ESGと外国人技能実習生雇用指針、メルマガ第209回、2022.3.1発行
令和3年における入管法違反事件について
メルマガ第217回
2022.10.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>
行政書士の折本徹と申します。
東京都内では、9月の中旬までは暑かったですが、それ以降、朝晩は涼しくなりました。
個人的には、毎年、このような感じていて、暑さの目安にしています。
尚、9月は例年より台風が多く、その影響で豪雨被害が出でいる地域もありました。
お見舞いを申し上げるとともに、なにとぞ無事にお過ごししてください。
今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。
{感染拡大防止に伴う情報}
外国人生活支援ポータルサイト
http://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html
水際対策に係る措置
10月11日以降、入国検査を撤廃。
ただし、ワクチン3回の接種証明か、PCR検査などの事前の陰性証明が必要。
短期滞在免除の入国や個人旅行も再開。
https://www.moj.go.jp/isa/hisho06_00099.html
新型コロナウィルス感染症で困っている人向け
https://www.moj.go.jp/isa/content/001322500.pdf
入国制限について
https://www.moj.go.jp/isa/content/001347329.pdf
水際対策での新規入国者国際的な人の往来再開による新規入国のためのビザ申請
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page22_003381.html(外務省)
新型コロナウィルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html
{お知らせ}
・現在、動画配信のテストをしています。
国際結婚の手続きの話。
国際結婚を考えている人、国際結婚をしている人の知的好奇心を満たします。
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5084001
・無料小冊子を作成しました。
「小さな会社の外国人の在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5115967/
過去、有料レポートや無料レポートは、30以上作成しましたが、
書籍に近いつくりになっている、小冊子を初めて作成しました。
尚、Youtube 動画は無料で見ることができますし、
小冊子については、会社の経営者で希望される人は、無料で進呈しています。
本題です。
以前、メルマガで、
日本人と結婚した外国人配偶者が在留特別許可をされた例、されなかった例、
メルマガ第197回、2021.2.1発行
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5077192/
外国人配偶者が上陸を特別に許可になった例、ならない例、
メルマガ第196回、2020.12.1発行
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5071968/
をお届けしました。
新しい情報を出入国在留管理庁は公表しているので、その続きを書こう、
と考えていました。
なお、上記は、入管法違反をした結果を前提にしていますので、
興味があったことから、1年間にどれくらいの数の入管法違反はあるのか、
また、在留資格の取消件数があるのか、調べてみました。
今号では、入管法違反事件数についてお届けします。
出入国在留管理庁では、
「令和3年における入管法違反事件について」を公表しています。
令和3年中に、全国の出入国在留管理官署が、
出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)違反により、
退去強制手続き又は出国命令手続
を執った外国人は、18,012人で、令和2年に比較して2,137人増加したそうです。
(出国命令とは?入管法違反者のうち、一定の要件を満たす不法残留者について、
収容しないまま簡易な手続きにより出国させる制度)
多いのか、少ないのか?ですが、
令和1年が19,386人、2年が15,875人、3年が18,012人です。
令和2年は、新型コロナウィルス感染症は影響している感じがします。
その令和2年ですが、4月7日に非常事態宣言が発令され、
経済活動の制限や人々の行動は自粛に向かいだした、という記憶があります。
この時期の前後(2月や3月も含めて)から、在日外国人たちの間で、
仕事を辞めさせられた(正社員、アルバイト、パート、実習生)、
帰国するにも本国が入国制限している、飛行機が運航しない、
という事態がおこり始めた、という記憶もあります。
日本政府も、外国人のみならず、日本人を対象に救済措置を政策として実行し始めていました。
在留資格に関しても救済措置をとっていたのですが、そのことを知らなくて、
気の毒にも、不法残留になった人もいたのではないかな、と思います。
話を入管法違反事件に戻しますが、令和3年の違反理由として多いのが、
「不法残留」で、16,638件(うち、出国命令が4,365)、
以下、刑罰法令違反が574件です。
刑罰法令違反は、数として多くないように思いますが、
令和1年が448件、令和2年が504件なので、増加傾向を示しており、
コロナ禍の影響をうけた業界もあり(一部の業界では利益を上げていましたが)、
先行きが見えない不景気感が漂っていた世相を感じます。
しかし、それとは逆に、「巣ごもり」という言葉も出始めたように、経済活動が鈍り、
外出自粛もあったせいか摘発個所数はかなり減少しています。
令和1年が1536(うち、稼働先228、居宅894、路上その他414)件
令和2年が、361(うち、稼働先69、居宅189、路上その他103)件
令和3年が、167(うち、稼働先30、居宅105、路上その他32)件
です。
こうしてみると、コロナ禍の影響がかなりありますね。
警察や入管当局の活発な摘発活動は少なかったのかな、と想像します。
