2020年は働いている外国人は、二極化が鮮明になるかもしれませんね。メルマガ第185号、2019.12.1発行
色々な国の起業ビザやスタートアップビザ
メルマガ第215回
2022.8.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>
行政書士の折本徹と申します。7月は、
梅雨明けしてしまったと思ったら、梅雨の戻りのような天気もありました。
そのあとは、ともかく暑い!という地域と豪雨被害が出でいる地域もありました。
また、新型コロナウィルス感染症が新規の感染者が増加しています。
お見舞いを申し上げるとともに、なにとぞ無事にお過ごししてください。
今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。
{感染拡大防止に伴う情報}
外国人生活支援ポータルサイト
http://www.moj.go.jp/isa/support/portal/index.html
水際対策に係る措置
https://www.moj.go.jp/isa/hisho06_00099.html
新型コロナウィルス感染症で困っている人向け
https://www.moj.go.jp/isa/content/001322500.pdf
入国制限について
https://www.moj.go.jp/isa/content/001347329.pdf
国際的な人の往来再開による新規入国のためのビザ申請(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page22_003381.html
新型コロナウィルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html
{お知らせ}
・現在、動画配信のテストをしています。
国際結婚の手続きの話。
国際結婚を考えている人、国際結婚をしている人の知的好奇心を満たします。
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5084001
・無料小冊子を作成しました。
「小さな会社の外国人の在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/5115967/
過去、有料レポートや無料レポートは、30以上作成しましたが、
書籍に近いつくりになっている、小冊子を初めて作成しました。
尚、Youtube 動画は無料で見ることができますし、
小冊子については、会社の経営者で希望される人は、無料で進呈しています。
本題です。
2022年6月2日の日本経済新聞に、
色々な国の起業ビザ、スタートアップビザについて掲載されていました。
読者様も読んだ人は多いと思います。
タイトルとしては、
「革新人材 国が争奪戦」NZ、起業家に3年ビザ
です。
最近は、詩誌で、ESG投資とか、インパクト投資、という言葉が出てきていますね。
AI・人工知能やIT・情報技術分野を中心にして、社会の変革を起こそう、
社会や環境へ貢献しよう、ということで、起業した会社や携わる人に焦点を合わせ、
国内のみならず、国外の人材に目を向けて、その支援をして、国の成長を図ろう、
というものだと思います。
記事では、ニュージーランドを中心にとりあげていました。
同国は、日本では、ラグビーなどのスポーツや農業国として知られていますが、
ITを経済の柱として掲げて、資金調達や納税手続きの環境を整え、
起業のしやすい国として、世界銀行の調査で世界首位に立ったそうです。
「グローバル・インパクト・ビザ」として制度設計をして、
・社会や環境問題に変革をもたらす事業や人材に照準
・上限約400人に3年間の在留許可、永住権の申請権利を付与
・申請時の条件は英語の能力と36,000(約300万円)NZドルの資金
・民間財団や金融機関、大学などともに事業の成功を後押し
として試験運用をしているとのことです。
他にも
・次世代農業、宇宙産業、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)、教育格差是正、
など8つの分野を中心に事業計画を募る
・家族の医療環境も整備して事業に専念してもらう
なのだそうです。
他の国も紹介していて、そのまま記載しますと
「英国」
既存市場に存在しない革新的事業であることを重視。副業や家族帯同を認める。
「フランス」
テック分野に特化。政府認定のベンチャーキャピタルなどの支援を得ていることが条件。
「アイルランド」
自国だけではなくグローバルで成長が見込めるような起業を想定。新規分野開拓を重視。
「シンガポール」
革新性のある創業人材対象。2021年からトップレベルのIT人材誘致のテック・パスも導入。
などです。ほかの国・地域にも起業ビザ、スタートアップビザはあると思います。
キーワードとして「IT」「革新性」「グローバル」みたいですね。
いつも思うのは、「革新性とは、どういうものなの?」があります。
世間的に見て、というか、世界を見渡して、まだ、実現していない技術や制度やモデル、
