働く在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5119428/

過去、有料レポートや無料レポートは、30以上作成しましたが、
書籍に近い作りになっている、小冊子を初めて作成しました。

尚、Youtube 動画は無料で見ることができますし、
小冊子については、
会社の経営者
一緒に外国人とビジネスをしたい人
に無料で進呈しています。


さて、本題です。

令和5(2023)年2月に発表された「現行入管法の課題」についてです。
既に、読まれた人もいると思います。
これは、昨年成立しなかったのですが、今国会で審議予定の法案についての
対外的説明資料ですね(2023.4.13から審議入り)。
法案の主な内容は、準難民制度の創設と退去強制手続きの厳格化等なので、
「現行入管法の課題」については、
退去強制手続きの厳格化に関しての背景の説明です。

法案については、昨年と今年、マスコミで報道されたので、ご存じの人もいると思います。
当時、名古屋出入国在留管理局で収容者が死亡するという痛ましいことが起こったことも
報じられましたので、まだ、記憶に新しいと思います。
このスリランカ女性に限らず、収容中に亡くなった人は、
適法に在留していた時に帰国できない事情、
何かしらの理由で不法残留し収容された後も帰国できない事情
があったのでしょうが、痛ましいです。

痛ましいことにしても、法案にしろ、立場が異なると、違った見方や考え方になるので、難しいですね。
私も、仕事によっては違った考え方になるので、一貫していないのです。
私の場合は、対象は不法残留者になりますが、関与するときは、
「頑張らせるのか」「諦めさせるのか」の助言をする必要があるのですが、
それが難しい。

頑張らせたこともありますが、長期の収容になってしまい、結局帰国した人もいました
(訴訟をして敗訴。訴訟提起後は、関与はしませんでしたが、最後、連絡がありました)。
その一方で、諦めさせたこともありますが、
そのときは、上陸拒否期間が経過しても、再度の入国ができなかった、ということもありました
(ちなみに、すんなり、入国できる人もいます)。
難しいのだけれど、日本人との結婚以外の状況では、頑張らせないで帰国、
を勧めてしまいますね。


それでは、「現行入管法の課題」を簡単に紹介します。

まず、「共生社会の実現、適正な出入国在留管理」を掲げ、

「日本人と外国人が安全・安心に暮らせる社会を実現するため、
外国人への差別・偏見を無くし、人権を尊重することが必要」
「外国人にもルールを守り、許可された在留資格・在留期間の範囲内で活動してもらう
ことが必要」
「国際慣習法上、国家は外国人の入国に当たり、ルールを定め、これに違反した場合は
国外へ退去が可能」
としています。

私見ですが、極端に言えば、
その国の利益に資する外国人は受け入れるけど、不利益をもたらす外国人は排除する、
ということなのではないか?そして多くの国で採用しているのではないか?
と思います。
一方で、
「希望すれば、在留を認める」
「働くことも制限なくできる」
「罪を犯しても、償えば引き続き在留できる」
みたいにすれば良いのに・・・、という考える人もいるでしょうね。

「国外へ退去が可能」に関してですが、
退去強制事由を定め(不法残留、不法就労、重大犯罪で有罪)→退去強制手続等。
手続等として、
在留特別許可(H26-R3の許可率は約71%)、
自発的に帰国、
退去強制に応じる、
帰国したくない(送還忌避)。

「大多数が帰国している」としていますが、
「帰国したくない」として送還できない人がいて、R3年12月末時点で累計3,224人いる、
と紹介しています。

その送還を妨げる理由として、3つ挙げていて
・難民認定手続き中は送還が一時停止
→この手続き中は、申請の回数や理由等を問わず、退去させることができない。
 重大犯罪者やテロリスト等も含む
・退去を拒む自国民の受取を拒否する国の存在
→自主的帰国は受け入れるが、退去拒否、強制送還される自国民は受取拒否
・送還妨害行為による航空機への途上拒否
→航空機の中で激しく抵抗し、機長の判断により搭乗拒否
なのだそうです。

それゆえ、結果として生じる問題として、4つ挙げていて
・送還までの間、原則入管施設に収容→収容の長期化
・収容に代わる措置がない
・病気等のため一時的に収容を解くに過ぎない仮放免許可を柔軟に運用
 →逃亡防止措置が充分ではなく、逃亡事案が多数発生
・送還を逃れるため、難民認定申請の誤用濫用が疑われる事案が多数発生
 →ゆえに、審査期間の長期化、本来保護すべき人の迅速な救済が困難
なのだそうです。

その他の問題として、
ウクライナ避難民等を安定的に保護するための制度的枠組みがない。


続けて、現状として数字を挙げていて(主な数字を書きます)
・保護すべき人は保護している、としてH26-R3の在留特別許可率や許可数の推移
 H29-R2の平均として
 退去強制 8,140人
 出国命令 6,560人
 在留特別許可 1,388人
・送還忌避者の実態として、忌避者のうちの前科者、刑期別・在種別の数字
 R3年12月末時点
 送還忌避者として、3,244人(うち、難民認定申請中が1,629人)
送還忌避者のうち前科を有する者として、1,133人(うち、難民認定申請中が424人)
・送還忌避者のうちの仮放免をした人数と逃亡した人数とその推移
 R3年12月末時点
送還忌避者3,244人のうち、
 被収容者 79人 被放免者2,546人 仮放免逃亡者599人(→R4年末時点で約1,400人)
を紹介しています。