尚、「いきなり、家に来た」という話は聞きますが、
居宅で摘発される・摘発する割合は多いのでしょうね。
不法残留後も住所登録している住居に留まっていた、
親戚、友人、知人の家を居宅にしていた、
にて摘発されたと推測できますね。
それでは、国籍別です。
令和1年から3年とも、ベトナム、中国、タイが上位3つの国です。
令和1年が19,386のうち、6549(4924),4256(2840),2295(1110)件
令和2年が 15,875のうち、6286(4777),3172(2161),1410(687)件
令和3年が 18,012のうち、9688(7283),2915(2055),1064(536)件
()内は男性
です。
色々な指標でベトナムが上位に入ってきます。
不名誉だと思いますが、ここでもベトナムが入ってきました。
中国とタイは、富裕層や中間層も増えてきている、
と詩誌に報じられていますが、このようなところに上位に入ってきているので、
取り残されている人達もいる、ということなのかもしれません
(以前から不法残留をしていて、帰国したら生活できない、
と考えている人も含めて)。
在留資格別です。不法残留をする前の在留資格では、
技能実習、短期滞在、特定活動、留学が上位をしめています。
特定活動は、法務大臣が個別に活動目的を決めていますが、
その活動目的が何なのか?の記載はありませんでした。
令和1年が4651(3328),6367(3845),3238(2369),2594(2090)件
令和2年が4279(3165),4635(3165),2460(1867),2109(1690)件
令和3年が6165(4513),3879(2478),3047(2233),2496(2056)件
()内は男性
です。
年によって、在留資格の順番は違いますが、入管当局から見ると、
審査をするうえで、
技能実習、短期滞在、特定活動、留学
は要注意の在留資格になるのでしょうね。
不法就労事実が認められたもの
国籍別ではなく総数で記載します。
令和1年は、12,816件。令和2年は10,993件。令和3年は13,255件。
上位の国は、ベトナム、中国、タイ、インドネシア、フィリピン
と続きます。
働かなければ生活していけない、ということですね。
不法滞在をしても働く理由や動機ですが、
自分(たち)の生活費を賄っている、借金の返済、
母国の家族に送金する、帰国したら生活できないから
と大まかに推測できますが、本人ではないと、本当の理由はわかりません。
退去強制をした数
国籍別ではなく、総数で記載します。
令和1年は9,597件。令和2年は5,450件。令和3年は4,122件です。
ベトナム、中国、タイ、フィリピン、インドネシアの順です。
令和3年はベトナムが突出していて、全体の43%を占めています。
しかし、コロナ禍での飛行機の便数減少の影響でしょうか、
令和2年と令和3年は減少しています。
仮放免になった数
国籍別ではなく、総数で記載します。
令和1年は2,217件。令和2年は3,061件。令和3年は4,174件です。
ベトナム、中国、トルコ、フィリピン、タイ、イラン、スリランカ、
パキスタン、ナイジェリア、ブラジル、その他の順番です。
千人単位で突出した国はなく、ばらけている印象です。
仮放免は、健康上の理由や人道上の配慮が必要と判断される人に対して、
就労禁止や行動範囲の制限などを条件にして認められる制度です。
以前から見られる難民認定申請者、
そして、新型コロナウィルス感染症が入管施設の中で広がることの防止、
で多かったのかもしれません。
不法就労に関しての項目
性別、年齢別、就労期間別、都道府県(稼働場所)別、就労内容別、
就労内容別で都道府県別、国籍地域別で都道府県別、報酬(日額)別
で公表しています。
簡単に紹介しますと、
性別ですと、令和1-3年の各年とも、男性が7割占めています。
年齢別ですと、男女とも20歳代30歳代の割合が高いです。
就労期間別ですと、3年以下が多いです。
都道府県(稼働場所)別ですと、
千葉、茨城、埼玉、群馬、東京、と関東地方に
集中しています。一都六県で71%を占めています。
就労内容別ですが、建設作業者、農業従事者、工員が上位です。
ちなみに男性は建設作業者、女性は農業従事者が1位です。
報酬(日額)別は、令和3年では、5千円超7千円以下の割合が、約50%と高いです。
尚、5千円以下が、約4分の1を占めています。
尚、就労内容別で都道府県別、国籍地域別で都道府県別は省略します。
そうすると、勿論、全てではありませんが
何らかの在留資格で入国・在留し、不法残留を選択した20歳代30歳代の人たち。
主に関東地方で、7千円以下の日当で、建設作業者や農業従事者で就労している。
最終的に、不法残留後3年ぐらいで、自主出頭や摘発されて終わる、と推測ができます。
なかには、在留特別許可を求める人、帰国後に再度入国を求める人がいる、
ということなりますね。
もう少し、ひねくれた見方をすると、
不法残留する人は、毎年、一定数は発生する。
令和2年以降の新型コロナウィルス感染症対策で、入国制限をしたので入国者数が減った
(不法残留になりそうな人が入国しなかった)。
解雇された・帰国できないときの救済制度があったので、
それを利用できたので、不法残留にならずに済んだ人もいた。
ゆえに、不法残留になった人は減少したと推測します。
そして、退去強制手続き又は出国命令手続を執った外国人は、18,012人。
その結果、不法残留者数が減った、しかし、コロナ禍のせいで?刑事罰事件は増加した。
(ちなみに、不法残留数は、令和4年1月1日現在は、6万6,759人、
内、男性が3万9,116人、女性が2万7,643人。
なお、令和3年1月1日現在では、8万2,868人)
ひねくれすぎでしょうか。
さて、読者の皆様はどのように感じたでしょうか。
今回は、出入国在留管理庁の令和3年における入管法違反事件について、の話でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、15年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。
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