または、組み合わせによって実現していないものが実現する、かもしれません。
それが、社会の変革や環境への貢献につながる、なのでしょう。
しかし、日本国内でも世界各国でも、それ以外の起業の方が多いと推測しているので、
「それ以外は起業にあらず」という見下すような雰囲気は避けてほしいものです。
さて、海外を見てきましたが、日本国内での外国人材の起業に関しての制度はどうか?です。
いくつかあるのですが、在留資格「経営・管理」の応用、という感じです。
そのまま伝えても、個人的には、わかりにくいと思うので、
各役所が案内するURLのページも紹介しますので、そちらもお読みください。
まず、基礎となる在留資格「経営・管理」を簡単に紹介すると、
A 経営
B 管理
の2つの種類です。
起業については、Aの経営 が該当しますが、許可の要件を見てみましょう。
1 申請に係る事業を営むための事務所が本邦に存在すること。
ただし、当該事業が開始されていない場合に会っては、当該事業を営むための
事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
2 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤職員
(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留している者を除く。)
が従事して営まれるものであること
ロ 資本の金額または出資の金額が五百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められること。
です(Bの管理 については省きます)。
在留資格「経営・管理」を申請する前に、簡単に言えば、
・日本国内に事務所を確保しておくこと
・日本人または指定された在留資格を得ている外国人を除く外国人を
常勤で二人以上雇っていること。
雇えなければ、資本金または出資の金額が500万円以上用意しておくこと
です。
細かな基準がありますが、ここでは省きます。知りたい方は下記URLからどうぞ
・外国人経営者の在留資格基準の明確化
[事務所の確保や事業の継続性のガイドラインが記載されています]
https://www.moj.go.jp/isa/content/930005791.pdf
・在留資格「経営・管理」の基準の明確化
[2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の取扱いが記載されています]
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00052.html
世間で言われる、スタートアップ起業のようなものではなく
通常の起業のケースですが、基本的な考えの起点になっているみたいです。
事務所の確保だとか、正社員2人以上の確保・資本金や出資金の確保
の要件が揃わないことがあるので、それを満たすための期間として、
出入国在留管理庁では、通常のケースから派生して
(通常ケースを、第0 とすれば)
留学生向けに、下記の二つを設けたようです。
第1 本邦の大学等を卒業して起業活動を行うことを希望する方
第2 本邦において優秀な留学生の受入れに意欲的に取り組んでいる大学等を卒業して起業活動を行うことを希望する方 (令和2年11月~)
第1 の場合、
制度を簡単に紹介すると
・大学の学部又は大学院を卒業後、6ヶ月以内に会社法人を設立し起業して
在留資格「経営・管理」に変更申請が見込まれる
・その大学から推薦を受けている
・大学による企業活動の把握・管理が適切に行われている
・企業に必要な資金並びに店舗または事務所が確保している
という措置が講じられている場合は、
在留資格「特定活動」(最長卒業後6ヶ月以内)への変更許可を可能としました。
これは、「起業活動外国人」と呼ばれているようで、大学の支援がポイントのようです。
第2の場合
制度を簡単に紹介します。
さらに2つあり、
1 本邦において優秀な留学生受け入れに意欲的に取り組んでいるとされる大学等
(「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画選定大学とその取組状況
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1394574.htm
又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校
https://tgu.mext.go.jp/)
に在籍中から起業活動を行っていた留学生が、
卒業後も継続して起業活動を行うことを希望する場合に、
一定の要件を満たすことを前提として、
在留活動「特定活動」による最長2年間の在留を可能にしました。
2 本邦の大学等を卒業した後に引き続き、
外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業
を利用して本邦に在留していた。期間内に起業に至らなかった外国人についても、
一定の要件を満たすことを前提として、当該事業利用後に新たな措置への移行を認め、