そして、

・難民認定制度の現状
→資料を読むと、申請の誤用濫用が多く、本当に保護すべき難民は少ない、ととれます。
(申請者と庇護状況の推移、難民審査参与員発言の概要、誤用濫用の疑義がある事例)
・送還忌避によって生じている問題について
→資料を読むと日本で前科・前歴を有している人ほど、送還忌避の傾向にある感じがしま
す。
(退去を拒む自国民の受取を拒否する国の事例、送還妨害行為の事例、逃亡事案の事例)
も紹介しています。

これらをどうしたものか?今回の法案のが起点のようです。

難民認定申請の誤用濫用については、過去に依頼してきた人と密接に関係のある人が
申請してしまい、先行き不安になったみたいで「何とかならないか?」と相談され、
ほぼ最終局面からそのフォローしたことがあります。

本人も難民に該当しないことはわかっていたらしく、
結局、難民認定されなかったので、帰国になりましたが、
申請した当時、当事者たちには、やむにやまれぬ事情がありました
(内容は紹介できませんが、「こういうやり方がある」と教えてもらったとのこと)。
このような場合も、「ダメなのだけど、無理もないかな」と、
ことの良し悪しなどの判断が難しいです。

その誤用濫用の申請も関係しているようですが
「難民該当性判断の手引」
を公表しました。
本人やサポートする人たちに理解してもらい、不適切な申請は控えてほしい、
とのことなのかもしれません。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001393172.pdf

話を戻しますが、今回紹介したのは、出入国在留管理庁の視点です。
異なる立場だと違う視点もあると思います。
どこまでを問題点として捉え、
どういった状況の人まで保護するのか?
線引きをどこにするのか?
は、難しいです。

外国人は高度人材だけではなく、色々な人がいて、色々な事情を抱えています。
人生をかけて、日本に入国して、日本政府や日本人を頼る人もいれば、
安易とは言わないけど、「とりあえず試してみる」みたいな気持ちで行動する人もいる、
(「余計な手続きしたね」と思ってしまうようなケース)と思います。
恵まれた外国人もいれば、そうでもない外国人もいます。
恵まれている・そうではない、は日本人も同じだと思いますが、
日本に在留する外国人達は、規制される制度があるからその点が違いますね。

今国会で法案の審議がされるらしいので、
今年の2月に発表された「現行入管法の課題」をご紹介しました。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001390406.pdf


<その他の話題 外国人のくらしの相談>

外国人生活支援コーディネーター(仮)の創設をするそうです。
外国人支援の専門家を配置し、相談対応の一元化を目指すようで、
国家資格にすることも視野にいれているようです。

社会保険、子どもの教育があがっていますが、他に仕事、医療、住まい、在留資格
も入るのかもしれません。
それでそのような相談があったら、相談に乗り、支援計画を作成し、
役所や支援団体につなぐ
(そこで相談するだけで、済んでしまうこともあるかもしれませんね。)、
ということが期待されているでしょうね。

2026年度まで全国で300人配置を目標にしていて、就労先や留学先も含みますが、
現に、市区町村役場で、外国人支援業務に携わっている人を対象にしているようです。
(独立の民営だったら、老健施設の相談員みたいな感じ?)

2ヶ月間の養成講座→3ヶ月間の実践→2日間の集合研修と修了認定テスト

を検討しているみたいで、入管協会のような法人に委託するのかもしれません。

そうしないと、実践をどこかでやらないとならないから、
実践先の伝手のない未経験者や組織に属さないフリーランスは、
この仕事を希望しても対象にはならなくなってしまう。
それと、場所を掛け持ちしない専属かつ他の仕事をしない専任が望ましいのだろうけど、
そうすると、民間や外国人居住数が少ない市区町村役場はどうするのだろう。

私は行政書士ですが、コーディネーターに関係なく、
暮らしの相談については、下記のような資料や書籍で毎日コツコツ勉強して、
https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/guidebook_index.html
https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/plainjapanese_guideline.html
相談に備えようかな、と思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は6月にお届けする予定です。
ここ数年、1月を除いて毎月1回、届けていますが、
今年は偶数月(2,4,6,8,10,12月)にお届けする予定です。

このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、20年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。

過去のメルマガが読めます(85号から)
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/?jid=1300156

このメルマガは、まぐまぐを利用して発行しています。
解除は 
http://www.mag2.com/m/0000097197.htm
よりできます。

VISA・在留資格研究会
行政書士 折本徹事務所
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column

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折本徹(行政書士)

折本 徹 行政書士事務所

日本に住んでいるフィリピン人コミュニティを開拓し、相談を受ける事からスタートしました。その後、中国人、ネパール人、ベトナム人などの外国人、取扱う分野を拡げ、経験を積み、20年以上になります。

折本徹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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