当該事業に基づく在留と合わせて最長2年間の在留を可能にしました。
となります。
下記は、この制度に関連している、出入国在留管理庁のウェブサイトのURLです。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities13.html
上記の制度(前述の第2の2)で触れていますが、
・外国人起業活動促進事業
と
・国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業
は、地方公共団体の起業する外国人向けの支援制度です。
在留資格の付与がありますので、出入国在留管理庁も関係しますが、
主に地方自治体が起業支援をします。
わかりにくいのが、
・外国人起業活動促進事業は、経済産業省
・国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業は、内閣府
が管轄していて、制度が似ているところです。
それでも、大きな?違いがあります。
最終的には、在留資格「経営・管理」を得ての会社経営になるのですが、
それ以前の走り出す期間というか、創業期間というか、準備期間というか、
そのような期間と付与される在留資格が違っています。
・外国人起業活動促進事業 が最長1年で在留資格が「特定活動」。
・国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業 が最長6ヶ月で在留資格が「経営・管理」
みたいです。
例えば、経済産業省のウェブサイトを見ると違いが記載されていて、
経済産業省の所管の
地方公共団体による管理支援のもとで行う「起業ための活動」は
最長1年の在留資格「特定活動」。
その後は在留資格「経営・管理」へ変更
としています。
一方、国家戦略特別区域の制度を採用している東京都のウェブサイトを見ると、
ビジネスコンシェルジュ東京のサポートを受けながら、
「創業活動」として
最長6か月間の在留資格「経営・管理」。
その後も在留資格「経営・管理」で更新
としています。
期間と在留資格が違うのですが、肝心なのは、支援の内容だと思います。
支援の内容は、地方公共団体によって特色があると思います。
では、両方の制度を採用している、仙台市を見てみましょう。
仙台市は、両方とも、「スタートアップビザ」という位置づけのようです。
1 「在留資格「経営・管理」の要件である
事務所の確保
常勤職員の2名以上の雇用又は資本金や出資の総額500万円以上
を一定期間で満たす見込みがあること」
を前提にしています。
国家戦略特別地域の方式では、「創業活動」の一定の期間は最長6ヶ月
経済産業省の認定方式では、「起業活動」の一定の期間は最長6ヶ月又は1年
2 活動中に得られる在留資格は、
国家戦略特別地域の方式では、「創業活動」の一定の期間は「経営・管理」
経済産業省の認定方式では、「起業活動」の一定の期間は「特定活動」
3 対象になる外国人は、
国家戦略特別地域の方式での「創業活動」については、
留学を除いた他の在留資格で在留している人は、原則として利用不可
→原則として、留学生と推測します。
経済産業省の認定方式での「起業活動」については、
他の在留資格(留学など)で日本に在留している人も利用可能
→留学生を含んでいるのか、どうか?わからないのですが、
適法に在留資格を得て在留している外国人が対象と推測します。
4 対象となる事業
国家戦略特別地域の方式でも経済産業省の認定方式でも同じです。
例えば、
知識創造型産業(例 半導体関連など)、
健康・医療・福祉・教育関連産業(例 創薬ベンチャーなど)、
環境・エネルギー、防災関連産業(グリーンエネルギー開発など)、
貿易・観光関連産業(市内産品の海外販路開拓に資する事業など)
を挙げています。
そして、仙台市と地方出入国在留管理局で認められたら支援を受けられる、
ということになるようです。
仙台市の外国人創業支援はこちら。
https://www.city.sendai.jp/kikakushien/jigyosha/kezai/jigyosho/joho/index.html
具体的な支援方法は、各地方公共団体によって違うのでしょうが、
起業準備活動とか創業活動とか名称の違いはあるものの
事業計画を提出して認められる必要があるので、その審査
制度融資や創業融資などの資金調達、
コワーキングスペースの紹介
ベンチャーキャピタルの紹介、
士業者の紹介
展示会、商談会などの販売機会の提供、販路拡大の協力、
販売先の紹介
などがあると思います。
起業は、やってみなければわからない、がありますし、
革新性を求めすぎると、新しすぎて、
利用する一般の事業者や個人はついていけず売れない、もあると思います。
また、難しいとは思いますが、
ウェブサイトで、制度そのものの仕組みや、
事業計画書の認定審査基準をわかりやすく、そして具体的に公開してもらえれば、
(外国人起業活動促進事業に関する告示で示す、
「当該地方公共団体における産業の国際力の強化、国際的な経済活動の拠点の形成を図る上での適切なもの」とはどういうものなのか?
のような)
外国人と日本側の協力者・ビジネスパートナーもいるとしたら、
彼ら/彼女たちが地方公共団体に相談する前に、事前の打ち合わせや心づもりができますし、
期待感も高まると思いますので、何とぞ、手厚い支援をお願いしたいです。
下記は参考URLの紹介です。
地方公共団体が起業支援を行う場合における在留資格「経営・管理」の取扱いについて
→事業所に係る経費や起業支援に係る経費を、
地方公共団体が申請人に代わり負担していると認められる場合の資本金又は出資金額の算出方法です。
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00160.html
外国人企業活動促進事業(経済産業省)と告示
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/startupvisa/index.html
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/startupvisa/kokuji.pdf
国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業
https://www.moj.go.jp/isa/content/930005156.pdf
スタートアップビザに関しての個人的な考えです。
事業計画書は、色々なところに提出する機会が出てくると思います。
まず、スタートアップの定義がどのように解釈するのか?
によって、何を中心に書いたら良いのかは違ってくるかもしれません。
例えば、地方自治体からスタートアップビザその他の支援をうけるときに、
一般的に流布している
「スタートアップは、革新的なビジネスモデルで社会問題を解決する事業」
として、計画書を作成したほうが良いかもしれません。
(なお、地方自治体によって、スタートアップの定義は違うと思います)
外国人が一人ではなく、同じ知識や能力、高学歴の若い世代の人たちがグループを作って、
事業を進め、当初は売り上げや利益を度外視して事業展開をすることや、
開発した商品やサービスは、まずは、興味を持つ人に販売し、一般の人たちにも広げていき、
売り上げを増加させる。
最終的には、株式公開、大企業からのM&Aを出口とすることを考えている。
特に、バイオやIT関係の場合は、
商品やサービスの開発はトライ&エラーの繰り返しだから、多額のお金が必要になると思うので、
銀行・信用金庫、ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングから調達する必要が生じるでしょうから、
事業展開を頭の中で整理しまとめておいた方が良いと思います
(業種に関わらず用意したほうが良いかもしれません)。
そして、スタートアップビザの事業計画を地方自治体に申請するときは、
担当者と相談しながら、各地方自治体が制定する書式に、
頭の中で整理しまとめたものを落とし込んだ、
具体的な計画書を作成するのも一つの考えかと思います。
グループで事業展開するのであれば、
「なぜ、外国人の彼/彼女が代表取締役/社長なのか?」というメンバーからの推薦の言葉を
もらった資料を提出するのも一つの考えかもしれません。
スタートアップビザは、創業活動なので、許可をもらった次の日から、
商品や製品開発と同時に、資金調達に関する行動をする必要があると思うので、
銀行・信用金庫、ベンチャーキャピタル、クラウドファンディングに向けての
事業計画書を作成し、そして銀行・信用金庫、ベンチャーサービスとの面談などの実行、
クラウドファンディングするのであれば、その開始。
そして、資金を得た場合、相手先に報告書を作成し、その定期的な報告をする。
提供するサービスによっては、グレーゾーン解消制度へ照会。
そのようなことを折り込んだ方が良いかもしれません。
(別のところで働くのではないか?何もしないで、無為に過ごすのではないか?
を警戒する可能性がありますので)
以上のことから、
「スタートアップは、革新的なビジネスモデルで社会問題を解決する事業」
最終的には、株式公開、大企業からのM&Aを目指す
ベンチャーキャピタルからの承認、
クラウドファンディングでの賛同
を考えるとしたら、スタートアップとして、認められことは大変そうです。
地方自治体のスタートアップビザですが、スタートアップの定義によって、
認定のされ方に違いがあるかもしれませんね。
尚、スタートアップピザにこだわる必要はなく、
また、スタートアップビザ制度を実施していない地方自治体もあるので、
地方自治体ごとに「なんの起業支援に力をいれているのか?」を調べ、
そこで会社設立することも一つの考えだと思います。
地方自治体によっては、人口減少、産業衰退、若年層の流失に悩んでいるところもあり、
企業誘致と支援に積極的に政策を打っているかもしれません。
勿論、地方自治体によって、例えば「モノづくり」「観光」「農業」「林業」などなど、
特色を出して力を入れている分野があると思います。
そういう地方自治体の方が、
販売先の紹介、細やかな情報の提供など親身になって支援してくれる可能性があるので、
業務展開を考えている商品やサービス次第では、そこに拠点を置くのも良いかもしれません。
今回は、色々な国の起業ビザ、スタートアップビザ、の話でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、15年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。
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